NHK札幌放送局

『外国人観光客が消えた札幌で 耐える全国通訳案内士』

ほっとニュースweb

2022年1月21日(金)午後6時50分 更新

日本語しか聞こえない…

札幌の街で飛び交っていたさまざまな外国語が聞こえなくなって、はや2年。 それまで多忙を極めていた人たちの仕事も、途端に激減しました。 外国人観光客が対象のガイド、「全国通訳案内士」という国家資格を持っている人たちの仕事も同様です。観光客からふたたび「楽しかった」と声をかけてもらえる日を、通訳案内士たちは待ち続けています。(札幌放送局記者 山口里奈) 

仕事が消えた2年間 2割が廃業

「これからお仕事をいただけるチャンスがあればいいなと」

こう話したのは、全国通訳案内士の下田知加子さん。1月に札幌市で行われたイベントを前に、期待をかけていました。

このイベント、旅行関連の会社から通訳案内士向けに仕事を紹介するため、北海道観光振興機構が開きました。

6年前から毎年、雪まつりを控えたこの時期に開き、ことしは32人の通訳案内士が参加しました。業界全体が新型コロナウイルスの打撃を受ける中、状況は切実です。

全国通訳案内士の団体によりますと、実際に活動している通訳案内士は全国でおよそ1万人、そのうち2割ほどがコロナ後、廃業を余儀なくされているということです。

下田さんも、2年間、通訳案内士の仕事はまったくありませんでした。

全国通訳案内士 下田知加子さん
「仕事がないってことは、いままでずっと前からお付き合いしてきたエージェントの方とお会いすることもないですし、お話することもほとんどない。この2年間ってけっこう長かった」

「また来るからね」その声が聞きたい

下田さんは、長らく英語教室の講師をしていました。そのかたわら、バスガイドの通訳を務め、しだいに楽しさを覚えました。14年前の2008年に通訳案内士の資格を取得しました。

得意なのは歴史や文化を語ること。北海道を訪れる外国人観光客が増える中、仕事はどんどん増え、多い年には100日以上ガイドを行ってきたといいます。

何よりうれしかったのは、お客さんからかけられた言葉です。

下田知加子さん
「お客さんが『また来るから』って言ってくださったときとか、歴史の話なんかも興味ないかなと思う人たちがじっと聞いてくれて『すごく楽しかった』って言われたときとか、『また絶対来る』って、それで実際に何度か来てくださった方とかいらっしゃると、やっぱりうれしい」

ところが、新型コロナの感染拡大で一転。外国人観光客が来なくなりました。人材派遣の会社に登録し、通訳案内士とはかけ離れた仕事を続け、生活しているといいます。

一時は感染拡大が落ち着き、予約が入り始めました。ようやくガイドの仕事ができると思ったやさき、オミクロン株の広がり。またも予約はすべてキャンセルになってしまいました。

下田知加子さん
「もう待つしかないなっていうふうに腹をくくった状態です。一喜一憂しても、もうどうしようもないなっていう気持ちですね」

下田さんが仕事でよく訪れていた場所を案内してもらいました。

さっぽろテレビ塔です。

毎年2月のさっぽろ雪まつりの時期には、外国人観光客でごった返すこの場所も、今、その姿はありません。

下田知加子さん
「2年前まではいろんな言葉が飛び交っていたのにパタッと聞こえなくなって。夏でも秋でも1日でも早く、外国人観光客が戻ってきてほしい」

「もうちょっと、頑張って待とう」

イベントに参加した下田さん。旅行会社に対して、外国人観光客が戻ってくるまでの間、日本人向けにでも通訳案内士の知識を生かせるのではないかと提案しました。

例えば、日本人を相手に英語を教えるツアー。道外の中学生が修学旅行で来たときに、バスのなかで英語と日本語の両方でガイドをすると喜ばれるのではないかと訴えました。

旅行会社の側も積極的に受け止めたようです。

日本旅行北海道 国際旅行部 野口正敏部長
「外国人観光客の需要がほとんど蒸発してしまっていますので、通訳案内士がどういう仕事で現状やっていて次にどういう準備をしているのかを聞けたのですごく良かった。コロナを経て、北海道が新しい魅力をどうやって提案できるかを一緒に話していきたい」

下田さんは、このイベントでは新しい仕事を見つけることはできませんでした。それでも、旅行会社からさまざまな情報を聞くことができ、前向きな気持ちになりました。

下田知加子さん
「海外のお客様も早く日本に来たいと言ってきているということを聞いて、希望が大きくなったというか、待とうと思います。もうちょっとがんばって待とうと思っています。へこたれずにみんなで頑張っていけたらいいな」

最後に下田さんに無理なお願い。待っている海外の人たちに英語でどう声をかけますか?

"We are waiting for you here in Hokkaido. And we hope to see you soon!"(ここ、北海道でみなさんをお待ちしています。早くお会いしたい)

また、通訳案内士の活躍できる日が、1日も早く来て欲しいと願います。

2022年1月21日

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