網走市に流氷が到来する前の1月下旬、市内の藻琴の海岸に大量の氷の塊が打ち上げられました。専門家の調査では、周辺の湖から流れ出た氷が漂着した可能性が高いとみられています。透明度が高い大小さまざまな氷が太陽の光を浴びて輝く様子は、網走で長年暮らしてきた私にとっても新鮮な光景でした。
私が藻琴の海岸で氷塊を撮影したのは1月30日の早朝でした。厳しい冷え込みで海面からけあらしが立ち上る中、大きい物では1メートルを超える氷が海岸のあちらこちらに打ち上げられていました。漂着してから時間がたっていたためか、多くは雪や砂をかぶっていましたが、流氷とは違う透き通った氷は朝日を浴びてキラキラと輝いていました。海岸では訪れた人たちがもの珍しそうに撮影する姿も見られました。

私は若い頃に風景写真家だったので、網走の景観は人並み以上に知っているつもりですが、こんな光景は今まで見たことがありません。昔のこの時期には押し寄せた流氷が海岸で山脈のように連なり、それを目当てに本州からたくさんのカメラマンがやってきましたが、流氷が減った今ではほとんど見られなくなってしまいました。そんな状況の中で遭遇した光景に新鮮な美しさを感じました。
後日、現地調査を行った北見工業大学の吉川泰弘准教授によると、この氷塊は海岸近くの藻琴川河口にかけての範囲に集中していて、川の上流の藻琴湖に張っていた氷が流れ着いた可能性が高いということです。私は海岸の200メートルほどの間に点在していると思っていましたが、氷を覆っていた雪がとけてみると実際にはその何倍もの範囲に広がっていたわけです。

こうした川や湖から流れ出した氷は、十勝の豊頃町では「ジュエリーアイス」と呼ばれて冬の観光資源になっています。周辺の風や波などの状況に左右される自然現象のため、網走で出現する可能性は未知数ですが、吉川准教授は次のように話しています。
「気象条件がそろえば、今後も見ることができるのではないか」
地球温暖化に伴う流氷の減少が懸念されている今、藻琴の海岸に打ち上げられた氷塊は新たな観光資源になる可能性を秘めた“宝の氷”なのかもしれません。
網走支局 佐藤公哉
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網走市の海岸に打ち上げられた氷塊 藻琴湖の氷が漂着か

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