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江別でアートに触れる秋

  • 2022年11月7日

こんにちは!「ほっとニュース道央いぶりDAYひだか」道央担当のリポーター、坂井里紗です。ここ数か月、ななまるマップでは道央のおいしい魅力をたくさんご紹介してきましたが…今回はなんと!食ではございません!!!江別市で「芸術の秋」を堪能してきました。懐かしいうれしい出会いもあったのでご紹介したいと思います♪

取材したのは現在開催中のイベント「えべつまちなかアート月間」です。カフェやパン屋さんなど江別市内にある10のお店などに地元を中心に活動する若手の作家11人の絵画を展示しています。コロナ禍で発表の場が少なくなっている若手作家たちの作品を多くの人に見てもらおうと、地元の有志の市民などでつくる実行委員会が初めて企画しました。実行委員長の橋本正彦さんに開催への思いを伺いましたが、丁寧に取材に応じて下さり若手作家たちを応援したいという強い思いを感じました。

えべつまちなかアート月間実行委員会 橋本正彦実行委員長
「コロナ禍の中で若い作家さんが創作する場所を失ったり発表する場所がなくなったりととても困った状況になっていると聞いて何とかできないだろうかと始めました。江別は大学が4つもあって創作活動をしている若い方もたくさんいますが、見られる機会は多くはありません。日々の暮らしの中で、自分がふだん出入りしているお店の中に作品があったらもっと身近に感じてもらえるんじゃないかなと思いました。出会うことがなかったかもしれない作品とお客さんが出会うことで何か新たなことが起きるんじゃないかと思っています。作家さんはお店の雰囲気に合わせて自分の作品を選んだり描き下ろしたりしてくれていますが、自分だけじゃなくお店の人などと一緒に試行錯誤してもらえたらなと思っています。ぜひこれをきっかけに若い作家さんの作品にも目を向けてもらえたらなと思います。」

ではどのような作家さんが参加されているのでしょうか。作品が展示されているお店のひとつ「サッポロ珈琲館Rinboku」に向かいました。

お話を伺ったのは加藤大幹さん。実は加藤さんとは以前にお会いしたことがあるんです!大学の研究室の油彩画展を取材した際に加藤さんにお話を伺っていました。加藤さんは当時大学4年生で約2年ぶりの再会です!加藤さんも覚えてくれていました!うれしい!さらに今のお仕事を伺うと…。

加藤大幹さん
「ふだん江別市内の中学校で教員として働いていて美術を教えています。」

なんと!学校の先生になっていました!!!出会った頃は大学生だったのに…。背筋が伸び凛とした姿に成長を感じました…って勝手に姉の気分です(笑)。そんな話はさておき、今回加藤さんは10の作品を展示しています。そのうち5つが新作で今回に向けて2か月かけて制作したもので、いずれも店の雰囲気に合うように白を基調にしています。こちらはそのうちのひとつ「stand still」です。

加藤大幹さん
「レースを着た女性をモチーフに書いている作品で、ぱっと見何を描いているか分からないかもしれませんが近寄って見ると模様があって、もっとよく見ると女性の姿が見えてくるみたいな作品です。カメラロールにあった何気ない写真が光の具合がすごくきれいに捉えられていて、いいなと思ったので描きました。描かれているものの大部分が模様になっているので、こまめに観察しながら色の移り変わり、濃い、薄いみたいなものを点で表現するのを工夫して描きました。」

そしてこちらは「still life」。恐竜や靴が繊細に描かれています。

加藤大幹さん
「教員として江別に配属されて何かここでできることはないか、ふだんの教育以外にも自分の制作で関われたらすごくすてきだなと思ったので参加しました。ちょっと前までは大きく制限されながら制作活動をやっていましたが、ちょっとずつやれることが増えていって、こういう機会をつくってくださってすごくうれしいです。カフェスペースでお茶をしている人の邪魔にはならないよう、なおかつ寄り添えるような、だけどもちょっと気になるような『これなんだろう』って思えるような作品にしたいと思って描きました。気になった方はぜひ近くで見てほしいなと思います」

