NHK札幌放送局

春の翼スタッフレポート①マイクはどこに?

デジタル戦略チーム

2022年5月13日(金)午後4時30分 更新

北海道発地域ドラマ 春の翼が5月20日(金)に放送です。2月~4月、天売島や札幌市内でロケが行われました。撮影スタッフの裏話や、テクニックをご紹介いたします。


「TV番組はトンネルに似ている」と思います。

そう話すのは、本ドラマの技術統括を担当したNHK札幌放送局・技術部の鷲津寛厚さん。

トンネル工事は1m掘るのに岩盤が固かったり、水が湧き出したり、とても苦労して貫通させるのですが、開通して車で通るときは一瞬で通り過ぎ、どこがそんなに難所だったのか意識することはありません。
番組もとても似ているのです。どれだけお金がかかり苦労して撮ったシーンでも、そうでもないシーンでも1秒は1秒、普通に一様に通り過ぎてしまうのです。

しかし、このドラマでは一瞬たりとも一様に通り過ぎてほしくない!

いちいち細かい「いいね」を感じて見てほしい。そんな思いを込めて、技術スタッフはすべてのカットにこだわりをもって撮影しました。この作品は居場所に悩む女の子が、天売島の定時制高校に離島留学し、島の生活を通して成長していく物語です。その優しく流れるストーリーに沿うように、敢えてシンプルで自然な映像表現・音声表現を試みました。映像では、自然な風合いを大切にした空間照明や、ボケみをコントロールしてピントを人物に合わせたり、映像の色味や風合いもドラマに合ったものを選択しています。また音では、強風の表現は巧みだと思います。
放送ではぜひ「いいね」を感じながら、ドラマに浸かっていただければと思います。


ちょこっと、技術のうんちく。

テレビで音が自然に聞こえるという、それ自体が実はいろんなテクニックが駆使されています。

ドラマの音づくりを少し解説します。 ドラマや映画でロケといえば、長ーいすごーいマイク(下写真)のイメージでしょう。この長いマイクには、狙った音以外を排除するような特性があり、そんな特殊なマイクを使うことでセリフをなるべくクリアに収音しています。

ですが、世の中そんなに甘くない!結構世の中うるさいんです。

車の音、虫の声、風の音、波の音、飛行機などはもってのほか!!…つまりそれがどんなに素敵な音であろうともドラマ収録ではセリフ以外の音はすべて邪魔な「ノイズ」なのです。残念なことにすごいマイクでもどうしてもノイズを排除しきれないのです。そこで、実は役者さんの服の中にワイヤレスピンマイクを隠して仕込み、その音も使っています。

上の写真は別のシーンですが、やわらかい黒布にピンマイクを挟み込み、襟の裏に貼っています。ワイヤレスマイクの送信機は腰ベルトに入れて腰に巻き、衣服で隠します。

こんな武器も駆使することで、下の写真のようなシチュエーションでも、しっかりセリフを収録できるのです。
セリフのクリアさや音にも注目してドラマをお楽しみください。

<写真:走る主人公を後ろから追いかけているカット>


北海道発地域ドラマ 春の翼 HPはこちら

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