NHK札幌放送局

WEBニュース特集 大学生が伝える“APDの悩み”

北海道WEBニュース特集

2020年11月16日(月)午後2時48分 更新

聴力検査で異常はなくても、雑音の多い場所で必要な音や話を聞き取れずに理解できなくなってしまう人たちがいます。APD=聴覚情報処理障害という症状に悩まされている人たちです。脳の神経機能や認知機能の異常などが原因と指摘されていますが、詳しいことはまだ分かっていません。
“APDに悩む人たちをより多くの人に知ってほしい”。APDの認知を広めたいとホームページを制作した大学生の思いを取材しました。

アルバイトで気付いた“違和感”

ホームページを制作したのは北海道情報大学4年生の早坂雪乃さんです。専攻はデザインで「たう汰」というアーティスト名で活動していますが、自身もAPDの症状に悩まされています。

違和感を覚えたのは4年前、居酒屋でアルバイトをしていた時だと言います。

早坂雪乃さん
「お客さんの注文が食器の音と混ざってしまい、聞き取れなかったり、聞き間違えちゃったり。厨房で同僚の指示が聞き取れないこともあって、連携が取れないことがあった。結局、アルバイトを辞めることになって、その時に『おかしいな』と思ったのが症状に気が付いたきっかけでした」

優しいデザインで伝えたい

会話はできるのに環境次第で話が聞き取れない時があるというAPD。その説明の難しさを解消したいと、早坂さんは去年、症状があることを伝えるためのマーク「APDマーク」を制作しました。

しかし、APD自体があまり知られていないことからマークだけで症状を知らせることに限界を感じ、ホームページを制作することにしました。

「同じ悩みを抱えている人を少しでも楽にできるならという思いもありましたし、せっかくデザインの分野で勉強しているので、その力で何か解決できたらいいなと思って作りました。少しでも分かりやすく、症状に悩む人が説明しやすくなるようにと考えています」

“少しの気遣い”で伝わる会話に

ホームページは国際医療福祉大学の小渕千絵教授の監修を受けています。掲載しているのはAPDの症状の特徴や同じ悩みを抱える人が集う「当事者会」の情報、そして7つの具体的な対処法です。
対処法では次のようなアドバイスを紹介しています。

①話し声と騒音の聞き分けが苦手なので、“静かな場所で話をする”
②聞き取りにくさをカバーできるように、“口元が見える位置で話す”
③複数人の会話についていくことが苦手なので、可能な限り“1対1で話す”
④文字で伝える
⑤電話の音声は特に聞き取りづらいので、応対は別の人にお願いする

監修した小渕教授のもとには「自分もAPDかもしれない」といった相談が毎日寄せられています。

国際医療福祉大学 小渕千絵教授
「海外を参考にすると、APDの人は子どもと大人のうち2~3%と言われています。毎日のように問い合わせがあるなど関心が高いことが分かったので、来年にかけて大規模な調査をしてニーズを確認し、支援体制を整えたいと思っています」

APDを知り“悩みを分かち合って”

ホームページを制作した早坂さんは、APDに悩んでいる人たちとその周りにいる人たちにこうメッセージを送っています。

早坂雪乃さん
「当事者のみなさんは悩みを分かってくれる人もいるし、支援してくれる人もいるので、勇気はいるけど、悩んでいることを周囲に伝えたり、声を上げたりしてほしいと思っています。一方、周囲にいる人にはAPDという分かりにくい症状で悩んでいる人がいることを知ってほしいです」

早坂さんが制作したホームページは10月から公開されています。APDを知る一歩として、「APDマーク ”聞き取れない”と生きよう」(※NHKのサイトを離れます)にアクセスしてみてください。

(NHK札幌放送局・瀬田宙大 2020年11月5日放送)

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