日本災害情報学会の会長を務める東京大学大学院の片田敏孝特任教授に聞きました。

「千島海溝沿いの巨大地震」に備えるために、どんな心構えが必要なのか。日本災害情報学会の会長を務める東京大学大学院の片田敏孝特任教授に聞きました。

片田特任教授は、全国各地の学校や地域で防災の取り組みを支援しています。防災教育を行っていた岩手県釜石市では、東日本大震災の際、話を聞いた高齢者や子どもたちが日頃からどう避難するか考えていたことによって地震の時に高台に避難することができました。

道東で高いところでは20メートルを超える津波が想定されていることについて聞くと、「想定はあくまで想定であり、現実には上回ったり下回ったりする可能性がある」としたうえで「大きな想定に完全に備えるのだけが防災ではない。ただおびえるのではなく、みんなで力を合わせて犠牲者を出さないよう地域で取り組む目標にしなければならない」と教えてくれました。

その上で「大人が逃げないと、その行動を見た子どもや孫も逃げなくなってしまう。自分のためというよりも大切な人に教えるためという動機づけが必要だ。地域の防災、家族の防災というような形で広げていくことが大切だ」と話しました。一人一人が災害に向き合いながら対策を積み重ねることが必要だという、大切な指摘です。
次回は「どうする?津波の避難先」です。
2021年3月5日