
2020年夏にスタートした、北海道の高校生を応援するプロジェクト「NHK高校放送部」。北海道ローカルのニュース・情報番組「ほっとニュース北海道」内で不定期放送を行うほか、公式Webページなどでの情報発信も行っています。前編では立ち上げの経緯なども含め、プロジェクトの全体像について話しました。後編では取材時のエピソード、また、プロジェクトの今後についても語ります。
<5名のプロフィール>

オールマイティーなリーダー格
部員 鈴木 遥
■普段の業務:アナウンサー
■局歴:2009年入局(高知放送局→大分放送局→札幌放送局)
■出身地:千葉県
■所属部署での業務:ニュース・中継担当。「北海道まるごとラジオ」の番組デスク・MC
■NHK高校放送部で担当した主なプロジェクト:「RADIO SHINRO」
■趣味・特技:ダイビングガイドの資格を持っています。音楽も得意で、テレビやラジオの番組テーマ曲の作曲経験があります。

頼れる「番組づくり」のプロ
部員 川畑 真帆
■普段の業務:番組制作ディレクター
■局歴:2017年入局。報道局国際番組部(2017年)、札幌拠点放送局放送部報道番組(2018年〜)
■出身地:京都府
■所属部署での業務:「北海道道」「ローカルフレンズ出会い旅」「北海道スペシャル」などの番組制作
■NHK高校放送部で担当した主なプロジェクト:北星学園余市高等学校「落語研究会」、大通高校「ミツバチプロジェクト」、上士幌高校「熱気球部」
■趣味・特技:中学生からトランペットを始め、現在は札幌市の市民吹奏楽団に所属しています。また、学生時代は、難民問題を多くの人に知ってもらう活動を行う学生団体に所属していました。

新たな能力、絶賛発揮中
部員 内山 航太朗
■普段の業務:編成
■局歴:2019年入局後、札幌放送局で勤務
■出身地:神奈川県
■所属部署での業務:スポーツ番組の編成・著作権担当
■NHK高校放送部で担当した主なプロジェクト:恵庭南高校「男子新体操部」、石狩南高校「図書局」、北見市「トランポリン大会」、大通高校「ミツバチプロジェクト」、「RADIO SHINRO」
■趣味・特技:小学校〜高校はサッカー部、大学ではヨットサークルに所属していました。

クールに見えてホットな男
部員 船水 陽介
■普段の業務:技術
■局歴:2019年入局後、北見放送局で勤務
■出身地:北海道石狩市
■所属部署での業務:番組・ニュースの送出業務。中継での撮影・音声業務。大規模工事の設備担当。
■NHK高校放送部で担当した主なプロジェクト:北見市「トランポリン大会」、「RADIO SHINRO」
■趣味・特技:特技は剣道です!また、趣味でたまに写真撮影を行っています。

情に厚く、チャレンジ精神旺盛!
部員 甲田 うてな
■局歴:2019年入局後、札幌放送局で勤務
■出身地:東京都
■所属部署での業務:「NHKのど自慢」「新・BS日本のうた」「おかあさんといっしょ宅配便 ガラピコぷ〜小劇場」などのイベント運営を担当。
■NHK高校放送部で担当した主なプロジェクト:富良野高校「少林寺拳法部」、北星学園余市高校「落語研究会」
■趣味・特技:映画・音楽鑑賞が趣味です。学生時代は、YWCAという団体で子ども向けイベントの企画運営を行っていました。
Q:NHK高校放送部の取材現場は、どんな雰囲気ですか?

内山:高校生の皆さんの方から声をかけてきてくれるので、いつも、とても和やかに取材ができています。むしろ私たちの方が緊張しているくらいです。

川畑:高校生の皆さんは、すごく前向きで明るいパワーやエネルギーを持っていて、取材ではそれに助けられますよね。

甲田:そうですね。素敵な子ばかりで、つい気持ちも入り込みます。初取材だった富良野高校「少林寺拳法部」の回では、最後の演舞で思わず泣いてしまいました。取材者は泣かない方がいいんでしょうが、こらえられなくて。部活に熱中している姿はとても格好よくて、胸を打たれます。

船水:私も、北見市の「トランポリン大会」は、涙をこらえながら撮影しました。インターハイが中止になって、その代わりとして行われた大会だったんです。大会本番、1日だけの撮影だったんですけど、1つ1つの演技や聞こえてくる会話から伝わってくる高校生たちの思いに「そういう思いでこの大会に臨んでいるのか!」と心が震えちゃって……。先輩がよく言う「思いを大切に、愛を持って仕事をしなさい」という言葉を思い出し、高校生の「思い」をしっかり伝えなくてはと、いっそう、熱が入りました。
Q:みなさんは、このプロジェクトを通して、どんな学びや気づきを得られていますか?

