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別海町ハザードマップ 中小河川の洪水リスクは?

  • 2022年5月11日

別海町は根室海峡に面した道東の町です。この4月にハザードマップを改訂しました。 これまで沿岸部の高潮や津波のリスクには意識が向けられていましたが、今回の改訂では、内陸部を流れる中小河川の水害リスクが示されました。住民はどう受け止めているのでしょうか。 (中標津支局 原田未央) 

【洪水リスク】

8年ぶりに別海町のハザードマップが改訂され、4月に全世帯へ配布されました。ポイントのひとつは川の氾濫による洪水のリスクを新たに加えたことです。

別海町を流れる西別川。摩周湖南東の西別岳を源流にして、町の中心部などを流れ、根室海峡に注ぐ全長74キロの二級河川です。ふだんは穏やかですが、ハザードマップでは西別川が氾濫した場合の「浸水想定区域」が掲載されました。

ハザードマップの作成は以前は一級河川などが対象でしたが、国は全国で相次ぐ水害を受けて水防法などを改正。去年、住宅地の近くを流れる中小河川についてもハザードマップを作成するよう自治体に義務づけました。西別川も対象となり、今回改訂されたのです。

北海道東部でも河川が氾濫するリスクはあります。去年11月の大雨では釧路市阿寒湖を源流とする阿寒川が一時、氾濫危険水位に達し、流域の住宅地や畑などが冠水しました。

(写真:氾濫した阿寒川)

【中心部で浸水のおそれ】

ハザードマップでは、西別川流域の「浸水想定区域」が深さごとにオレンジ色や黄色などで色分けして表示されています。道が示した最大降水量などのデータをもとに算出しました。

町の中心部には役場や病院、学校などが立地していますが、この一帯が浸水するとされています。例えば、別海病院や高齢者施設は3m~5m、別海高校は50cm~3mの浸水域に色分けされています。

ハザードマップを見た町の人は「自宅や勤務先に色が付いていたので、何かあった時にはすぐ動けるようにしておかないといけないと思った」
「ハザードマップを職場にもぜひ置いておきたいなと思った。職場にいるときに何か起こる可能性もあるので」と話していました。

【氾濫のイメージない】

別海町では「水害」といった場合、沿岸部の高潮や津波のリスクに意識が向けられていました。千島海溝沿いの巨大地震による津波に備え、津波避難タワーを設置するなど対策が進められています。一方、内陸部での「水害リスク」については、そこまで意識が高くなかったのが実情です。

西別川は昭和30年代に増水で橋が流される被害がありましたが、その後、堤防などが整備されてから洪水の被害は出ていません。
中心部の町内会でつくる連合会の山口長伸会長(75)は氾濫する河川というイメージはもたれていないと話します。これまで水害を想定した防災訓練も行ってきませんでした。

「住宅街の人はほとんど安心しきっていると思う。ここまで水は来ないだろうと」

山口さんは、今回洪水のリスクが示されたのを受けて認識を改めたと言います。今後はハザードマップを活用して町内会として防災訓練などを行い、住民の意識を高めていきたいと考えています。

「このハザードマップを防災訓練の時に持ってきて確かめてみる。そういうことも考えています」

町の防災担当者は、大雨のシーズンを迎える前にハザードマップを見て対策を進めてほしいと呼びかけています。

「家族や地域で家の安全対策や協力体制などを確認するために活用していただきたいなと思っています」

【一度確認を】

近年は線状降水帯による集中豪雨などが全国各地で相次ぎ、「まさかこの川が・・」、「想定外だった」という声がよく聞かれます。
それだけにハザードマップで事前に被害を予測し、備えておくことがこれまで以上に大切になっています。お住まいの地域の浸水域は何色になっていますか。最寄りの避難場所はどこですか。一度、ハザードマップを手に取って家族や近所の人たちと確認してみてください。

2022年5月10日(火)

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