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【ふるさと自慢】 興部町「持続可能な酪農 バイオガスプラント」

  • 2022年12月6日

酪農が盛んな興部町では、家畜から出るふん尿などのバイオマス資源を活用したカーボンニュートラルなまちづくりを推進しています。「酪農のまち」興部町ならではのSDGsへの取り組みを探ってみました。 (2022年11月放送 )

 

興部町の酪農

オホーツク海沿岸のほぼ中央に位置する興部町は、酪農と漁業が基幹産業の町。過去には玉ねぎやじゃがいもなどを栽培していましたが、冷害や凶作に見舞われたため、昭和20年代後半から寒冷に強い酪農へ転換しました。「酪農専業地域」といわれ、町内では酪農の他は家畜用の飼料のみが栽培されています。現在67戸の酪農家がおよそ13000頭の牛を飼育し、年間およそ56000トンの牛乳を生産しています。

バイオガスプラントとは

興部町の興部北興バイオガスプラント(町営)では、町内の家畜から出るふん尿・一般家庭や事業者から出る生ごみ・下水汚泥などをメタン発酵処理することで、飼料の肥料となる消化液を生産しています。また発酵の過程で発生するバイオガスを発電に利用し、年間で1210MWhの電力を生み出しています。これは一般家庭310世帯の年間電力消費量(1家庭あたり年間3900kWhと想定)にあたります。また電気自動車1210台の年間消費電力量(62kWhバッテリー搭載車で年間6000km走行と想定)に相当します。酪農から出るバイオマス資源を活用することにより、カーボンニュートラルなエネルギーの生産を実現しています。

バイオガスプラントの歴史

酪農業において、乳牛の飼料となる牧草の生産は大変重要です。以前は牧草の肥料として家畜のふん尿をたい肥にして畑に散布していましたが、悪臭や、ふん尿に含まれる雑草の種による雑草率の上昇などの課題がありました。酪農家の戸数が減る中でも牛の数は変わらず、ふん尿の処理にかかる労力は増加する一方でした。
自らも酪農を営み以前からふん尿処理に課題を感じていた現興部町長・硲(はざま)一寿さんが、2003年に初当選して以来、道内先進地などの取り組みを参考にしながらバイオマスの研究を進めていきました。2012年に再生可能エネルギーを買い取る「FIT制度」が制定されるなどの後押しもあり、現在では安定的に売電されるまでになりました。しかし電力系統の空き容量不足により新規売電ができないため、新たなバイオガスの活用方法について研究を進めるべく大阪大学との連携協定を締結するなどの取り組みを行っています。

「オホーツク農業科学研究センター」

興部町には「オホーツク農業科学研究センター」があります。この施設では、土壌分析や飼料分析などの酪農に関する研究・分析を行っています。このような研究施設を町営で設置しているのは珍しく、バイオガス研究に果たした役割は非常に大きいとのことです。

編集後記   

現在は生乳生産やチーズ製造などの6次化にも取り組んでいる興部町。私も道の駅で牛乳とチーズを購入して「おいしいおこっぺ」を堪能しました。またソフトクリームも絶品でした。他にもホタテやカニなどの海産物も特産品です。大地と海の恵みでいっぱいの興部町へ是非お越しください!

旭川放送局 高野陽平

 

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