NHK札幌放送局

NHK北海道の中の人たち 旭川放送局 記者 内匠 彩果

デジタル戦略チーム

2020年12月9日(水)午前11時01分 更新


地方の今を全国へ伝えたい

■入局何年目ですか?
内匠:2019年入局の2年目です。旭川放送局が初任地です。

■NHKに入局したきっかけは何ですか?
内匠:もともと記者職に憧れがあり、大学では「マスコミ論」を受講していました。授業の一環で地元のNHK鹿児島放送局に訪問する機会があったのですが、出会った記者の方々が素敵な方ばかりだったんです。仕事の魅力だけでなく、大変さや苦労も本音で話してくださり、親身に進路相談にのってくれました。相談にのっていただくうちに皆さんの人間的な魅力に惹かれ、“私もこんな記者になりたい!”と思うようになりました。特にお世話になった先輩記者2人は現在東京でお仕事されていますが、いつかご一緒したいですね。

素敵な出会いが今につながったのですね。そもそも、なぜ記者を目指したのですか?
内匠:私は鹿児島生まれ、鹿児島育ち。社会人になるまで地方で暮らしていました。地方は東京や大阪などの大都市と比べると情報を得られる機会も少なく、自分から行動しないと視野が狭まってしまうような感覚がありました。自分自身の世界をもっと広げたい、そして私と同じく地方に暮らす人にも多様な情報を届けたいという思いから、記者を志すようになりました。

具体的に、どんな情報を届けていきたいと思ったのですか?
内匠:多くの人に知られていない、地方の現状に光を当てたいと考えていました。私は島が好きで、大学時代は鹿児島の離島を巡り、奄美群島における地方新聞と地域の関係について卒業研究も行いました。そうした活動の中で、医療過疎などの問題を目の当たりにしました。深刻な問題ですが、全国ニュースではなかなか取り上げられません。その他にも、同様にスポットライトが当たらない問題や、その問題に苦しむ地域も多いのではないかと思うと歯がゆく、地方の実情をもっと全国に伝えられる仕事ができたらと思っています。


目指すは本音を話してもらえる「ご近所さん」

現在の業務内容を教えてください。
内匠:主な担当は警察・司法関係です。取材するのは事件や事故が多いですが、その他にも医療、災害、街の催し物など、さまざまな取材に携わっています。「ここのギャラリーで作品展があるよ」と聞けば走りますし、「牧場でアルパカが生まれた」と聞けば訪ねていって、アルパカの赤ちゃんを抱っこしてリポートしたこともありますよ(笑)

■その中でも、何の取材が最も印象に残っていますか?
内匠:「ほっとニュース北海道」で放送した、ある妊婦さんの企画です。コロナ禍での病院や学校の対応を取材する機会が増える中、今困っている人たちのリアルをもっと知りたいと思い、妊婦さんに焦点を当てた企画を提案しました。
お話を聞かせてくださった方は、当初通っていた病院で集団感染が起きたため転院を余儀なくされ、出産直前にようやく病院が決まったものの、自宅からは離れた病院で……と、大変な状況を乗り越えて出産された方でした。涙ながらに経験をお話しくださった女性、そして元気に産まれた赤ちゃんの姿は忘れられません。思い入れの深い企画です。

取材を進める中で感じた課題は主にどんなところですか?
内匠:旭川市内には病院がいくつもありますが、旭川以北になると過疎などの影響で、病院数はとても少なくなります。再編や統合も進んでおり、東京都2つ分の広さの中に病院が数か所しかないという地域もあるんです。医師不足、病院不足は地域の大きな課題ですね。また、北海道は日本の将来の縮図と言われており、いずれは日本の各地でこうした状況が起きうると考えられます。だからこそ、北海道の現状を全国に伝えることには大きな意義があると再認識しました。

もともと課題意識を持っていた医療問題を取材することができているのですね。仕事をする上で大切にしていることは何ですか?
内匠:上司にはよく「カメラが回る前が勝負」と言われますが、私も本題に入る前にどれだけ相手の緊張をほぐせるかが重要だと痛感しています。まずは自分から心を開き、相手を信頼することを大切にしています。相手によってはきぜんとした態度で接しなければならない場合もありますが、時には取材する相手の世界に飛び込むこともあったりします。例えば、工業高校のボクシング部に所属する女子高生ボクサーを取材した時は、私も練習に参加したり(笑)話し方も、相手を緊張させずに、自然体でお話いただけるように気をつけています。その成果か分かりませんが「記者っぽくない」と言われることも多いです。うれしいことですね。目指すは皆さんの「なんでも話せるご近所さん」です!


「NHKだからこそ」の視点を大切に

今後、挑戦したいことはありますか?
内匠:地方特有の問題をもっと取り上げていきたいですね。医療のほか、JRの廃線問題などにも関心があります。北海道で勤務しているうちに、できるだけ多くの企画を放送につなげていきたいです。そして、ゆくゆくは社会問題に関心の薄い方々にも興味を持ってもらえるような番組・ニュースを作っていきたいです。

NHKの記者の強みは、どこにあると思いますか?
内匠:個人的には、客観的な視点を持ちつつ、地域を深掘りできるのが強みだと思います。私は旭川が初任地でまだ異動の経験はありませんが、NHK職員の多くは転勤があるので、全国各地で取材活動を行う可能性があります。地元以外、そして全国各地での取材経験を持つ記者が多くいるのは、NHKならではの強みです。「外の目」を持つ人間だからこそ見えることは必ずあるはずです。私も多様な視点で、旭川の今を捉えていきたいと思っています。


【内匠 彩果 プロフィール】
■局歴:2019年入局後、旭川放送局放送部で勤務
■出身地:鹿児島県
■旭川のここが好き:自然豊かで、ご飯もおいしい!旭川の方々は皆、道外から来た人間にも温かく接してくださるので、さみしさを感じることもなく、毎日楽しく過ごせています
■趣味:釣り、ガーデニング、島旅
■学生時代取り組んでいたこと:
大学の卒業論文では、奄美群島における地方新聞と地域の関係について研究


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