NHK札幌放送局

知内高校野球部 強さの理由

道南web

2022年7月15日(金)午後2時40分 更新

函館から車でおよそ1時間。人口4000人ほどの知内町に、高校野球で毎年、名だたる強豪を破り、今年も南北海道大会出場を決めた町立高校があります。その強さの理由を取材しました。(取材:NHK函館 奈須由樹)

監督に聞く 強さの秘密

全校生徒わずか163人の知内高校は、全国でも珍しい町立高校です。
私はさっそく高校を訪れ、練習を4時間見学させてもらいましたが、強さの秘密がわからず、直接、吉川英昭監督に質問しました。

記者:「知内高校が強いと言われている要因は?」
監督:「自分以外の誰かのために頑張れる選手は強いと考えています。知内高校の野球部は自分以外の人のために頑張るというのが感じやすい環境です」 

「自分以外の人のために頑張る」とはどういう意味なのか?それが感じやすい環境とは?それが知りたくて私は、あわせて4回、知内町を訪れました。

誰かのために

これは函館支部予選の試合があった日の知内町の様子です。平日の朝7時にもかかわらず、町の人や父母会の人などが横断幕を持って見送りに駆けつけます。何年も見送りに来ているという町内の夫婦は「知内高校で頑張ってくれる選手は町の誇り」とたたえ、「甲子園を目指して欲しい」と期待を込めていました。

次に私は、ほとんどの選手が暮らす寮として使われている、町の施設を訪ねました。寮母さんに話しを聞くと、地元の農家や保護者などから食べきれないほど差し入れをもらうことがあるそうです。知内町特産のニラや、ほうれんそう、トマトやコメなどさまざまな食べ物が届きます。この日の食卓には父母会からもらったスイカやメロンが並び、おいしそうに食べる選手の姿がありました。

高橋匠 主将
「僕の出身は江差町ですが、江差町だけでなく知内町の人など本当にたくさんの方々が応援してくれているので、応えられるように頑張っていきたいです。甲子園に出場して応援してくれた人たちに恩返しがしたいです」

野手のために投げる

知内高校にはプロ注目の選手もいます。エースの坂本拓己投手は、左投げで最速147キロのストレートが武器です。函館支部予選では3試合に登板し、15回を投げ無失点で20個以上の三振を奪いました。

「函館支部予選では野手のために投げるということを意識して投げました。南北海道大会でも野手のために投げるという意識を持ちつつ、甲子園に導くようなピッチャーになりたいです。プロも視野に入れて練習に取り組んでいます」(坂本投手)

誰かのために頑張る。選手たちが口々に語ることばから、知内高校の強さの一端が見えてきた気がしました。

投手を助ける堅い守備

守備陣も安定した守りで坂本投手を助けます。その守備を作り上げているのが独特の練習です。

「9回。1点差。バッター4番。三遊間に強い打球をお願いします」

ノックを受ける選手が、試合のどんな状況でどんな打球が飛んでくるのかを考え、監督に要求します。

「序盤。バッター8番。詰まった打球でこの打者は出塁させたくない」

選手が場面を想定し、そこで求められる動きができるか、自分で確認します。

吉川英昭 監督
「生徒が試合で自信を持って守備に取り組むためにはどうすればいいか逆算して考えるとまずは体が自分の思い通りに動くか理解することが大切です。理想通り動かないのであればそれが自分自身の課題となるので、動くように直してほしい」

目指すは日本一

最後に監督に目標を聞くと予想以上の答えが返ってきました。

「優勝。僕らは日本一を目指しているので南北海道大会も甲子園も通過点です。この夏、野球を見ている子どもたちが野球をやりたくてうずうずするような試合を最後まで続けます」

「自分以外の誰かのために」。それは、町のため、応援してくれる人のため、野手のため、野球をみている子どものため、ということでした。町や、町の人たちが選手を温かく支え、それに応える知内高校の選手たち。小さな町が育んだチームがこの夏、大きな夢をつかみに大会に挑みます。

道南のスポーツに関するコンテンツはこちらも
道産子ダンサー 北斗市から世界一に

関連情報

北海道大学水産学部 イカ研究 最前線!

道南web

2023年1月12日(木)午後5時22分 更新

日本一〇〇!?な道の駅 江差・繁次郎浜に行ってみた

道南web

2022年7月12日(火)午後6時19分 更新

知内高校坂本投手 佐藤義則氏が分析

道南web

2022年10月21日(金)午後4時40分 更新

上に戻る