NHK札幌放送局

函館 店員のいない花屋

道南web

2022年7月14日(木)午後1時20分 更新

花の無人販売をするユニークな花屋が函館市にあります。取材してみると、1輪からでも気軽に買えることや、密にならずにゆっくりと花を選べることなど、無人店ならではのメリットが多くあることが分かりました。じわじわと人気を集めている“無人”の花屋に密着しました。

函館の片隅に 無人の花屋

函館市の住宅街の片隅にひっそりとたたずむ無人の花屋。店内に店員はいません。2畳ほどのスペースに色とりどりの花が並べられ、そばには広い作業台が置いてあります。花は、北海道産のものを中心に全国各地から取り寄せた20種類以上の中から選んで買うことができます。客は気に入った花を選んだら、作業台に用意されたセロハンテープや新聞紙などを使って、セルフサービスで花を包装します。代金も自分で計算して、現金を専用の箱に入れるか、電子決済で済ませます。

無人販売を始めた理由

花の無人販売をしているのは西山弘紀さんです。函館市出身で、花屋を営んで今年で8年目。これまで花束やフラワーアレンジメントなどの注文を受けて、様々な客と接してきました。店を1人で切り盛りしている西山さんは、花束の注文が多くなる母の日やお盆の時期には、店頭に訪れる客の対応まで追いつかなくなることがあり、もどかしさを感じていました。そこで、おととし7月から店の忙しさに関わらずいつでも花を買える無人の花屋を始めたのです。

西山弘紀さん

店に訪れる人を取材してみると、仕事が終わってから自宅に飾る花を1輪だけ買っていく女性や、恋人の誕生日を祝おうと手作りの花束を作る男性など、さまざまな人が店を利用していました。コロナ禍では、人との接触を避けながら買い物ができる安心感もあるということで、「無人だから気軽に入りやすい」「1人でゆっくりと花を選べて楽しい」といった声が聞かれました。

立ち寄りやすい場所に

西山さんは無人店のこうした強みを生かして、花屋は敷居が高いと感じている人にとっても、立ち寄りやすい場所にしていきたいと考えています。客と対面での接客ができない分、入荷した花の情報をSNSを使って発信したり、店頭に並ぶ花には産地や手入れの仕方などが書き加えられた値札を添えたりしています。

西山さん
「花屋さんって、入ったら必ず買わなきゃいけないんじゃないかとか
たくさん買わなきゃいけないんじゃないかとか、やっぱり入りにくいんですよね」
「(無人店は)店員さんがいないから入りやすくて、
いつまでも1時間でも2時間でも見ていて大丈夫なんですよ。
人がいないからこその良いところもすごくあります」

思い出のひまわり

函館市に住む秋山幸枝さんは、毎週この店を訪れています。いつも買っているのはひまわりです。夫の範光さんと遠距離で交際していた27年前、秋山さんが初めてもらった花がひまわりでした。

「ひまわりの、いくつかある花言葉の中には、『離れていてもそばにいます』っていう意味があるって」
「今日も1日頑張った自分にご褒美的な、見るだけでもすごく癒やされる」

秋山さんは、大切な思い出があるひまわりを毎週1輪ずつ買い足して家に飾っています。大好きなひまわりを好きなときに好きなだけ買える無人の花屋は、秋山さんにとって大切な場所になっています。

営業時間の長さも無人の花屋の特徴で、朝7時から夜10時まで好きなときに花を1輪から買うことができます。定期的に花の管理を行う必要があり、店の状況を確認できるよう防犯カメラも設置しています。西山さんは、需要があることがわかった無人販売を今後も続けていきたいといいます。

「花って癒しになったり感謝になったりするので
きっかけは何でもいいので1回花を飾ってみてほしいというのがいちばんある思いです」

取材:吉田翔(NHK函館)

2022年7月14日

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