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旭川家具に北海道産レザーを

  • 2023年12月1日

北海道で育った牛の皮から作られた、きめ細かでつややかなレザー。 家具作りが盛んな旭川市で、この“道産”レザーを使ったイスやソファーが、ことし新たに誕生しました。これまで畜産業の副産物だった牛の皮を、海外産のレザーに代わる上質の道産レザーに加工して家具に取り入れ、地域の特産品にしようという取り組みを取材しました。 (NHK札幌放送局  住田達) 

きめ細かく上質な道産牛レザー

北海道で育った乳用牛や肉用牛の皮(副産物)から作られたレザーは「HOKKAIDO  LEATHER」と呼ばれています。このレザーを使った椅子が展示されている旭川市の家具展示販売場では、その座り心地の良さに驚く人たちの姿がありました。

展示されているイスを試す男性

大阪から訪れた男性
「楽に座れますね。できるだけ国産のものを使ってつくるというのはいいことだと思います」

小樽市から訪れた夫婦
「こんなに張りがある革ってない気がします。どさんこなので、やっぱり北海道のものは愛着あるしいいですね」

展示されているイス

品質の良さの秘密は

それは北海道の気候です。世界で伝統的に質が良いとされるレザーの原料となる牛の皮は、北アメリカの五大湖周辺やヨーロッパなど、寒暖差の大きい地域が主な産地です。実は、北海道はそうした産地と緯度が近く、気候も似ていると言います。旭川市で、畜産加工会社を経営し、牛の皮を長年扱ってきた作田清治さんに話を聞きました。

作田清治さん
「北海道では気温がマイナス30度からプラス30度まで60度くらいの寒暖差があります。それが牛の皮を丈夫にし、きめ細かにし、滑らかにします。道産牛の皮は、世界標準で見ても上の方の品質の皮だと思います」

畜産加工会社  作田清治さん

さらに、道産レザーにつかう牛の生育環境にも工夫があると聞き、旭川市から車で1時間ほどの上富良野町で、ブランド和牛を育てる畜産農場を訪ねました。

北海道上富良野町の畜産農場

この農場では、上質な肉を生産するため、牛がリラックスできるよう牛舎で落ち着いた音楽をかけたり、体をかくときに体を傷つけることがないよう、ゴムタイヤを設置したりすることで、牛にストレスを感じさせない工夫をしています。その環境が、肉の質だけでなく皮の質の向上にも役立っていると言います。

場内を説明する今成健広取締役(左)と音楽を聴く牛♫(右)

道産レザーの安定供給へ

畜産加工会社の作田清治さんは、その質を保つための設備を整えました。一般的には離れた場所にある防腐処理施設を牛を解体する処理場のすぐそばに整備し、さらに防腐処理で塩をつけるタイミングを通常よりも早くすることで、皮の腐敗を最小限にとどめるようにしました。

牛の皮に防腐処理をする機械(左)と処理後の牛の皮(右)

皮にこうした工夫を施しても、牛が自然の中で過ごす中でついてしまう虫刺されなどの小さな穴や傷は取り除くことはできません。そこで、皮をレザーへ加工する段階で、皮の風合いを生かしつつ、穴や傷をコーティングする特別な加工をすることで、家具用の広い面積のレザーを安定供給できるようにしました。

レザー加工の様子

旭川家具とコラボレーション

こうして完成した道産レザー。地元家具メーカーの革担当者も、その質の良さに驚いています。

家具メーカーの革担当者
「こんなにキズがない状況のものってあんまりなくて、すばらしいと思います」

納品されたレザーの質に納得する家具メーカーの革担当者

「HOKKAIDO  LEATHER」を使ったイスは、旭川市役所の新庁舎の市長室や応接室、旭川市議会の議場にも取り入れられ道産レザーを使った家具を生産する地元メーカーの数は少しずつ増えていると言います。

道産牛革を使ったイスが置かれた旭川市役所新庁舎の応接室

作田さんたちは、今後は国内だけでなく、海外の展示会などにも参加してその良さを広めていきたいと考えています。

作田清治さん
「旭川家具工業協同組合でも、今後は道産レザーを家具に組み合わせていくことで付加価値をつけていきたいと考えています。旭川家具は、世界に通用する家具だと思います。そのなかで、道産の牛の皮が形として残っていくのはとても意義があると思います。全道に広げていって、世界にも発信していきたいと思います」

取材を終えて

私はふだん手にするレザー製品に使われている皮がどこで育った動物の皮なのか意識したことはありませんでした。今回の取材では、生きた牛がレザーになるまで上流から下流までを見ました。その中で最も印象的だったのは、牛の皮に防腐処理をする工場での取材でした。解体された牛の皮がつぎつぎと運ばれてきます。血がついたままの大量の皮は生々しく目を背けたくなる光景でしたが、牛肉や牛乳など牛の命を頂く限り毎日大量に牛の皮が出るのが現実です。それらを廃棄物として捨てることなく、レザーとして活用することが命をむだなく頂くことにつながる一つの方法なのではないかと感じました。


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