NHK札幌放送局

SNSで詐欺に勧誘 ターゲットは「若者」

ほっとニュースweb

2022年9月30日(金)午後4時43分 更新

道内でことし8月末までに確認された特殊詐欺の被害額は約7億9000万円。すでに去年1年間の被害額を超え、過去最悪のペースで増え続けています。
道警は被害者を1人でも減らそうとお年寄りなどを対象にだまされないための対策の周知を図っていますが、それと同時に、詐欺に加担しないようSNSなどを使って“加害者側”への働きかけも強めています。
なぜ、SNSなのか。取材を進めてみると、若者などがネットを介して詐欺グループに取り込まれていく実態が見えてきました。
(道警担当キャップ 森永竜介) 

末端のメンバーは若者ばかり

特殊詐欺は組織化されていて、黒幕として指示をくだす上位者の下に、詐欺の実行犯となる末端のメンバーが連なっています。電話をかける「かけ子」、被害者と接触して現金やカードを直接受け取る「受け子」、口座から現金を引き出す「出し子」などです。
道警は去年、こうした詐欺グループの末端のメンバー34人を逮捕しました。このうちおよそ9割にあたる30人は、10代から20代の若者でした。さらに、その半数の15人は、ツイッターなどのSNSで勧誘されて詐欺行為に加担していたということです。

隠語を使って「求人」

実際、道警のサイバーパトロールで見つかったツイッターの書き込みには、アルバイト募集のような体裁で詐欺メンバーを募る“求人広告”があふれています。文面に使われるキーワードは「裏バイト」、「高額案件」、「月給100万」など、いかにも怪しげなものばかり。なかには「受け子」「出し子」といった直接的な表現で勧誘するメッセージもありました。
道警によりますと、こうした書き込みを見た若者が、お金欲しさに飛びついてしまうケースが後を絶たないということです。

求人の書き込みには隠語も多用されています。例えば「UD」。道警によりますと、これは「受け子と出し子」を指す隠語で、SNS上で広く使われているということです。
現場の捜査員は「詐欺グループもあの手この手を使って、警察に見つからないように勧誘を行おうとしている。だからこそ警察もSNSを常に監視し、その動向を見逃さないようにしないといけない」と話していました。

実は「ハイリスク」 抜け出せない落とし穴も

詐欺グループは警察の監視も意に介さず、高収入をうたって求人を出しています。それは裏を返せば、受け子や出し子といった役回りは誰もやりたがらないから、大金をエサに勧誘するしかないということ。受け子は被害者のもとを訪れるため顔を見られますし、出し子は銀行やATMの防犯カメラに映像が残るため、検挙される「リスク」が格段に高いのです。

詐欺グループの黒幕はそうした“リスクのある役回り”をアルバイト感覚の若者にやらせ、できるだけ多くの犯罪収益を吸い上げようとしています。末端のメンバーが逮捕されてもトカゲの尻尾切りに出来るうえ、代わりのメンバーはSNSですぐに見つけられるというわけです。

一方で、詐欺に加担してしまった若者が改心して抜け出そうとしても、詐欺グループは簡単に縁を切ってくれません。「求人」に応じてしまうと、たいていの場合、住所や電話番号といった個人情報はもちろん、家族や職場の情報を報告するようグループから要求されます。足を洗おうとしても、そうした情報をもとに脅しをかけられ加担を強いられ続けることになるのです。

詐欺グループは勧誘した若者らに、「絶対に逮捕されない」とか、「何かあっても組織が全面的に守る」などと、うわべだけの言葉で安心させようとするでしょう。しかし、たとえ日当5万円や月給100万円などとニンジンをぶら下げられたとしても、逮捕されることが目に見えている行為への加担がいかに無謀なものか、すぐに気づけると思います。

警察はさらに監視強化へ

道警はサイバーパトロールで不適切な「求人」の書き込みを見つけた場合、その投稿者に対してただちに警告文を送信しています。警告を発した件数はことし8月末までに41件に上っています。さらに道内の各警察署にも指示して、SNSの監視と取り締まりの強化を引き続き、推し進める方針です。

道警本部生活安全企画課 佐々木貴久警部
「逮捕された後で、ことの重大さに気づいて深く後悔する若者を何人も見てきた。たった1度の過ちでも取り返しのつかない結果になることがある。軽い気持ちで求人に応じ、詐欺に加担してしまうようなケースを少しでも減らしたい」

詐欺グループは若者の未熟さにつけ込んで犯罪に引き入れ、徹底的に利用します。たとえ安易な気持ちだったとしても、一度でも「求人」に応じてしまったら共犯者になってしまう上、グループから抜け出すことはなかなか出来ません。
また、詐欺に関わることで、被害者の平穏な暮らしを台なしにしてしまうだけでなく、加担した本人自身の人生も取り返しがつかないことになります。甘い誘い文句に流されることなく、SNSの怪しい「求人」を断固、拒絶してほしいと思います。

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ストップ特殊詐欺被害 最新手口や対策は(9月8日掲載/ほっとニュースWEB)
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