NHK札幌放送局

道東の活火山の情報と登山の際の注意点

NHK釧路放送局

2021年4月20日(火)午後2時52分 更新

自然豊かな道東には多くの活火山があります。雌阿寒岳・アトサヌプリ・知床硫黄山などで、北方領土も含めると、その数は18。道内の活火山の約6割を占めます。登山の際の注意点などをまとめました。

地球の息吹を感じる噴気孔、壮大な風景、湧き出る良質な温泉。どれも魅力にあふれ多くの人を引きつけます。一方で、過去大きな噴火が繰り返されたことによって、いまの山が形づくられたのも事実です。私たちはどのように火山に接していけば良いのか、釧路地方気象台の火山防災官・宮本聖史さんに聞きました。

写真:釧路地方気象台火山防災官 宮本聖史さん

○北海道の活火山マップ

画像:北海道の活火山(出典:気象庁)

道東にある活火山のうち、釧路市や白糠町、足寄町にまたがる「雌阿寒岳」と弟子屈町の「アトサヌプリ」の2つの火山は、今後100年程度の間の噴火の可能性や社会的な影響を踏まえて防災上とくに監視体制が重要だとして、気象庁が24時間監視する「常時観測火山」となっています。

○雌阿寒岳とは

写真:冬の雌阿寒岳

雌阿寒岳は標高1499メートル。日本百名山のひとつで、多くの人が登山を楽しみます。登山道は3つあり、山頂付近は見晴らしも良く、荒々しく噴気を出す火口も見ることができ、登山客を魅了します。さらに、山頂から北西に約2キロの場所には「雌阿寒温泉」。西に約3キロの場所には見る角度によって水面の色が変わる湖「オンネトー」。山頂から北東に約8キロのところには道内有数の観光地「阿寒湖温泉」があり、火山の恵みを堪能することができます。

○雌阿寒岳の過去の噴火

画像:雌阿寒岳概況図(出典:釧路市)

そんな雌阿寒岳は過去噴火を繰り返した山でもあります。最近の噴火は山の中央部にある「中マチネシリ火口」と山頂付近にある「ポンマチネシリ火口」で起きています。噴火は記録が残っているものでは、昭和30年から41年にかけて、昭和63年、平成8年、平成10年、平成18年、平成20年に起きています。
いずれも小規模、ごく小規模な噴火でした。このうち、平成18年3月に発生した、ごく小規模な水蒸気噴火では、火山灰が降ったほか登山道まで噴石が飛散しました。長さおよそ1キロにわたって小規模な泥流も確認されました。また、平成20年11月の小規模な水蒸気噴火では火山灰が火口から数キロの範囲に降りました。

○雌阿寒岳登山での注意点

画像:雌阿寒岳の登山道

雌阿寒岳で、まず気をつけるのは「火口に近づくことになる登山」です。登山する前に、火山の活動に変化がないかをチェックしましょう。気象庁ではホームページで「火山登山者向けの情報提供」として、現在の活動状況などを掲載しています。

また、各火山ごとに防災マップが作られています。防災マップには噴火警戒レベルごとの警戒事項などが掲載されています。ぜひ登山を計画する際にみてください。

○準備物の重要性

写真:雌阿寒岳登山(気象台調査)

雌阿寒岳の登山道は山頂付近では火口のすぐ近くを通ります。ヘルメットを準備し7合目付近からかぶるようにしましょう。火山は突然活発化することもあり得ます。噴火速報や噴火警報など、火山に関する情報をすぐに手に入れられるよう、携帯ラジオや携帯電話を持って行きましょう。ただし携帯電話は、オンネトーコースの登山口と阿寒湖温泉コースの登山口付近では電波が通じませんので注意して下さい。

☆登山者名簿は必ず記入しましょう

写真:登山届記入の様子

登山口の入り口で登山者名簿に名前などを必ず記入してください。万が一の際に、この名簿が捜索隊の手がかりとなります。

○雌阿寒岳頂上の様子

山頂付近の火口や噴気孔の近くでは有毒な火山ガスが流れてくるほか、突発的な噴火の可能性もあるので、滞在時間をなるべく短くするようにしましょう。

○規模が大きな噴火の可能性も

画像:雌阿寒岳で最大級の噴火が起きた場合のハザードマップ(出典:釧路市)