さらに作品を展示している人の中には大学生もいます。子どものころから江別市内に住む太子和奏さんです。丁寧に言葉を紡ぐ方で優しく繊細な人柄が作品からも感じられました。まずは太子さんにふだんの制作の様子を見せてもらいました。

太子さんは大学の油彩画研究室に所属しています。お邪魔した時も研究室に所属する1年生から4年生まで集まって真剣に制作していました。太子さんは研究会についてメンバーの作品を制作過程も含めて間近で見ることができて刺激的な場だといいます。美術の歴史などを学ぶ勉強も「自分の絵のための学習だから」と楽しんでいるんだそうです。そんな彼女の活動にも新型コロナの影響がありました。

太子和奏さん
「コロナ禍の時期は学校にも行けず自宅で制作する日々が続いていたんですけど、大きな作品とかはやっぱり家で描くのは大変ですし、一人でずっと描いていたので心がつらかったです。コロナ禍で人と接する機会が少なくなってしまって以前よりも人と会うことや人とのつながりの大切さをより感じるようになっているので、今回の催しで地域の方やお店の方々とつながりを持てたことが本当によかったなと思います。」

そんな太子さんの作品はパン屋さんの「パン工房あさのわ」に展示されています。

今回の催しのために描きおろしたという3点は、いずれも店で売られているパンをモチーフにしています。太子さんはパンを買ってじっくり観察したあと実際に食べ、想像を膨らませて描いたということです。こちらはクリームパンから描いた「クリーム」という作品です。

太子和奏さん
「かまくらをイメージして描いています。観察してみるとパンの上に粉みたいなものが振ってあってクリームパン自体が真っ白で雪を連想しました。これからの時期は寒くなってくるので温かい色合いの絵を見て心もあったまってほしいなと思って描きました」

さらに太子さんがお店の人に喜んでもらえたことで愛着がより一層わいたという作品、「リンゴ」。こちらもモデルは店で売っている「リンゴパン」です。

太子和奏さん
「パンの柔らかさを子どもたちが触っている部分のへこみで表現したり、リンゴの表面のつるつる感をハイライト入れて表現したりしました。最初に公園や遊具みたいな雰囲気にしたい、にぎやかな感じを演出したいと思ったので、2人の女の子を描きました。」

太子和奏さん
「食べた時に感じたことを絵に込められるように雰囲気を考えながら描きました。今までは自分のために描く絵が多かったのですが、今回はお店の方やお客さんに見てもらうということを意識して描いたことで今までとは違った心持ちで描くことができて楽しかったです。絵を見て、一つ一つのパンの雰囲気や味を感じていただけたらうれしいなと思っています。パンを食べに来た方にも、もちろん絵が大好きな方にも幅広い方に見ていただき、幸せな気持ち、明るい気持ちになってもらえたらうれしいです」

この内容は 11月4日(金)6時40分からの「ほっとニュース道央いぶりDAYひだか」でごお伝えしました。「えべつまちなかアート月間」は11月27日まで開かれていて、一部の店は開催期間が異なるということです。

取材後記

今回取材では、4つの飲食店に伺いました。おいしいコーヒーを飲みながら一息ついたり友人と楽しそうに話しをしたりするお客さんと、その中に飾られている作品。若手作家のみなさんは今回のために作品を選んだり描き下ろしたりしたとのことですが、どれも空間になじみつつ目を引く作品ばかりで、きっとお店の雰囲気など試行錯誤しながら制作したんだなと実感しました。太子さんの作品が展示されているお店の方にお話を伺いましたが、完成した作品を見るまで店のパンがモデルになっていることは知らなかったそうで、「すばらしい作品で見た時はうれしかったです。ずっと飾っておきたいです」と話していました。皆さんも若手作家の作品を見ながらお茶でもしませんか?!

道央いぶりDAYひだか
坂井里紗
2022年11月4日

前回は深川市のおいしい飲食店の魅力をまとめた冊子をご紹介しました。1日では回りきれません!こちらも併せてどうぞ♪
深川の「食」をこの1冊で!☆

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