前身の呉服屋から120年以上の歴史がある藤丸。どんな思い出があるのか、買い物客のみなさんに聞いてみました。
『あなたの思い出教えて』
さっそく藤丸の前で取材開始です。
(40代女性)
「子どもの時から“藤丸行くよ”と言われるとワクワクしていました」
(80代女性)
「もう60年以上通っていますよ。閉店すると聞いてさみしいね」
みなさん感慨深そうに話してくださいました。次にお話を聞いたのは、藤丸にアイスクリームを食べに来ていた帯広市の桐谷美衣さん(86)です。
桐谷さんの思い出は?

『半世紀、大事にしてきたスカーフ』
桐谷さんの思い出は、昭和41年(1966年)、半世紀以上前に購入した外国ブランドのスカーフ。自宅で見せてもらえることになりました。
それがこちら。鮮やかなピンク色と細かい模様が美しいスカーフです。購入から56年が経過したとは思えないほどきれいな状態で、手洗いで大事に使ってきたそうです。当時の値段で8000円相当の高級品でした。

桐谷さん
「この色が好きなんですよ。縁取りもしてあって、本当にすばらしいなと思って。いい加減なげてもいいかなと思うけど、なんかもったいないような気がして」
『気持ちを楽しませてくれた藤丸』
桐谷さんは30歳の時、夫の俊行さんとともに事業を興すため、空知の北竜町から帯広市に移住しました。そして、自動車ガラスを製造する会社を新たに立ち上げ、事業を軌道にのせるために奔走していました。

移住からまもなくして通い始めたのが藤丸でした。
桐谷さん
「朝から晩まで、お客さんが来るとなったら夜中でも職場に行って、当時はものすごく働いたんですよ。前に住んでいた北竜町にはデパートがなかったので、藤丸に行くのが楽しかったですよ。息抜きにというか、藤丸に通えることがうれしくて」
『家族の思い出も“さみしい”』
桐谷さんが見せてくれたのは、藤丸で購入した洋服を着て写った家族4人の集合写真。夫の俊行さんは3年前に他界し、今は子どもが会社を引き継いでいます。
2、3日に1回のペースで通い続けた藤丸には、家族との思い出も詰まっています。

桐谷さん
「藤丸がなくなったらさみしいね。絶対このスカーフのことは忘れないと思います。1番最初に気に入って買ったんだから」

2022年11月21日
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