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ほっとニュース北海道

2020年11月16日(月)午後4時00分 更新

新型コロナウイルスの感染拡大で注目される食事の「デリバリー」。アプリで簡単に注文ができる配達代行サービスが人気ですが、普及しているのは主に都市部だけ。地方では導入したくてもできない現実があるのです。その理由は?そして現状を変えようと、北海道の函館市で始まった新しいサービスとは?

デリバリーができない!

急速に需要が増えているデリバリーサービス。都市部では、スマートフォンに入れたアプリで注文するだけで、自宅や職場に届けてくれる大手配達代行業者が人気を集めています。

私が住む函館市でも頼んでみようとしました。スマートフォンにアプリをダウンロードし、住所を入力してみると、出てくるのは「こちらはまだ配達エリアではありません」との表示。地方都市の多くは対象エリア外となっているのです。

こうした配達代行業者が充実していない函館の街で、弁当の出前をしたくてもできないという飲食店が相次いでいるという話しが聞こえてきました。

飲食店はどう考えているのか。函館市の五稜郭公園の近くで居酒屋を営む上原英寿さんの元を訪ねると上原さんは苦しい現状について話してくれました。

感染拡大で店を訪れる客は激減し、売り上げは去年の同じ時期に比べて半分以下に。デリバリーに活路を見いだそうとしたということですが「人手もかかるし、お店で作る労力もあるが、やはりなかなかデリバリーまで追いつかない」と頭を抱えていました。

「でも商品の配達は需要ありますよね?」と質問すると、「お客様からもやってほしいという声はあるが、お店の運営を考えれば、配達に従業員を出す余裕がない」ということです。

さらに「人を雇ったりはできないんですか?」と聞くと、上原さんは「経営が厳しい状況が続いているため新たに従業員を雇用をすることもできない。大手配達代行業者はそもそもエリア外になっていて、依頼することすら出来ませんでした」と話しました。このままウイルスが収束するまで持ちこたえることができるのか。「厳しい中だが、どうやって店をまた立て直していけるか」と切実でした。

なぜ難しい?地方のデリバリー

なぜ、地方ではデリバリーが普及しないのか。一般的にデリバリーでは、注文に対して、お店の従業員か、配達代行業者が1件ずつ客の元に商品を届けます。しかし、この方法では多くの人手が必要で、地方では確保が難しいのです。
さらに人口が密集していない地方では、1件ごとの距離が遠く、時間と配達のコストが高くなるという課題があります。

『集中と効率化』で地方発の配達代行

こうした中、函館市でイベントなどの企画や運営を手がけている國分晋吾さんが、自前でのデリバリーが難しい飲食店の助けになろうと動き出しました。

國分さんは「飲食店は前年比の2割とか3割ぐらいしか売り上げがないなんて話が、市内のあちこちにあった。このままだと函館の飲食店なくなっちゃうんじゃないかなと思った」と危機感を覚えたということです。
そこで10月、函館市で配達代行のサービスを行う会社を設立したのです。市内の飲食店30店、あわせて93の商品から選ぶことができるようにしました。

しかし、地方でのデリバリーは難しいはずでは?。どうして実現できたのか。國分さんは新しいデリバリーの仕組みを思いつきました。その名も「おかずデリバリー」。ポイントは「集中と効率化」です。

國分さんが始めた配達代行の仕組みでは、まず、客は前日の午後3時までに注文を入れます。次の日、國分さんの会社の従業員が注文を受けた各店舗を一気に周り、商品を受け取ります。

商品は一度、國分さんの会社にある温度と湿度が管理された部屋に集められ、その後、従業員が担当エリアに分かれて指定された時間にまとめて配達するという仕組みです。

こうすることで最小限の人数で配達ができ、飲食店が負担する手数料も抑えられるといいます。
このサービスには1日100食前後の注文があり、多い時では500食近くの注文が入ることもあるということです。

國分さんは「東京で同じ事をやろうと思ったら、逆になかなかできないと思う。僕らが地方にいて、デリバリーができるビジネスのモデルって何だろうと考えたときに今の形がいちばん成り立つ可能性があるんじゃないかと思った。本当に微力ですけど何かできることはやろうという思いだった」と話しています。

デリバリーで飲食店は経営の一助に

デリバリーができないと頭を抱えていた居酒屋の上原さんも、國分さんのサービスを利用して、シチューやお弁当の配達に参入しました。

いまでは経営の助けになっていると話しています。上原さんは「今の再建のきっかけとなった。これからはお店での営業もデリバリーも両方頑張っていきたい」と決意をにじませていました。

ほかに参加している飲食店にもデリバリーサービスは意外な効果をもたらしています。
函館の観光名所、函館朝市の近くで飲食店を営む結城延男さんの店は、これまで売り上げの8割を観光客に頼ってきましたが、國分さんのサービスで弁当のデリバリーを始めると、多くの地元の客が購入し、その後、直接お店にも訪れてくれるようになったというのです。

結城さんは「弁当を買ったよって言ってくれるお客さんも多いし、直接来てくれたお客さんもいます。本当にありがたいです」と笑顔を見せていました。

國分さんが始めたデリバリーのサービスは、一度はデリバリーを諦めた飲食店や、これまで観光客に頼ってきた飲食店にも、希望の光を与えています。
地方には地方のやり方があると話す國分さん。観光客は流動的なもので、頼り切らないことが重要だと考えています。
國分さんは「今はすごく変わるタイミングに来ていると思います。これからの『ウィズコロナ』の時代において地方版の新しい食の楽しみ方みたいなものとしては1つの魅力になりうる可能性はあるかなと思っています。もっと多くの飲食店にも参加して頂きたいですし、もっと多くのお客様に食べて頂きたいなと思いますね」と話していました。

國分さんが始めたサービスには登録する飲食店が増えつつあるということで、函館の新しいデリバリーのサービスとして定着するのか注目されます。

<取材後記>
新型コロナウイルスの感染拡大で、不要不急の外出を控えるようになり、自宅で過ごす時間が増えた。飲食店でおいしい食事を楽しみながら仲の良い友人や同僚と騒ぐ。そんな当たり前に出来ていたことが、いまは感染防止のため、少しためらってしまう。でも、自宅に配達してもらえればお店の美味しい食事を楽しむことができる。これまでは頼みたくても頼めなかった。國分さんが話していたように「やり方」を変えるだけで、色々なことができるようになるのだ。私も「おかずデリバリー」で弁当を頼んだ。いま函館で注目を集めるブリカツ。これからもデリバリーを活用しよう。充実したお家時間にするために。

(函館局 記者 川口朋晃)

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