NHK札幌放送局

「新 藤丸」トップは何を語る【詳報】

ほっとニュースぐるっと道東!

2022年12月15日(木)午後6時00分 更新

2023年1月31日で閉店するデパート「藤丸」。再建に向けて共同で新会社を設立する ▽「帯広日産自動車」の親会社「村松ホールディングス」の村松一樹社長と ▽帯広市内のベンチャー企業「そら」の米田健史社長の2人 そして▽藤丸の藤本長章社長が帯広商工会議所の委員会に出席します。
3人がそろって公の場で説明を行うのは初めてです。 藤丸の閉店と、今後の再建に向けた動きについて、トップは何を語ったのか? その内容を詳しくお伝えします。

〈総合〉12月15日午後6時40分~
「ぐるっと道東」で分かりやすく解説

村松社長の発言

「『中心部の火を消したくない』のは全く同じ思い。十勝の潜在価値を見いだす」

村松社長は発言の冒頭で「122年にわたって帯広十勝の精神的支柱でありランドマークである『藤丸』の屋号を続けてこられた藤本社長に敬意を表したい」と頭を下げました。

そのうえで「藤本社長も発言したが、『中心部の火を消したくない』というのは私も全く同じ思いだ。米田社長と私に共通するのは十勝への愛だ。すばらしい大自然の中ですばらしい人々が生活を営んでいる。もっと十勝の潜在価値を見い出していきたい」と述べました。

「新しい藤丸を展開し、さらに魅力的なものにしていきたい」

村松社長は代表に就任した経緯について「米田社長からオファーをもらったとき村松ホールディングスの中核会社である帯広日産自動車の幹部を集めて相談したところ、『藤丸の火を消さない役割を担ってくれるのであればこんなに誇りになることはない。ぜひバトンを受け継いでほしい』と言われ受けることにした。そのあとも藤本社長から感謝の言葉を頂き経済界の方からも励ましを受け、改めてオファーを受けて良かったと思っている」と述べました。

そして「毎日、米田社長とコミュニケーションや検討を重ねている。『そら』という会社はスピーディーでそのスピードについて行くのが刺激になっていて毎日をいきいきと過ごしている」と説明しました。

そのうえで「地域や経済界の皆さんからの思いを集めてそらと新しい藤丸を展開し、藤本社長から屋号を引き継ぎ、さらに魅力的なものにしていきたい」と決意を述べました。

今後の事業展開「まだ決まっていないが、案はたくさんある」

今後の事業展開について村松社長は「いろいろなアイデアを頂いていて、何階に何が入るかはまだ決まっていない。案はたくさんある。ただ、これから耐震・改装のスキームに入るが、その際にもどういう内容にするかを盛り込んだうえで工事するので、多様性とスピード感のバランスをとっていきたい」と述べました

「新しい藤丸を作るうえで、藤本社長を含め、広い意見を求めていく」

村松社長は「藤本社長と新藤丸は今後、どんな関わり方になるのか」という質問に対し「今後の事業展開については市民の方や経済界など、様々な方の思いを聞きたいと思っている。もちろん、その中には藤本社長も入っている。新しい藤丸を作るうえでは、広い意見を求めていく」と述べました。

また、米田社長も「その時その時に必要な知識を持っている方など、さまざまな人を巻き込んで進めていきたい」と述べました。

営業再開の見通し、最速で来年今ごろも、「そこから1年ずれることも十分あり得る」

帯広商工会議所の会合が終わったあと、記者団の取材に応じた村松社長は、営業再開の見通しについて「耐震・改修は早くて来年度で、それが終わったあとにテナントなどの契約を決めていくので、すべてがとてもスムーズにいっても、営業再開は来年の今ごろになる。こえなければいけないハードルがいくつもあるので、そこから3か月、半年、1年ずれることは十分あり得る」と述べました。

「十勝の価値は食。食をテーマにしたコンテンツは設けたい」

新藤丸をつくるうえで、欠かせないと考えるコンテンツはあるかという記者からの質問に対し村松社長は「十勝の価値は食だと思う。食をテーマにした部分は設けたいと思う」との考えを明らかにしました。

