NHK札幌放送局

地元こそ縄文遺跡の有効活用を 函館 世界遺産登録1年

道南web

2022年7月27日(水)午後2時11分 更新

「北海道・北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産に登録されてから、7月27日で1年になりました。このうち函館市にある2つの遺跡にはコロナ禍にも関わらず訪れる人が増えるなど、登録の効果が現れています。一方で、こうした“世界遺産効果”をいかに持続させて地域の活性化につなげるのか、地元では模索する動きも出ています。

コロナ禍でも健闘

「北海道・北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産に登録されたのは、去年7月27日。北海道と東北3県に点在する17の縄文時代の遺跡から構成され、道内には函館市と洞爺湖町にそれぞれ2つ、伊達市と千歳市にそれぞれ1つの合わせて6つの遺跡があります。

このうち函館市の南茅部地区には、国内最大級の規模の盛り土遺構がある「垣ノ島遺跡」と、大型の竪穴住居が特徴の「大船遺跡」の2つの遺跡があります。

世界文化遺産への登録後、この1年間で2つの遺跡を訪れた人は7万人以上。このうち、登録前から一般公開されていた大船遺跡では、前の年の同じ時期に比べると1.7倍に増加するなど、訪れる人は大幅に増えました。

観光客
「北海道の縄文時代というのは、よく知らなかったのですが、世界遺産に登録になって『ああ、そういう遺跡があるんだな』ということを1年前に知り、いずれ行ってみたいなと考えて、今回、来させていただきました」

遺跡の近くでホテルを経営する西村晴美さんも“世界遺産の効果”を実感しているひとりです。西村さんによると、世界遺産への登録後、ことし6月までの宿泊によるホテルの売り上げは、前の年の同じ時期に比べておよそ20%増加。さらに、日帰り入浴を利用する人も10%程度増えたということです。

「通常コロナ禍で、大変苦戦するなというところでの世界遺産への登録だったので、その効果は私たちにとっては、ありがたかったですね」

地元は関心がない!?

一方で、西村さんは“世界遺産の効果”が一時的なものに終わるのではないかと不安も感じています。西村さんは効果を持続させるためには、地元の人たちが積極的にその魅力を発信する必要があると感じていますが、肝心の地元が世界遺産に対してあまり関心を示していないことが気がかりだといいます。

西村晴美さん
「世界遺産がある地域に住んでいるので、『いや私は知らない、分からない』というのではなく、やっぱり最低限ひとりひとりがその思いをいろんな形で伝えて、世界遺産の魅力をいろんな形で生かしていかなければいけないと思うんですね。まずは自分たちの宝物だということを認識するところから始まって、それを1人ずつ増やしていければ、と思います」

世界遺産の中心で、愛をさけぶ

どうすれば地元の関心を高めつつ、世界遺産を有効活用し、地域の活性化につなげられるのか。そこで西村さんが企画したのが、「縄文ウエディング」というユニークなイベントでした。

招待されたのは、地元・南茅部地区出身の新郎新婦。一生の思い出である結婚式を世界遺産のど真ん中で挙げることで、ふるさとに世界遺産があることを改めて認識してもらおうというのがねらいです。

式は、垣ノ島遺跡にある国内最大級の盛り土遺構で行われ、新郎新婦は縄文人にふんした人たちに先導されながら入場。そして2人が夫婦の誓いを述べて指輪をお互いに交換すると、集まった親族や友人たちが拍手を送って、2人の新しい門出を祝いました。

新郎
「地元のこういう世界遺産で特別なことができて、とてもいい思い出になりましたし、改めて地元にこういうすばらしいものがあるんだなと実感しました」
「世界遺産になったこの地で結婚式をすることで、地域の方々も再度、世界遺産の遺跡がある町だということを再認識し、それを広げて大切にしていこうという気持ちも強くなってくれればと思います」

縄文ツアーで関心を

地域の機運を高めようと、地元の人を対象に縄文遺跡を巡るツアーをみずから企画した人もいます。

2つの遺跡がある南茅部地区に隣接する椴法華(とどほっけ)地区で、町会連合会の会長を務める川口英孝さんです。

「自分の生まれた地域が世界遺産になったというこの感動を実感してほしいですし、世界から観光客が来るので、ここにすごいものがあるんだよということは、やっぱり住民が感じないと意味がないですね」

この日、参加したのは椴法華地区に住むおよそ20人。これまで遺跡をほとんど訪れたことがない人ばかりで、このうちの1人は「初めて来ました。今まであまり興味がなかったのですが、行ってみようかなと思って」と話していました。

その一行が訪れたのは大船遺跡。参加者たちはガイドの説明を受けながら竪穴住居跡などを見学。遺跡の成り立ちについて熱心に質問するなど、興味津々の様子でした。

「こんなの初めて見たので、やっぱり感動しましたよ。すごくよかったです」
「地元の人がよく知らないと、やっぱり情熱を持って発信できないので、地元の人たちがやっぱりきちっと勉強して、地域を見直して、そして世界遺産の意義を世界に発信するということが必要なんじゃないかなと思っています」

「北海道・北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産に登録されてから1年。その効果をいかに持続させて、地域の活性化につなげていくのか、模索が続けられています。

取材:NHK函館 鮎合真介

2022年7月27日

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