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札幌 冬季オリンピック・パラリンピック招致 開催地決定の時期先送り 影響は

ほっとニュースweb

2022年12月8日(木)午後8時22分 更新

札幌市が目指す2030年冬のオリンピック・パラリンピック招致。IOC=国際オリンピック委員会はスイスで開かれた理事会で、開催地の決定を来年秋の総会よりも後に先送りすることを決めました。今回のIOCの判断。札幌招致にはどう影響するのでしょうか。(札幌放送局 三藤紫乃)


“最善の決断のため猶予期間を”

12月5日から3日間にわたり、スイス・ローザンヌで開かれたIOCの理事会。
札幌市が招致を目指す2030年冬の大会の開催地の選考や国際競技団体のガバナンスの問題などについて話し合いました。
オンラインで会見を開いたクリストフ・デュビ  オリンピック統括部長は2030年の大会の開催地を決める時期について、来年の秋ごろに開かれる総会としていた当初の予定を先送りすることを明らかにしました。

クリストフ・デュビ  オリンピック統括部長
「地球温暖化などの気候変動に伴って冬の大会を持続可能な形で開催できる都市が減少していることから、大会のあり方などについて、より深い議論が必要となった。開催地の決定は来年の総会を目標としない。最善の決断を下すために猶予期間を設けたい」

また、先送りされることで大会の準備期間が短くなるという指摘については、これまでに候補地に立候補している札幌市、ソルトレークシティー(アメリカ)、バンクーバー(カナダ)の3つの都市はいずれも過去に冬の大会の開催実績があり、問題はないとする見解を示しました。


驚き

開催地決定が予定されていた来年秋の総会よりも後に先送りされることが決まった12月7日。札幌市の関係者は一様に戸惑いを隠せない様子でした。
JOC=日本オリンピック委員会の山下泰裕会長も「来年秋にインドのムンバイで開催される総会で決定するという認識でいたので、非常に驚いた」と述べました。
そのうえで、山下会長は東京大会をめぐる事件を踏まえ、透明性や公正性を確保するための取り組みを進めることが重要になるという認識を示しました。

JOC  山下泰裕会長
「札幌市は国際大会のノウハウを持っているので、個人的には決定が後回しになったとしても施設面や大会準備の面で十分対応していけると思っている。今後、2030年に向けて進めていくにしても、こういったことを二度と起こさないための仕組みを立ち止まって作らなければ、国民や札幌市民の理解は得られない。しっかり議論して示すことが極めて重要だ」


決定まで年単位の期間生じる可能性も

さらに、理事会では1つ先の2034年の開催地を同時に決めるケースも検討。
バッハ会長は7日、その場合は自身の任期内である2025年までに決定する考えを示しました。

IOC  バッハ会長
「2026年に決めるのでは遅すぎる。候補地の準備がどれだけ整っていたとしても、2030年の開催まで4年しかないというのはあまりに短すぎる」

2025年となると、来年、再来年、さらに、その先。決定まで年単位の期間が生まれる可能性もあるということになります。
東京大会をめぐる事件の捜査が続く中、イメージの好転を図りたい札幌市。
ある市の幹部は「重要なのはクリーンな大会をアピールすることで、対策を練るための時間ができたという点ではポジティブに受け止めている」と話していました。
一方で、コロコロとスケジュールが変わる現状に「招致に向けたプロセスを練り直すにしても、いつまでにどう進めていけばいいのか、見えにくくなった」とも話していました。


4月には市長選挙も…

来年4月には市長選挙も予定されています。
これまでは来年秋の決定を前に選挙の頃までには候補地の絞り込みがなされ、“白黒ついているだろう”という見方が広がっていました。
しかし、決定の時期が見通せなくなったことで招致の是非が大きく争点化する可能性もあります。
今後の招致を取り巻く動向を注意深く見ていく必要がありそうです。

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