NHK札幌放送局

帯広市出身 パラ競泳・小野智華子「リベンジだ」 再び世界へ

ほっとニュースぐるっと道東!

2022年6月2日(木)午後4時58分 更新

東京パラリンピック競泳の日本代表、小野智華子選手(27)。3大会連続でパラリンピックに出場した実力者が東京大会で味わったのは、出場全種目予選落ちという挫折でした。「次のパリでリベンジしたい」。6月、パラリンピックに次ぐ大規模な国際大会、世界選手権に臨む小野選手を取材しました。 (釧路局 記者 島中俊輔) 

【北見市生まれ、釧路、帯広育ちのどさんこスイマー】

小野選手は、北見市の病院で生まれ、釧路市で幼少期を過ごし、小学校からは帯広市で育った、生っ粋のどさんこスイマー。低体重で生まれ、両目の視力がない全盲の選手です。
練習に伺うと、パラ競泳の視覚障害のクラスならではの光景が見られました。それは、プールサイドに棒を持って立つ2人の人たち。目が見えない小野選手にターンやゴールのタイミングを知らせるタッパーと呼ばれる介助者です。

【”ホーム”帯広で強化を進める】

小野選手が週6日通うのは、幼い頃に初めて水泳を始めた帯広市のプール。2年前、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、東京の強化拠点のプールが使えない時期に地元・帯広に拠点を移しました。常連の利用客から「チカちゃん、頑張ってね」と声をかけられると、力がわいてくると言います。

小野智華子選手
「皆さん、頑張ってねって声かけてくださったり、コースが全部埋まっていても譲ってくださる方がいらっしゃったりします。帯広の皆さんは温かいので、ホームって感じです。サポートも手厚いですし、めちゃめちゃ恵まれているなと思います」

【「悔しい」東京パラリンピック】

小野選手はこれまでにパラリンピック3大会連続で出場。しかし、去年の東京パラリンピックはこれまでにないほどの挫折を味わいました。大会前、腰を痛めた影響で泳げない期間が半年に及ぶなど本調子でない中で本番を迎え、すべての種目で予選落ちという結果に終わりました。

小野智華子選手
「全種目決勝に残れなかったし、タイムも全然自分の思ったものが出なかった。絶対的な練習量が足りていなかったんです。全部うまくいかなかった。ただただ悔しい大会でした」
「本当は東京大会が終わったら、パラ競泳をやめたかったけど、さすがにあの結果ではやめるのはダメだろうと。終わった瞬間から、パリに向けてリベンジだって思って、どうしようかな、やめようかなみたいなことは考えることはわりとなかったですね」

【強化を進めるのは“バサロ”】

すぐに「次」に気持ちを切り替えた小野選手。
2024年のパリ大会に向けて動き始めました。今、見直しているのが、得意の背泳ぎでスタートダッシュに欠かせない“バサロキック”です。

視覚障害が最も重いクラスの小野選手が泳ぐ時に頼りとするのがロープです。ロープに沿ってまっすぐ泳ぐことでタイムの短縮を図ります。しかし、バサロキックで進むのは水中。何も見えず、頼りにするロープもないため、レーンを逸脱してしまう難しさがあります。キックの回数を増やしながら、いかにまっすぐ泳げるかがポイントです。

コースの逸脱が怖い」そう考えていた小野選手ですが、改めてバサロキックを見直したところ、そこまで大きく曲がることはないことがわかりました。これまでスタート直後のバサロキックの回数は6回でしたが、それを8回に増やすことができたのです。ここ数か月でタイムは2秒ほど縮んでいると言います。

小野智華子選手
「実際バサロキックを8回に増やしてみたけど、意外と曲がらないから継続しようという話になりました。曲がらないのがわかったので、怖くなくなったし、バサロキックの回数を増やすことがそんなに負担にはならなかった」

さらに後半までスピードを落とさない粘りが持ち味という小野選手は今、前半から積極的にスピードを出すということに取り組んでいます。全身をくまなく鍛える筋力トレーニングにも積極的に取り組み、腰の痛みも少しずつ緩和してきたと言います。

【再び世界へ、世界選手権で好成績を】

地元・帯広で強化を続けてきた小野選手が、6月に挑むのが世界選手権。パラリンピックに次ぐ大規模な国際大会です。舞台はポルトガル領のマデイラ島。サッカーのポルトガルの英雄、クリスチアーノ・ロナウド選手の出身地としても知られる島です。東京パラリンピックでも活躍した有力選手や次世代の若手スイマーたちが世界中から集まります。帯広から再び世界で輝こうと挑戦を続ける小野選手。意気込みとともに、北海道の皆さんに向けてのメッセージを頂きました。

小野智華子選手
「世界選手権はパラに次ぐ大きな国際大会なので、全種目で東京パラリンピックの時よりも早く泳いで、1つでも順位を上げておきたいと思います。皆さん、応援よろしくお願いします」

【NHK、全日ハイライトでお伝えします】

小野選手は100メートル背泳ぎのほか、50メートル自由形、100メートル自由形、それにフリーリレーとメドレーリレーのあわせて5種目に出場する予定です。
NHKでは、世界選手権全日程の模様をハイライトでお伝えします。日本選手の決勝レースを中心に連日放送の予定です。詳しくは、NHKスポーツのホームページからご覧下さい。

《小野選手の出場予定(現地時間)》
6月12日 女子50m自由形
   15日 混合400mメドレーリレー
   16日 女子100m自由形
   17日 女子100m背泳ぎ
       混合400mリレー

【取材後記:パラ競泳、ぜひ一度ご覧あれ】

この記事を書いている私、島中は、去年までスポーツニュース部でパラリンピックの取材を担当していました。その中でも特に取材をしていたのが、パラ競泳です。パラ競泳は義手や義足は使わずに、己の体1つでのぞむ競技です。両腕がない選手は背泳ぎの際にタオルをくわえてスタートするなど、パラリンピックが持つ「多様性」が数多く見られます。
今回、世界選手権代表に北海道から唯一選ばれた小野選手は、釧路市でも過ごしたことがあるということで、まさに道東の代表です。小野選手の活躍を願うのはもちろんですが、今回の世界選手権には、東京パラリンピックで金メダルを獲得した選手たちも数多く出場します。全盲のエース・木村敬一選手、5つのメダルを獲得した運動機能障害のクラスの鈴木孝幸選手、自身が持つ世界記録を更新して優勝した知的障害のクラスの山口尚秀選手などなど。
選手それぞれが独自の泳ぎを究め、それを世界の舞台でぶつける世界選手権。パラ競泳の魅力は見れば伝わると思います。その魅力、テレビの前で味わってみてはいかがでしょうか。

2022年6月2日(木)

こちらの記事もどうぞ
別海町出身 スピードスケート森重航「強い選手に」単独インタビュー
厚岸町出身 スピードスケート佐藤綾乃「ありがとう、ただいま」単独インタビュー


関連情報

牛のふん尿からLNGに代わる新エネルギー

ほっとニュースぐるっと道東!

2022年6月22日(水)午後2時52分 更新

釧路市立芦野小学校

ほっとニュースぐるっと道東!

2022年8月19日(金)午前11時00分 更新

「Nコン 2022」十勝地区大会 帯広三条高等学校

ほっとニュースぐるっと道東!

2022年8月19日(金)午後2時40分 更新

上に戻る