NHK札幌放送局

市役所で痛感 日々の備えの大切さ

ほっとニュース北海道

2021年9月8日(水)午後0時11分 更新

2018年9月6日、登別市連合町内会の事務局長を務める鳴海文昭さんはどこで何をしていたのか。NHK北海道では、「#私が見た北海道9月6日」と題して、地震発生後に鳴海さんが目にした状況を伝えます。    

鳴らなかった防災行政無線

9月6日 午前3時7分ごろ 

これまでに経験したことの無い激しい揺れを感じ、目を覚ました。

「これはただごとではない」と感じ、家族の無事を確認すると、すぐに服を着替えた。

自転車に飛び乗り、連合町内会の事務局が入る登別市役所へ急いだ。

鳴海文昭さん(74)は、平成20年に登別市役所を定年退職した後、市内92の町内会をとりまとめる連合町内会の事務局長を務めています。

自席の鳴海さん

登別市役所1階の一角に事務机が1台用意され、そこが職場になっています。

災害時には、各地区の被害状況を把握して市などの関係機関に伝えるとともに、避難や支援に関する情報を各住民に周知ことが、連合町内会の大きな役割です。

地震の後、鳴海さんは、一刻も早く情報収集をしなければと考えたのです。

9月6日 午前3時25分

登別市役所に到着。

2階の防災担当の部屋に行くと、既に職員が駆けつけていた。

津波の恐れが無いことが分かり、防災行政無線で放送するよう提案した。

職員がすぐに準備し、アナウンスを始めるボタンを押した。

だが、音声は流れなかった。

鳴海さんの手帳  3:37 放送 × と書かれている

登別市の沿岸部には多くの住民が暮らし、津波が発生すれば大きな被害が出る恐れもあります。

地震発生後に停電が発生していたことから、テレビなどで情報が得られず、不安を感じている人がいるかもしれないと鳴海さんは考えました。

そこで、安心情報として防災行政無線で放送することを思いついたのです。

ところが、放送を流すことはできませんでした。

外部の中継局の設備に不具合が生じていたからです。

「あの時はさすがにがっくりきた」。

鳴海さんは当時をそう振り返りました。

結局、連合町内会では、緊急の連絡網を使って各町内会の会長らに情報を伝えることになったということです。

携帯に充電を 殺到する市民

9月6日 午前8時頃

市役所には住民が続々と集まっていた。

多くが、携帯電話への充電を希望していた。

市は、午前9時頃から公用車の電気自動車を電源として活用。

市役所には充電の順番を待つ長い列が出来た。

電源の提供は翌日も続けられた。

9月7日 充電の様子

午前3時25分、道内で大規模な停電、「ブラックアウト」が発生しました。

登別市も例外ではありませんでした。

夜明け前から各町内会の代表らと連絡を取り、大きな被害が出ていないことを確認した鳴海さんは、役場の外を見て驚きました。

大勢の住民が集まっていたのです。

彼らが求めていたのは、携帯電話への充電でした。

地震発生直後からテレビも見られず、携帯電話は情報を得るための非常に重要な手段となっていました。

市は、公用車として導入していた電気自動車などを電源として使ってもらうことにしました。

当初は使用時間に制限はありませんでしたが、希望者が殺到したため、1人30分の制限時間を設けました。

夕方まで人の波は途切れず、翌日の7日も朝から住民が集まりました。

登別市で停電がほぼ解消されたのは、8日の午前0時すぎでした。

地震の後

今、登別市では毎日2回、防災行政無線から音楽が放送されます。

登別市の防災行政無線

正午に流される曲は、「いい湯だな」。

ザ・ドリフターズが歌った歌詞では、1番に「登別」の地名が出てきて、登別の知名度を高めました。

この放送は、地震発生の1か月後に始まりました。

防災行政無線を毎日利用することで、設備に不具合が生じていないかを確認するという狙いがあります。

また、連合町内会からの要望などを受けて、おととし、市は35台の非常用発電機を購入しました。

非常用発電機導入の様子

発電機は各地区の町内会に配備されていて、災害時には携帯電話の充電などで活用されることになっています。町内会では、夏祭りなどの機会を利用して発電機を実際に使用し、いざという時にも慌てずに対応できるように準備を進めているということです。

今後の課題について、鳴海さんは、住民の町内会の加入率を高めることを上げています。

登別市の加入率は71%(今年4月時点)で、道内の市の中では比較的高いということです。

ただ、各地区で避難する際に支援が必要な人を把握したり、避難所で円滑なコミュニケーションを進めたりするためにも、加入率をさらに高めて住民同士の繋がりを日頃から強めたいと考えています。

登別市は地震、津波、大雨、大雪、さらには噴火など、さまざまな自然災害のリスクを抱えているだけに、鳴海さんは各町内会での防災訓練なども積極的に行っていきたいと話しています。

鳴海文昭さん
「災害が起きた時、各地域で一番早く被害状況を把握し、支援にあたるのは町内会です。規模が大きい災害だと、消防や警察だけでは救助の手が回らないので、町内会の役割は大きいと思います。3年前に比べればハードの部分で災害への備えが進んだので、今後は住民の防災意識をさらに高めたい」

取材 NHK室蘭放送局 篁慶一記者

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