NHK札幌放送局

「JRや地元の魅力知って」 高校生の思い

オホーツクチャンネル

2021年8月3日(火)午前9時30分 更新

旭川と網走を結ぶJR石北線は、JR北海道が「単独での維持は困難」としていて存続が危ぶまれています。
こうした中、次に利用する世代の子どもたちが対象のクイズツアーがスタート。8月15日までの土曜と日曜に行われるツアーを企画した地元の高校生たちの思いとは・・・。 

JR石北線の現状

旭川と網走を結ぶJR石北線では、利用者の減少が続いていて、JR北海道が「単独での維持は困難」として存続が危ぶまれている路線のひとつです。
沿線では、利用の促進に向けて特急列車での車内販売などを行ってきましたが、新型コロナウイルスの影響で今年度のスタートが予定より遅れるなど取り組みは思うように進んでいません。

新たな利用促進策 ターゲットは子どもたち

こうした中、石北線の利用促進や、存続の機運の向上を目指して地元の北見北斗高校のクイズ研究会の部員たちは、沿線の北見市などと夏休み中の子どもたちを対象に石北線を使ったクイズツアーを企画しました。
初日の7月24日には、午前中から親子連れが続々と参加し、ツアーの舞台、北見市内の端野駅に降り立ちました。

ツアーでは、切符を買うときに受け取る冊子のヒントを頼りに、舞台の駅の構内や周辺の施設にある掲示物や看板を探します。

そして導き出した答えを解答用紙にまとめ、北見駅に戻ってから駅構内に設置された専用の応募箱に投函します。

この日参加していた親子は、コロナ禍でイベントの中止が相次ぐ中、楽しい思い出になればと参加したと話していました。

参加した親子
母親「コロナでイベントが少なくなっている中なので楽しめることをと思って参加しました。難しかったですが楽しめてよかったです」
子ども「答えがわかると嬉しかったし、列車に乗るのも久しぶりでわくわくしました」

ツアーを企画した北見北斗高校クイズ研究会の部長の長谷川嶺さんも当日北見駅に足を運んでいて、参加者から面白かったという言葉をもらい安心した様子でした。

北見北斗高校 長谷川嶺さん
「面白かったと言ってくれてすごく嬉しかったです。下を向いて解くクイズだけでなく、上を向いて町を散策するクイズも作ったので、参加して地域やJRの魅力、クイズを解くことの面白さを知ってもらいたいです」

無事初日を迎え始まったツアー 込められた思いとは

無事初日を迎え始まった新しい取り組み。企画には北見北斗高校のクイズ研究会の3人の部員たちが当たりました。

北見北斗高校クイズ研究会メンバー

研究会の1人、2年生の沢田翔さんは通学で毎日石北線を利用していて、目の当たりにする乗客の少なさに寂しさを感じていました。

北見北斗高校 沢田翔さん
「昼過ぎは誰も乗っていない時もあり、それを見るとやっぱり寂しいです。自分にとっては車中で作業していても酔いにくいのがよくて、毎日使っているかけがえのないものです。JRはいいところもあるんだなと気づいてもらって少しでも多く利用してもらいたいです」

企画のため町を探索する部員たち

ツアーが始まる1か月前、沢田さんたちは、北見市内の留辺蘂駅に降り立ち、クイズに盛り込むための地元ならではの場所を探して、駅の近くの公園などをめぐりました。

そこで見つけたものは…。

画像右側が見つけた赤いポスト。沢田さんたちは白いリボンの柄に着目しました。

郵便局の前に置かれていたポスト。この郵便局が郵政150年を記念して独自にラッピングした「ラッピングポスト」でした。
町内ではここにしかない、地元ならではの場所を発見しました。
このほか沢田さんたちは、町の至る所で使われていた木の看板も発見。
地元ならではのものを探しながら色や数字に着目し、子どもにわかりやすいようなテーマや内容を考えていきました。

若い世代が取り組む利用促進に市も期待

いっしょにツアーの企画に携わった北見市も、若い世代が取り組む利用促進に期待を寄せています。

北見市地域振興課 坂本浩司 地域交通係長
「普通列車に乗っているのは高校生が一番多いと思います。今回の企画が、石北線を残すために幅広い世代が一丸となる一歩になってほしいです」

沢田さんも期待「JRを使ってみようと思ってほしい」

石北線を今後利用する世代の子どもたちに参加してもらう今回の企画。「石北線の良さを伝えたい」と沢田さんは心待ちにしています。

北見北斗高校 沢田翔さん
「ふだん使わない人も今回の企画でJRに乗ってみて、たまには使ってみようかなという気持ちになってくれれば嬉しいです。今回参加してくれた小学生が何年か後に通学などで使って、昔ツアーに参加したなとかの交流を図ってくれれば嬉しいです」

2つの駅が舞台のツアーは8月15日まで 特製のパスケースなど参加賞も

ツアーのポスター【提供:北見市】

「ミステリートレイン2021」と題する今回のクイズツアー、事前の申し込みは不要です。
期間は8月15日までの土曜と日曜。北見駅の職員に参加を告げて切符を購入し、冊子や参加賞を受け取ってツアーのスタートです。
ツアーは端野駅に行くコースと留辺蘂駅に行くコースの2つがあり、所要時間は端野駅コースが3時間ほど、留辺蘂駅コースが5時間ほど。
参加者には抽選で図書カードが当たるほか、両方のコースに参加した人には抽選でJR北見駅のバックヤードツアーへの招待が当たるチャンスも。
また、ツアーの期間中北見駅前では、鉄道グッズや石北線沿線の特産品の販売も行っていて、ツアーの参加者にはプレゼントもあるということです。

この夏の思い出に、また、子供たちの鉄道を使ってみるきっかけに、いかがでしょうか。

期間中北見駅前では、鉄道グッズや特産品の販売も実施【写真提供:長南進一さん】

(NHK北見 記者 新島俊輝)

2021年8月2日

JR石北線 こちらのコンテンツもどうぞ

「タマネギ列車」は運転士の誇りとともに

関連情報

大ベテラン「ジョン」が7年目に オホーツク警察犬事情

オホーツクチャンネル

2022年9月22日(木)午後5時07分 更新

社会人バスケ全国へ(現在取材中)

オホーツクチャンネル

2022年11月17日(木)午後4時30分 更新

知床に永久凍土が存在か?調査の最前線に密着

オホーツクチャンネル

2022年11月10日(木)午後4時29分 更新

上に戻る