内山:このプロジェクトに参加した動機は、編成として、番組の制作に関することを総合的に知りたかったから。実際、学ぶことは本当に多いし、初めて取材にトライする中で、現場の苦労もよくわかりました。今は「番組を提案する力」をもっと高めたいと思っています。また、周りの成長も刺激になります。私は船水さんと同期。トランポリン大会の取材にも同行していました。船水さんは自分から率先して動いていて、成長ぶりに感動しましたね。まさかひっそり泣いていたとは知らずに(笑)

船水:実は私も、真摯にばりばり取材している内山さんを見ていて、「すごいな。ずいぶん遠いところに行ってしまった……」と思っていたんですよ(笑)。甲田さんも同期で、2人の活躍は私にとって良い刺激です。自分自身の成長としては、いろいろな番組を見る「目」が変わったと実感しています。映像の撮り方、音の録り方も、変わりましたね。

甲田:私は他部署の業務内容を知ることができたことで、何のためにこの仕事を行っているのか、またその背景にはどういうことがあるのかを、クリアにイメージできるようになりました。

鈴木:内山さん、船水さん、甲田さんは入局2年目。若手だけれど、それぞれ専門の力を高めていて、それをベースに番組制作など多部署の業務も知ることで、さらに成長が加速していると感じますね。番組制作に普段から携わっている私や川畑さんとしては、みんなの既成概念にとらわれないアイデアがとても新鮮。勉強させてもらうことがたくさんあります。

川畑:Webでの発信ひとつとっても、「こんな視点があるんだ、こんな書き方ができるんだ」と気づかされます。職種横断的な体制はそれぞれを成長させてくれますね。

鈴木:部員には入局1年目の職員もいます。ここまでターゲットを明確に定め、かつ部署を超え、若手が参加できるプロジェクトは全国のNHKを見回してもあまりないかもしれません。「みんなの得意分野を伸ばし合う」という意識、風通しの良さは、NHK北海道に新しいクリエイティブをもたらしてくれています。
Q:最後に、番組に対する思いや今後についてお聞かせください。

鈴木:これからの時代は、部署に関係なく、NHK職員誰もが番組を制作する時代になると思います。もっと自由に活動を広げていきたいですね。ちなみに番組PRの30秒スポットがあるのですが、その声の担当、誰だと思います?実は……

甲田:……私なんです(笑)。恥ずかしさもありましたが、声をかけていただいて、こんな機会はもうないと思い挑戦させてもらいました!また、放送を見て祖母が喜んでくれたのもうれしかったですね。

鈴木:実は、そういうことがすごく大事。自分が出た、甥っ子が出た……そういう喜びがつながりを生む。若者をはじめ、北海道の皆さんに、「NHK北海道は自分もアクセスできるメディアなんだ」と知ってもらうことが大事だと考えています。ちなみに、新たな企画がまた一つ、動いたんです。

船水:はい。2021年2月19日(金)に「RADIO SHINRO」というラジオ番組を放送しました。2020年末に開かれたNHK高校放送部の意見交換会に、私が提言書を出したのが企画のスタートでした。その時点では、私は正式な「部員」ではなかったんです。でもどうしても言いたいことがあって、「こんなことをしたらいいのに!」という思いをA4用紙3枚にびっしりまとめ、会に参加する先輩に託したんですよ。そしたら採用されて、あれよあれよとかたちになり……びっくりしました(笑)。ちなみに、ラジオにしようと言い出したのは、内山さんです。

内山:船水さんの提言書には、「高校生の一番の関心事は、この先どういう仕事をするのかという選択や進路ではないか。その判断をするためのいろいろな材料や悩みを共有する場を、僕らが作ったらいいのでは?」と書いてありました。それを見てピンときたんです。「これはテレビよりラジオ向きだ!」って。

川畑:提案から放送までなんと60日というハイスピードでした。早過ぎて、局内でも知らない人がいるくらい(笑)。このフットワークの軽さはNHK高校放送部の良さですね。

鈴木:私たちには、ラジオも、イベントもと様々な手段があります。いろいろな職種、いろいろな世代の「伝えることのプロフェッショナル」が集まっているので、自分たちの強みを生かして、高校生の活躍や魅力をもっとディープに伝えていけたらと思います。高校生に喜んでもらうだけでなく、制作側も、高校生の周りで取材に関わってくださる方々にも「関わってよかった!」と思ってもらえる、「思い出になる番組」をつくっていきたいですね。

川畑:高校生と一緒にものづくりをする取り組みも増やしていきたいですね。きっととても面白いはず。NHK高校放送部には、「高校生の頑張る姿に勇気をもらった」「今の高校生ってすごいね」という、40代から70代くらいの方々からの反響も多いんです。高校生をクローズアップしているけれど、それが結果的に地域の皆さまの元気にもつながっているので、さらなる活動でもっと北海道全体にエネルギーを生み出していけたら……と思っています。
「北海道の高校生を応援したい!」という想いを胸に、日々番組やWEBコンテンツの制作に励むNHK高校放送部の放送部員たち。これまでのやり方に捉われず、立場を超えて意見を交わし合う姿には、まさに「部活動」の熱気が感じられました。
NHK高校放送部では、出演してくれる高校や高校生を、絶賛大募集中です。自薦他薦は問わないので、興味のある方はぜひ、番組フォームからご応募ください!若さとあふれるパワーをこれからも追い、届け続けていくNHK高校放送部。放送を含めた今後の活動に、どうぞ、ご期待ください。
<担当 広報・富浦>
