NHK札幌放送局

海面が沸き立つ!? クロマグロの大群に迫る #道南WEB取材班

道南web

2021年10月5日(火)午後5時56分 更新

マグロの中でも最高級のクロマグロ。大きいものは全長2メートル、重さ400キロを超え、1匹100万円以上の高値がつきます。日本近海のクロマグロは太平洋クロマグロと呼ばれ、乱獲などが原因で1960年代から2010年頃にかけて数が10分の1以下に激減しました。そんな中で、昨年取材した漁業者に、道南の松前町の沖合でクロマグロの大群が見られるという話を聞き、この夏、水中撮影に挑みました。

イワシを狙うクロマグロ! “ナブラ”に迫る

案内してくれるのは、マグロ一本釣り漁師、伊川俊幸(いかわ・としゆき)さんです。地元漁協のマグロ一本釣り部会長を務める凄腕です。朝6時、松前町の沖合に出港します。クロマグロを探して約2時間、伊川さんが水面に海鳥が集まり、白く波が立っている場所を見つけました。地元では「ナブラ」と呼ばれ、クロマグロが水面近くでイワシを捕食するときに起きるといいます。

ナブラまでの距離は200メートルほど。ドローンで空から「ナブラ」に向かいます。マグロが起こした波で約100メートル四方ほどが波で真っ白になっています。よく見るとマグロに追われて小さなイワシが逃げ回っています。まさにイワシ対マグロの命がけのドラマが繰り広げられていました。

水中でクロマグロの大群に遭遇!!

はたして水中はどうなっているのか。ナブラに船が近づいたタイミングで海に飛び込みました。ナブラに近づくとクロマグロの大群に囲まれました。ドローンで見えたのは水面のほんの一部で、水中にはその何十倍もの数がいました。まさに数え切れないほど。すぐに逃げるわけではなく4、5メートルほどの距離をおいて私のまわりを悠然と泳ぎます。大きさ1メートル以上の大きなマグロが壁のようになって泳ぐ姿は迫力満点です。今まで沖縄やメキシコなど日本や世界の海で25年以上潜ってきましたが、こんな光景は初めてでした。マグロの群れはイワシを食い尽くすと、次の獲物を求めて泳ぎ去っていきました。実際に遭遇した時間は2分ほど。後にはキラキラ光るイワシのうろこが漂うばかりでした。

ナブラに集まっていたのはクロマグロだけではありません。暖かい海を好む、細長い体のシイラや、体長2.5メートルを超えるメジロザメのなかまもいました。こうしたナブラは1日に何度も起きることもあり、この海の豊かさを改めて感じました。

クロマグロ資源は回復に向けた漁獲規制

松前町の沖合に現れたクロマグロの大群は資源回復の兆しかもしれません。絶滅が危惧されていたクロマグロですが、国際機関や水産庁などの調査で、最近資源が回復しつつあるとされています。その理由の一つは6年前から始まった国際的な漁獲規制です。30キロ未満の若いクロマグロの漁獲を半分以下にするなど国ごとに漁獲枠が決められ、さらに国内で漁獲枠が割り当てられます。

松前町の一本釣りでは、30キロ未満の若いマグロは水揚げできず、一人あたり200キロまで。40キロのマグロを釣ったら5本で終わりです。新型コロナの影響で魚の需要が減り、マグロの値段も下がっているため、漁業者にとっては厳しい状況が続いています。伊川さんは「規制を始めてからマグロはとても増えている。将来につながることを信じて、我慢するしかない」と話していました。資源が回復傾向にあるとして、12月にかけて国際会議で漁獲枠の増加が話し合われます。漁業と資源保護をどう両立させていくか。将来に向けた大きな課題です。

(2021年9月22日放送)

<取材した記者>
館岡 篤志(函館放送局)
チーフカメラマン。
日本や世界の海を水中カメラ及びドローンで撮影。

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