NHK札幌放送局

ガザ地区で深刻化する医療危機 支援続ける札幌の医師は

ほっとニュースweb

2023年10月20日(金)午後8時12分 更新

パレスチナのガザ地区をめぐる大規模な軍事衝突。10月17日にはガザ地区の病院では爆発があり、多数の死者が出た。ハマス側はイスラエル軍による攻撃だと主張、イスラエル軍は攻撃を否定している。人道状況が悪化する中、ガザ地区で10年以上にわたって医療支援活動を行ってきた札幌市の医師に現地の医療体制について話を聞いた。爆発が起きた病院を支援のためかつて視察していて、ガザ全域での医療体制がさらに深刻化しかねないと警鐘を鳴らしている。

札幌市の整形外科医、猫塚義夫さんは、勤務医として診療にあたる傍ら、「北海道パレスチナ医療奉仕団」を結成、道内の医師や看護師などと2011年からガザ地区で医療支援活動を行ってきた。

ガザ地区に22か所ある国連機関の診療所のほか、民間の病院にも巡回し、住民に診療、2018年には紛争で銃撃され、けがをした人の処置にも対応した。ガザ地区では、支援当初から物資や電力のほか医薬品も不足し、厳しい状況が続いているという。

猫塚義夫医師
「ガザ地区で一番大きな病院でもレントゲンを読む『シャウカステン』という機器が、とても小さい上に壊れている。医療機器も医薬品も足りない。整形外科の手術では手術道具を使い回しをしなければならない時もありました」

そんな中でも、志ある医師たちの努力でかろうじて医療が成り立っているのが、ガザ地区の現状だ。

猫塚義夫医師
「手術中に停電になり、手術室の電気が消えることもあります。そんな時には、手術にあたっている麻酔科の医師や看護師などが自分のスマホのあかりで照らし出してくれます。ガザの医療は、志のある人々によって守られています」

猫塚さんは、今回の軍事衝突は、これまでにない厳しい状況だと感じている。

先週土曜日、ガザ北部の知人から1歳の娘が爆撃で亡くなったと知らせが入ったのだ。

猫塚義夫医師
「知人から娘が亡くなり、家族がけがをしたと連絡がありました。住んでいた自宅が攻撃され、崩れ落ちている画像が送られてきましたが、知人の気持ちを思うとなんとも言えない悲しい気持ちになりました」

猫塚医師は、今週にはいって、何度も知人にインターネット電話をかけているが、つながらない状況だ。

イスラエルは、ガザ地区北部の100万人あまりの住民に南部への退避を通告し、避難を強いられているが、重病の患者には困難だという。

猫塚義夫医師
「南部のラファには大きな病院はありません。南部にあるわれわれが支援に行っている病院は50床くらいの病院です。大きな医療施設があるのは北部のガザ市です。北部から南部の病院には入院患者を移すことは引き受けられる病院がないので無理だと思います。今の状況は、死ねと言うことと同じことだと思います」

猫塚さんは、17日のように病院が爆破されて多数の死者が出るなど衝突が激化すれば、ガザ地区の医療体制はますます危機的な状況になると予想している。

猫塚義夫医師
「たとえば2000人の死者がでたら、1万人から2万人ぐらいのけが人がでるとすると、助かった方は、病院に入ります。しかし、病院には、医師の数もベッドの数も限りがあります。本来、入院して医療を受けなければならなかったがんの患者などは病院を出なければいけなくなる、治療どころではない状況になると言えます」

猫塚医師は、一刻も早くガザ地区に入って、医療支援にあたりたいと考えている。

猫塚義夫医師
「医師として、戦争とは最大の健康破壊だと思います。国際社会は戦争をやめさせ、特に医療、ライフラインの確保につながる人道支援を受けられるよう人道回廊を作ってほしいです」

猫塚さんは、今月下旬に医療支援のためガザ地区を訪れる予定だったが、延期を余儀なくされているということで、人道支援活動の安全が確保され次第、現地で支援にあたりたいと話す。

ガザ地区の住民の命をどう守っていくのか、取材を続けたい。

2023年10月20日

黒瀬記者が書いたWEB記事はこちら👇
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