NHK札幌放送局

道内地銀トップに聞く コロナ禍の2021年

ほっとニュースweb

2021年1月5日(火)午後8時39分 更新

新型コロナウイルスで大きな打撃を受けている道内経済。道内の地方銀行2行は今年度の実質の経済成長率について、いずれも昨年度と比べて7%程度低下すると見込んでいる。そして新年度・令和3年度は北洋銀行がプラス3.1%、北海道銀行がプラス2.9%と今年度より回復はするものの、いずれも落ち込みを取り戻すには至らないと予想。逆風に見舞われる中、ことし1年の道内経済をどう導いていくのか、北洋銀行の安田光春頭取と北海道銀行の笹原晶博頭取、両トップに聞いた。

道内景気 現状をどう見る

まず、最初に聞いたのは、道内景気の現状について。そろって感染拡大に伴って観光が打撃を受けたことが大きなダメージにつながったと指摘した。

北洋銀行 安田光春 頭取
「かなり厳しい状況にあるのは間違いない。去年の雪まつりの時期から影響が始まり、全国と比べても長期化している。とりわけ観光業が経済をけん引してきたという面は打撃が大きくなっている要因だ。厳しい状況は今も足元まで続いている」
北海道銀行 笹原晶博 頭取
「底を見たのが5月。そこから少しずつ戻してきて、11月中旬ぐらいまでは将来がある程度見え出していたと思う。しかし、その後の感染拡大で先行きが不透明になり、不安感が広がって個人消費もかなり控えめにならざるをえない状況だと思う」


ことし1年の景気見通しは

次にことし1年の景気見通しについて、質問をぶつけた。2人とも、想像以上に強い言葉を使って、苦境は長引くという見方を示した。

北洋銀行 安田光春 頭取
「この不況はV字回復はちょっと望めないと思う。インバウンドが今までかなり道内経済をけん引し、影響が大きかった。それが急激に戻ってくるということは今の段階では考えにくい。ことし1年間を見通すのは極めて難しい」


北海道銀行 笹原晶博 頭取
「消費が消滅したという意味で過去の不況とは異質なもの。年間で300万人訪れていた外国人観光客がゼロになり、それがすぐに戻るかというと海外の方も慎重になると思う。コロナ前の水準に戻すにはさらに数年を要する


道内経済不振の打開策は

厳しい道内経済に直面し、2行はどこに活路を求めるのか。

北洋銀行が力を入れるのは、存続が難しくなった企業を別の企業が買収したり、統合したりするM&Aの事業。去年4月に完全子会社化した「共創パートナーズ」には、8月以降、M&Aに関する相談が前の年より25%増加したという。相談の増加は、コロナの影響で経営の危機に陥っている企業が相次いでいる反映だと受け止めている。単なる融資だけでなく、事業を続けていくために必要なより具体的な支援に取り組む

北洋銀行 安田光春 頭取
「今、事業を閉めているのは、きちんと利益を出している企業も多々ある。それを道内できちんと永続させていくのが必要で、もったいないと感じる。特に雇用を守るという観点からもM&Aは決して後ろ向きなことではない。ただ資金調達をするのではなくて、事業自体を見直す必要がある。事業者が今後どうすればうまくやっていけるのかを相談しながらやっていくのが1つの起点になる」


一方、北海道銀行は農業分野でのビジネスを拡大している。去年4月には、新たに農産物の流通を手がける会社を設立。付加価値の高い農作物を専門に販売するルートを構築し、コロナ禍で高級品を中心に農作物の価格が下がる中でも、買いたたかれない環境を整備したという。全国的に競争力のある農業関連の事業で、深刻な打撃を受ける北海道経済再生の足がかりを見い出したい考えだ。

北海道銀行 笹原晶博 頭取
1次産業の付加価値を上げていくことで北海道のGDPを上げていくことがどうしても必要だと思う。われわれは農業のプロではないが、生産性を上げるための仕組みを持っている会社はお取引先としていっぱいあるので、そういうところをご紹介できる。農業も一般の事業法人と変わらないと考えると、私たちがそこにアプローチする意味がたくさんあると思う」


ことし1年 銀行としての決意は

強まる逆風の中、ことし1年、銀行としてどういう決意で道内経済の立て直しに取り組むのか。キーワードに表してもらった。

北洋銀行 安田光春 頭取 キーワード:「
厳しさから起き上がる、立ち上がる。それとあわせて、北洋銀行は今こそお客様『起』点で業務を行っていくというこの2つをかけた。V字回復は難しいということを覚悟して、私どももお客様もお互いに努力していかないといけない」


北海道銀行 笹原晶博 頭取 キーワード:「
コロナを乗り越える、飛び越える。そのためには各地域の雇用を守っている企業が元気でなければならない。地域の産業が活発でなければならない。課題を克服するために北海道銀行が持てる力を全力で応援していきたいと思う」


取材後記

2人が示したことし1年の見通しは厳しく、いまだ感染の収束が見通せない中、ことしも我慢の時期が続くという覚悟を感じた。道内での倒産件数は、国の支援策もあって去年より少ない状態が続いているものの、コロナの影響が長引けば借金が増え続け、事業の継続を断念する経営者が増えるのではないかと懸念されている。全国の中でも速いスピードで人口減少が進む北海道で、企業の数が減れば雇用が失われ、人が流出してさらに人口が減り、地域の衰退が加速するという悪循環になりかねない。地方銀行として、どう地域の企業を支援していくか、2人のトップの手腕が問われる1年になる。
(札幌放送局 五十嵐圭祐記者)


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