今年の2月、秋田県のローカル鉄道・秋田内陸縦貫鉄道に新しい列車が登場しました。
その名も「秋田縄文号」。
縄文時代をコンセプトにした、全国でも珍しい列車です。
世界遺産登録への機運を高めようと製作されました。
一体どんな列車なの?

列車の外装には縄文土器の模様を展開。
車内の雰囲気はこんな感じ。

窓際で、板状土偶がお出迎え。

天井を見上げると・・・

土偶たちがこっちを見ている!!!!
沿線で発掘された土偶や土器のイラストで埋め尽くされている、
まさに縄文づくしの列車です。
列車に込められた、縄文への愛
今回、秋田縄文号の製作に関わった“縄文LOVEな方々”に
列車に込めた縄文へのあふれる愛を聞きました!
製作を指揮した三浦さん

まずは、縄文号の製作を指揮した、鉄道会社の三浦重人(みうら・しげと)さんです。
始めは縄文の世界を身近に感じませんでしたが、
“現代を生きるヒント”が縄文にありそうな気がして、
次第にひきこまれるようになったんだそう。
「三:縄文時代は一万年以上続いたわけですが、 今だと縄文時代が終わってからまだ3000年も経ってないんですよね。 継続可能な生活や暮らしが実は 理想の生活なのかなとか色々考えさせられちゃいますよね。 こういう便利な世の中ですけどそれだけじゃないんだということですかね。」
専門家の榎本さん
秋田縄文号には、専門家も監修などで協力しています。
秋田県が誇る縄文遺跡・伊勢堂岱遺跡の専門家、榎本剛治(えのもと・たけはる)さんです。

列車に描かれた土器のデザインに注目して欲しいといいます。

「榎:渦巻きの模様が縄文の特徴なんですけど、縄文号にデザインされている渦巻き模様は、約4000年前に秋田県北から青森県の地域で広く作られた土器の模様なんです。 それがちゃんと縄文号には表現されているんです!」

最新の研究では、カタチや装飾が複雑な土器も
普段の煮炊きなどで使われていたことがわかっています。
「榎: 非常に複雑なカタチをしていて、熱効率は悪いんですが、 縄文人はあえてそれでも使うんですよ」
効率だけがすべてじゃないと思えるところに“縄文の魅力”があると話す榎本さん。
何かと効率を求めがちな現代人に、縄文人の生き方を知ってほしいのだとか。
「榎: もう少し現代人はゆっくりと縄文土器を作って、土偶を作って、 生活していけたら楽しいだろうなと思いますよね」
土偶のイラストを描いた、主婦の鈴木さん
続いては、列車に土偶や土器のイラストを描いた方。
仙北市で暮らす主婦の鈴木一枝(すずき・かずえ)さんです。

土偶が大好きな鈴木さん。
絵はがきに土偶ばかりを描き続けています。

“縄文好き”という噂が広がり、今回、鉄道会社からイラスト制作の依頼を受けました。
縄文の魅力を伝えたいと、細部にこだわり何度も描き直したといいます。

「鈴:割れたところとかそういうところはできるだけ忠実に描きました。 みなさんにそのままできれば伝えたい。 ごまかさないで描ければいいなと思って描きました」

鈴木さんの感じる縄文の魅力は、謎多きところにあるのだとか。
「鈴:知れば知るほどわからなくなるという。ほんとに美しいですよね。どうやってこんな素敵な模様を考えたんだろうって。 図面もなにもないのにどうやって作ったんだろうかなと思いますよね」
縄文を愛する人たちによってその魅力が詰め込まれた、秋田縄文号。
縄文のロマンをのせて、走ります!

NHKでは世界遺産に登録される見通しの
「北海道・北東北の縄文遺跡群」に関する情報を発信しています!
ぜひご覧ください。
「NHK北の縄文プロジェクト」
2021年7月5日