NHK札幌放送局

松前沖 マグロ大集結の謎を追う

道南web

2022年10月14日(金)午後1時25分 更新

お寿司屋さんの人気者、マグロ!日本人が大好きな魚が、道南・松前町の海に大集結しています。大群が現れたのはここ3、4年のこと。地元の漁師さんも、その光景に大興奮! 「マグロ余ってる。海いっぱい余ってる。ずっとマグロ釣りやってるけど、すごいよ」 果たして・・・! 

いざマグロ大集結の海へ!

ダーウィンが来た!
「なんだこりゃ!! 北海道で怪現象スペシャル」
放送予定
2023年1月15日(日)
午後7時30分〈総合テレビ〉

マグロを釣って50年、漁師の伊川俊幸さんの案内で、マグロを探しに海へ。
すると、ものの10分。海が白く沸き立ち、海鳥が群がる光景を発見!
これがマグロの大群です。
エサを食べようとマグロが飛び跳ねる、「ナブラ」と呼ばれる現象です。
あちこちで、立て続けに発生するナブラ。

海の中を撮影しようと、NHKのカメラマンが海へダイブ!
するとそこにはものすごい数のマグロが!

一時は絶滅危惧種に⇒漁獲規制で資源回復
大群を作り出しているのは、太平洋クロマグロ。近年、その資源量が増えています。
1961年のおよそ16万トンをピークに減り続け、2010年には1万トンにまで激減。2014年には絶滅危惧種に指定されました。

マグロを増やすために行ったのが、漁獲量の管理。特にまだ小さい30kg未満のマグロの漁獲を半分にする措置が取られました。30kg未満のマグロは、まだ生殖能力がないため、小さなマグロをとってしまうと親も増えない、ということなんです。子供を増やさなきゃ、というのは人間もマグロも同じですね。松前でマグロが大群を作っているのは、漁獲管理が実を結び始めたからだとみられています。

なぜ松前沖に?最新技術でナゾに迫る!
でも、マグロ全体の数が増えてるからと言って、この光景がどこでも見られるわけではありません。なぜこの海にこれほど多くのマグロが集まるのか。謎を解明するべく、日本各地から研究者が集結!

彼らが行うのは、マグロにカメラを取り付けて、行動を記録するというもの。日本では初めての試みなんだそうです。

長崎大学 河邊 玲教授
「エサ何食べてるかとかですね。イカなのか魚なのか。そんな様子が撮れるととてもおもしろいなと思います。」

今回カメラを取り付けるのは、体長1m50cmほどの大きなクロマグロ。3人がかりで船へあげます。マグロを傷つけないように慎重に慎重に・・・。

マグロはとても繊細な魚。弱らせないように、素早くカメラを取り付けます。24時間後に、自動で切り離される仕組みです。

翌日、カメラの回収に出発!アンテナを使って、カメラが発する微弱な電波を探し出します。受信できるのは、半径1kmまで。何度も四方に振り、カメラを探します。
しかし・・・
( 長崎大学 中村乙水助教)
「だめですね」
なかなか見つかりません。大海原から小さなカメラを見つけるのは、至難のワザです。

探し続けること6時間あまり。
「ピーッピーッピーッ」
ついにアンテナに反応が!

津軽海峡を挟んで松前町の対岸、青森県小泊岬沖でついに発見!マグロは45km以上を移動していました。網ですくい、無事に回収!

(実は一度、あまりに流れがはやくディレクターが回収に失敗してます)

マグロが見ていたのは・・・?
カメラに映っていた映像です。時速70kmほどで泳ぐというクロマグロ。体を左右に揺らしながら力強く泳いでいました!
この画像、なにが映ってるかわかりますか??
これ、イワシなんです。
カメラには頻繁にイワシを追いかける様子が記録されていました。このイワシの多さが、マグロが大集結する理由の一つです。

でもなぜそんなにイワシが多いか、気になりませんか?答えを探しに今度は北海道大学の
練習船「うしお丸」で、海洋調査に同行!水深ごとに水温や塩分、どんな生物がいるかを詳しく調べます。

すると採取した海水から驚きの生き物が見つかりました!


流氷の天使とも呼ばれるクリオネの仲間です。冷たい海を好むクリオネは、夏の間、水深200mよりも深い海にいます。調査の結果、松前沖では浅い場所にクリオネがいたことがわかりました。

松前沖は栄養満点!
これが何を意味するのか。一般的に、深い海は栄養が豊富です。専門家は、深い海の栄養豊富な水が、浅い所まで上がってきていることを示す証拠だといいます。

(北海道大学 磯田 豊 准教授)
「松前沖が特異点のみたいなところにある。ローカルだけど、ひとつの生態系が作られる可能性がある。」

松前沖には、強い海流が津軽海峡に流れ込んでいます。この強い海流が、クリオネがいた深い海の栄養豊富な海水を、ポンプのように引っ張り上げていたんです。

栄養豊富な海水にプランクトンが大量に発生。それを食べにイワシが集まっていました。集まったイワシを狙って、マグロが大集結していたんです!
松前の海は、さまざまな要因が絡み合ってできた、奇跡のような海だったんですね。

(取材後記)
回転寿司にいけば、100円で食べられることもあるマグロたちの壮絶なドラマ。今後お寿司屋さんでマグロを食べるとき、水中の巨大なマグロの群れや、エサを追いかけ必死に飛び跳ねるマグロの姿を思い出さずには食べられません。厳しい漁獲規制を経て、また戻ってきたクロマグロ。経済的には大打撃の漁師さんたち。それでも釣り続ける漁師さんたちへの感謝も、マグロを食べつつかみしめたいと思います。

松前沖のマグロに関してはこちらもどうぞ

  海面が沸き立つ!? クロマグロの大群に迫る

泳いでいる魚は何センチ? AIが測ります

取材:NHK函館放送局 岡勇之介ディレクター
           館岡篤志カメラマン

#なんか見ささる

NHK函館放送局のホームページ

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