雌阿寒岳は400年ほど前までは、規模の大きな噴火を起こしていました。1万3000年前の爆発的な噴火では火砕流が阿寒湖畔近くまで達していたことが分かっています。現在の噴火警戒レベルにあてはめると、もっとも上の「レベル5」にあたります。この際には噴煙が1万メートルを超え、「火砕流」や積雪時には「融雪型火山泥流」が阿寒湖温泉街まで流れ下る可能性があります。このうち、火砕流は数百度の火山ガスや火山灰などが時速100キロ以上で流れ下ります。融雪型泥流は、火砕流などで雪が一気に解けて土石流となって斜面を一気に流れ下ります。どちらも巻き込まれると助かる可能性は低く、発生してから避難するのは難しいのが現状です。雌阿寒岳ではこうした大きな噴火を1万年や2万年前から繰り返して、いまの山の形ができました。火山の寿命は数十万年に及ぶとされていますので、山の形が変わるような大きな噴火はいずれ起こると考えられます。活動が活発化した時に速やかに対応できるよう、危険性がある地域では各施設の避難計画を確認しておくと安心です。

○アトサヌプリとは

写真:アトサヌプリ

アイヌ語で「裸の山」を意味するアトサヌプリは弟子屈町にあり、直径4キロのカルデラがある「外輪山」と10個の溶岩ドーム群からなる活火山です。東側には摩周湖、西側には屈斜路湖があり、山の複数の噴気孔から白い噴気が噴出しています。このうち、レストハウスや駐車場が整備されている硫黄山の噴気孔には活発な噴気活動を間近で見ることができ、観光バスなどで多くの観光客が訪れます。また、近くには強酸性のお湯が魅力の川湯温泉街があります。アトサヌプリの硫黄山にある登山道は落石事故を受けて長らく閉鎖されていましたが、地元の自治体や観光関係者で作る協議会が令和元年からツアーガイドが案内する登山ツアーを試験的に実施しています。

→アトサヌプリ(硫黄山)のVR(360°映像)はこちら(2分31秒過ぎからがアトサヌプリの映像です)

○アトサヌプリの過去の活動

動画:ドローンで撮影したアトサヌプリの熊落とし火口

アトサヌプリでは約1万5000年以降、多数の溶岩ドームが出現する噴火活動を繰り返していて、5500年前には火砕流を起こすような噴火も起きています。有史以降に噴火の記録は知られていませんが、数百年前に「熊落とし火口」と呼ばれる火口ができた水蒸気噴火が最後とみられています。これまでの観測では、平成5年から平成7年の間に、アトサヌプリと周辺で最大25センチ、盛り上がったことが確認されたことなどから、火山活動の高まりが認められるとして24時間での監視が続けられています。

○注意点は

写真:アトサヌプリの登山風景

アトサヌプリは全体が溶岩ドームの山で、現在、山をめぐる登山道は立ち入り禁止です。安全確保のために町が認めた専門のツアーガイドが随行する場合のみ入ることができます。噴気孔付近では地面の下が空洞となっているところがあり、踏み抜いてしまうと大けがをする危険性もありますので、決して無断で入らないでください。また、レストハウスの近くでは勢いよく出る噴気を間近に見ることができます。ただ、高温の火山灰などが突発的に噴出する可能性は常にありますので、注意してください。

○自然相手に100%の安全なし

写真:釧路地方気象台火山防災官 宮本聖史さん

火山がいつ噴火するのか、監視や研究が進められていますが、なにぶん相手は自然ですので完全に予測するのは難しいのが現状です。平成26年の御嶽山の噴火では突然の噴火で登山中の多くの方が犠牲になりました。平成30年の草津白根山では、最近噴火していないとみられていた火口で噴火が起きました。自然相手に100%の安全はないと思い、火山に対しては、情報をみずから入手することが重要です。

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2021年4月20日


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