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【ふるさと自慢】 当麻町「鍾乳洞で日本酒熟成」

  • 2022年8月26日

ゴツゴツとした突起が印象的な「当麻鐘乳洞」。北海道指定天然記念物にも指定されています。温度・湿度を一定に保つことができる洞内の環境を生かし、地域で生産されたコメを使った純米大吟醸酒づくりが行われています。鍾乳洞の神秘的な力で仕上がった日本酒を、ぜひお召し上がりください。( 2022年4月放送 )

 

★肩書は放送当時のものです

日本酒を作ったきっかけは?

日本酒が好きな人の集まりで「とうまジャパンLOVE」というコミュニティがありまして、それぞれ好きな日本酒を持ち寄って試飲会などをしているんです。その会合の中で「地域の日本酒を作れないか」という話題になったのがきっかけです。

純米大吟醸酒を約2か月間 天然の「室(むろ)」で寝かせる

鍾乳洞は「温度」「湿度」が一定に保たれ、日本酒の貯蔵をするのに適した環境だといわれています。当麻町内で生産された酒造好適米を、旭川市内の酒蔵が醸造し、約2か月の熟成期間を経てから火入れが行われ、ようやく完成します。
ちなみに、鍾乳洞への搬入・搬出作業は「とうまジャパンLOVE」のメンバーを中心に、ボランティアで行っています。約30人のグループなのですが、もともと日本酒が好きではじめているので、メンバーのみなさんの熱量がすごいです(笑)

写真:純米大吟醸酒 搬入の様子

ふるさと納税返礼品にも?

当麻鐘乳洞に寝かせて完成した純米大吟醸酒の名称は、当麻町民に公募して「龍乃泉」と命名されました。ラベルにデザインされている龍のイラストは、実は私が描いたものなんです。当麻町の道の駅や、町内酒類取扱店舗で購入できるほか、ふるさと納税の返礼品でも取り扱っています。

写真:ふるさと納税返礼品にもなっている純米大吟醸酒
★肩書は放送当時のものです

日本酒のためにコメを生産?

当麻鐘乳洞で日本酒を寝かせるという取り組みを聞いて「自分も何かできないか」「コメも当麻町産にできないか」と思ったのがきっかけでした。せっかく当麻鐘乳洞という特徴ある場所があるわけですから、どうせやるなら地元のコメを使ってほしいと思ったんですよね。
もともと当麻町でコメ作りをしていたのですが、今回の事がきっかけで日本酒用のコメを作るようになりました。

写真:酒造好適米「彗星(すいせい)」

普通のコメとは何が違う?

日本酒の醸造に適した「彗星(すいせい)」という品種を生産しています。普通のコメと比べてやや粒が大きく、たんぱく質が少なめという特徴があります。純米大吟醸酒を作る工程でコメを削るので、粒が大きい方が割れにくく加工がしやすいんです(今回の純米大吟醸酒は45%まで精米)。また、コメの外側部分の方がたんぱく質が多いので、削ることによってたんぱく質の割合が下がり、よりスッキリと上品な味わいになります。
もちろん普通に米として炊いても食べられますが、あくまでも日本酒の生産に適している品種なんです。ワインづくりにおいても、食べて美味しいブドウと、ワインづくりに適したブドウの品種が異なるのと似ていますね。
肥料の量や、株を植える間隔など、いろいろと試行錯誤する中で毎年微調整しています。少しでも良いものを作って、当麻町に貢献できたらと考えています。

 

【編集後記】

鍾乳洞に日本酒を寝かせるという斬新なアイデアと、それを実現させるために地域のみなさんが奮闘している様子に感激しました。私も、当麻鐘乳洞をたずねて「龍乃泉」を購入したので、良いことがあった日に開けようと思います。
この純米大吟醸酒と同じように、NHKのニュースや番組も、いろいろな方の「ご縁」があってはじめて放送ができるのだと改めて感じました。本当にありがとうございました。

NHK旭川放送局:湊 英祐

 

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