米田社長の発言

「この8か月、120%の力で頑張ってきた」

米田社長は「7月に閉店の報道があってから、『そら』の仕事は藤丸一色になったが、話を受けた時は創業から2年足らずだった。『そら』としてもほかの重要な事業が進む中でこの話をいただき、さまざまな方々とコミュニケーションをとりながらこの8か月、120%の力で頑張ってきた。十分なコミュニケーションをとりきれたとは言えないが、一生懸命やってきて今に至っている」と述べました。

「村松さんなら自分の考える戦略を生かせると思い相談した」

米田社長は村松社長と藤丸の再建に取り組むことになった経緯について「藤丸さんの案件を関わる中で十勝愛にあふれた方、藤丸や街なかへの思いにあふれた方だと何度も村松さんの名前を聞いた。村松さんは新藤丸の代表として明るい未来を切りひらく、村松さんなら自分の考える戦略を生かせると思い相談させていただいた」と説明しました。

「藤丸の122年の歴史を受け止めて頑張っていく」

米田社長は「新藤丸」の体制について「村松さんとなら新藤丸として一緒にやっていけるのではと思い、村松さんが社長で私が戦略担当として『新藤丸』として発表した」と述べました。そして「藤丸の122年の歴史を改めて受け止めて頑張っていく」と締めくくりました。

藤本社長の発言

「改めて感謝と御礼を申し上げます」

藤本社長は説明の冒頭で「7月に閉店を発表し、5か月が経過した。8月からセールを実施し、店内でお客様から『閉店は寂しい。何とかならないの?』という声をたくさんいただいている。改めて感謝と御礼を申し上げます」と感謝の意を示しました。

「新藤丸の取り組みに力を頂戴したい」

藤本社長は「再就職の支援の状況や閉店セールの状況を説明し、新藤丸の取り組みに対し力を頂戴したい」と述べました。

心配をおかけし、申し訳ない

藤本社長は藤丸のこれまでの歴史を「帯広の商店街やまちづくりと一体となったものだった」と振り返ったうえで、近年の業績低下について「自助努力を模索しながらも達成できなかった。皆様にはご心配をおかけしてしまい、申し訳ございませんでした」と述べました。

多くの従業員、まだ再就職決まっていない

藤本社長は従業員の再就職について「現在、企業の説明会が開かれているが従業員には『1月まで営業するので、最後まで頑張って欲しい』とお願いしてきた。
多くの従業員がまだ再就職が決まっていないのが現状だ。お力添えと協力をお願いしたい」と述べました。

「12月に入ってセール盛り返した」

藤本社長は8月から始まったセールの状況について「閉店セールは8月から始まり5か月が経過した。8月から10月までの3か月間は前年対比125パーセントから130パーセントの推移、11月はロングランセールの中だるみもあり、伸び率が鈍化している。12月に入って上旬で120パーセント、中旬からは大売り出しも始まり130パーセントに戻った。おそらくこのままで盛り返しをはかれる」と話していました。

「今回の再生は『中心部の火を消すな』という大義がある」

藤本社長は「今回の再生は『中心部の火を消すな』という大義がある。事業主体が変わっても、その目的は変わらないと考えている」と述べました。そのうえで「新生藤丸を中心部の核として、経済界をあげて支援いただくのが、再生スキームに不可避だ。心配をおかけして申し訳なかったが、新しい体制で事業再生を図り、中心部のにぎわいの創出にまい進してもらいたい」とエールを送りました。

「負の遺産を一掃し、財政を健全化して新しい会社に向かう」

藤本社長は再建への動きについて「藤丸の店舗の地権者の合意がほぼ得られた」と話し、「現在はサブテナントの保証金の返還について個別の交渉を行っているが、おおむね協力に向かっている」と説明しました。

そのうえで「国の公的な機関の協力を得ながら、再建に向けたスキームを進めている」と話し、再建に向けて「負の遺産を一掃し、財政を健全化して新しい会社に向かっていき、財源確保に向かって全力をあげていく」と方針を示しました。そして「そのためには閉店セールが重要なので、皆様の協力が重要だ」と呼びかけました。


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