NHK札幌放送局

高齢者施設 面会を実現するために

ほっとニュースweb

2021年1月22日(金)午後5時58分 更新

重症化しやすい高齢者の新型コロナウイルス感染を避けるため、高齢者施設ではオンラインなどの方法で面会を行っています。施設の様々な工夫を取材しました。(取材:苫小牧支局 中尾絢一 )

「オンライン面会」と「直接会いたい」という声

札幌市豊平区のサービス付き高齢者向け住宅では、最初に全国で緊急事態宣言が出された去年5月以降、重症化しやすい高齢者の感染を避けるため、家族との面会を制限してきました。施設では、週に数回、オンラインで家族とつなぐ「オンライン面会」を行っています。
しかし、直接家族と面会したいという声があるほか、面会が長期間できないことで入所している高齢者の認知症が悪化するというケースも見られるということです。

【取材メモ】
介護予防や、コロナ禍における認知症の本人と家族の支援について研究している石井伸弥特任教授(広島大学大学院医系科学研究科)が、去年6月に調査したところ、高齢者施設の4割で、認知症の状態が悪化したという結果が出ました。

誰が「面会再開」を判断するか

去年2月、厚生労働省は全国の高齢者施設に対し、家族などの面会を制限するよう求めました。その後、去年10月になって、居室での面会を避けるなどの具体的な条件をまとめ、都道府県に周知しました。

しかし、面会を再開するかどうかは、各施設の管理者に判断を委ねていて、札幌市の施設からは、判断するのが難しいという戸惑いの声も上がっています。

高齢者施設「Gold Hills平岸」施設管理者・鈴木真一郎さん
「感染を予防することと、できれば面会して入居者と家族とのストレスを軽減するというところの取り決めをきめるのは難しいです。判断は施設に任されているので、悩むところだがスタッフと話しながらいつ制限を解除できるか考えていきたい」
「悩むところだが 考えていきたい」

北海道老人福祉施設協議会の加藤敏彦副会長は、高齢者施設での面会について、道内での新型コロナウイルスの感染が蔓延して移動制限などがかかっている状況で、全面的な面会の解除は無理だとしたうえで、次のように指摘しています。

北海道老人福祉施設協議会・加藤敏彦副会長
「今後、収束に向かえば段階的に、ズームやライン等でオンラインの面会、窓越しの面会、マスクをして対面で、時間を限っての面会をしていくことが予想されます。ただし、窓越しに面会する場合、特養の寝たきりの人を窓辺に運べるのか、冬場、寒い中面会のための部屋を用意して、入所者が体調をくずさないのかといった課題もあります」

新たな面会方法への模索

こうしたなか、家族と直接、顔を合わせられるよう新たな取り組みを始めている事業者もあります。
道内で高齢者施設を運営するMOEホールディングスでは、面会専用の防護服を去年10月に導入しました。この防護服は、背中の部分から新鮮な空気を取り込んで、頭の部分のフィルターを通して排気する仕組みでウイルスの拡散を防ぐつくりになっています。

去年11月、札幌市手稲区の高齢者施設で、入所者と孫2人が30分間直接、顔を合わせて話をすることができました。

一方、防護服は1着10数万円と高価で、どの施設でも導入することは難しい現状もあります。

2人の専門家が考える今後

北海道老人福祉施設協議会・加藤敏彦副会長
「オンライン面会でも職員の補助が必要なので、多くの入所者を抱えるところで一度に行うのは難しい。また、面会をして外部の人と接触する機会を作ることは、クラスターの発生率が高まってしまう。クラスターの発生で多くの方が亡くなっているので、なんとしても、それは避けなければならない。面会について制限を緩和するのは、今後の知事の宣言の動向にかかっているといえます」
広島大学大学院医系科学研究科・石井伸弥特任教授
「改善策の一つとして挙げられるのは、施設ごとの感染症に対応する能力を上げることです。施設の人手不足の解消、感染を予防するために必要な消毒液や手袋マスクなどの予防具など、国や都道府県が支援を行うことが必要です」
「なかでも一番大切なのは、情報面での支援です。面会の緩和や制限について、施設ごとの判断になるのは、施設の対応能力の問題もあるのでしかたない面もありますが、ケアマネージャーの事業所や、地域の施設間の情報共有を密にした方が良いと考えます。いざ、クラスターがおきたときにどのように対処したかなど情報共有し、面会を緩和するときに不安がないようにそれぞれの施設で感染対処能力を上げていくことが求められます」

2人の専門家の意見に共通していたのは、面会問題の解消は、なかなか簡単にはいかないということです。面会制限の判断を1事業者だけで行うのも難しいことから、まずは事業者同士の連携を強めることが大切になりそうです。

2021年1月19日放送


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