NHK札幌放送局

最新ITで変わる稲作

ほっとニュース ミニ

2019年6月27日(木)午後5時30分 更新

少子高齢化などによる人手不足を補おうと、道内ではITを駆使した稲作が広がり始めています。田植えや水田の管理など手間のかかる農作業を効率化・省力化する最新の稲作技術と、その効果を取材しました。

人手不足を補う新技術

5月、旭川市内の水田でGPSを活用した自動運転の田植え機が活躍していました。

苗の補給は人が行う必要がありますが、それまで運転手と2人で行っていた作業を1人で出来るようになりました。運転の精度も高く、苗はまっすぐにしっかりと植えられます。

「近年、田植えのアルバイトが集まりにくくなったため導入しました。満足しています」(稲作農家 佐野 彰俊さん)

開発した農業機械のメーカーによると、道内の他の稲作農家からも多数の問い合わせが寄せられているそうです。

激減する稲作農家

少子高齢化が進む中、稲作農家は急激に減少しています。

農林水産省のデータでは、道内で主に稲作を手がけている農家は平成20年には8000戸ありましたが、平成30年には5800戸と、10年間で実に3割近くも減ったことになります。

田植えといえば、かつては家族や親族が総出で、また近隣の農家が助け合って行うのが当たり前でしたが、それもままならない現状になってきています。
ITは人手不足の稲作農家にとって、無くてはならないものになりつつあると言えます。

稲作農家の働き方改革

新しい技術は人手不足を補うだけでなく、手間のかかる作業の効率化や省力化にもつながっています。上川の東川町では、水田の水の管理を行うシステムが導入されました。

このシステムでは、水田の中に設置されたセンサーが「水の深さ」と「水温」を24時間測定します。得られたデータは用水路からつながるバルブに伝達され、毎朝、設定値よりも減った分を自動的に放水して補うのです。

さらに、データはインターネットを通じてスマートフォンにも送られるので、わざわざ水田に足を運ばなくても、いつでも現状を把握できます。

水は減っていないものの水温が上がり過ぎているような場合などには、スマートフォンからの操作で放水し、水温を下げることも可能です。

田植えから稲刈り前の8月中旬まで毎日欠かすことのできない水の管理は、農家にとって最も手間のかかる作業のひとつです。
このシステムを導入した稲作農家の尾上さんも、これまでは広大な田んぼをまわって状況を確認しながら、手作業で水門を開閉していました。

システム化によって、見回りや水の管理にかかっていた時間をほかの作業に充てることができ、効率化と省力化が進んだといいます。

「非常に助かっている。省力化でまた違うところに、野菜の栽培などにも手を伸ばして収入を得るという方法もあるでしょうし、もう1つ仕事が出来るという流れは出来てきました」(稲作農家 尾上 康紀さん)

この水管理システムについて、ホクレンが昨年より道内5市町で実証実験してきた結果、作業時間を3割から5割も削減出来たということです。

稲作 “新時代” 今後の課題は?

こうした新しい技術。「高額な費用」が普及に向けた課題のひとつです。

自動運転の田植え機は、既存の田植え機に取り付けるGPSなど装置の価格・導入費用として、およそ150万円。これは田植えの時期のアルバイト代10人分に相当します。

また水田の水管理システムは、センサーとバルブのセットで価格は12万円。さらに、インターネットでスマートフォンにデータを送る設備に30万円かかります。

稲作の人手不足対策や作業の省力化・効率化は喫緊の課題です。将来にわたって稲作を守っていくためにも、国などのより手厚い支援が求められます。

(2019年6月18日放送)

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