NHK札幌放送局

Do!|#25 Hagi Nanase

デジタル戦略チーム

2023年5月12日(金)午後5時12分 更新

第25回に登場するのは入局3年目の萩ななせ。入局して最初に担当したのは、備品管理や経理伝票の照査などを行う編成管理の仕事。その後番組編成や新規事業開発などを経て、現在はInstagram担当という3年目ながら異色の経歴の持ち主です。2022年8月に開設したNHK北海道のInstagram(@nhk_hokkaido)。日々どんなことを心がけて発信しているのか、その裏側を聞きました。

[Photo By 出羽 遼介]
[聞き手 富浦 麻穂(NHK札幌放送局 広報)]

萩 ななせ -Hagi Nanase- 
文学部社会学専攻。2021年入局。札幌放送局 編成管理⇒編成⇒北海道ソリューションを経て、2023年4月よりメディアセンター デジタル戦略グループ所属。現在はNHK北海道のInstagram(@nhk_hokkaido)を担当している。
趣味は洋服、紙、写真、いきものがかり、犬、珈琲、喫茶店。
大学時代はカメラサークルに所属し、今でも趣味で写真(主にフィルム)を撮影している。
目標はいきものがかりと一緒に仕事をすること。

<目次>
1.「誰にでも優しい社会」を目指してマスコミの道へ
2.目指すは“北海道図鑑”
3.局内への発信も大切に


1.「誰にでも優しい社会」を目指してマスコミの道へ


――はじめに、NHKに入局しようと思ったきっかけを教えてください。

マスコミ志望だったので、就活の時は他の業界は受けませんでした。テレビ局や新聞社、出版社、広告代理店などいろいろな会社を受けましたが、自分のやりたいことや働きやすさなどを考えた結果、NHKを選びました。


――マスコミを志望したのはなぜですか?

私の母は難聴で、人と話す時に、聞き取れなくても聞き返さずにそのまま会話を続けることが結構あるんです。その様子を見ていると「聞こえないことを相手に言えば良いのに」と思う一方で、難聴をハンデだと捉えられてしまう環境が、母に言えなくさせているんだろうなと感じました。
ハンデだと思うのではなく、「実は難聴なんだけど」と打ち明けても「それがどうした」くらいのテンションで受け入れられるような、誰にでも優しい社会になったら良いなと思った時に、マスコミなら社会の価値観を変えられるんじゃないかと思い、志望しました。


――NHKは第一志望だったんですか?

実は明確に第一志望というのは決めていなかったんです。うそをつけない性格なので、第一志望を絞ってしまうと面接で「第一志望ですか」と聞かれた時にちゃんと答えられないなと思って(笑)。
最終的に他の会社も検討した中で、私のやりたいことを実現するためには、視聴率や利益にとらわれずに仕事ができるNHKが合っているのかなと思いました。


――学生時代はWEBメディアでインターンシップをしていたそうですね。

大学2年から4年までインターンをしていました。担当業務はWEBディレクションで、自社サイトのデザインをどう変えるかを考えてデザイナーに依頼したり、広告を出してその結果を分析したりしていました。
インターンでも社員と同じようにいろいろな仕事を任せてもらい、毎日忙しく働いていました。インターン時代の上司とは今でも時々会っていて、人生相談をさせてもらっています(笑)。


――その時の経験が入局後に生きていると感じることはありますか?

ロジカルシンキングやベンチャー企業ならではの思考法など、インターンで学んだことは現在の仕事の基盤になっていると思います。資料作成や分析のためにさまざまなソフトを使っていたので、そのスキルも今担当しているInstagramの編集作業に生かせています。


――現在はInstagram担当ということですが、入局当時からWEBやSNS関連の業務を志望していたんですか?

入局当時は編成志望でした。先輩職員から、編成は他の職種をつなぐハブの役割を担っていて、SDGsや教育関連、「君の声が聴きたい」などさまざまなキャンペーンにも関わることができると聞き、興味がありました。


――今の部署に異動する前は、札幌局の編成にもいましたよね。

本当はもうちょっと長く編成にいると思っていたんですよ(笑)。ただ2022年1月に「北海道ソリューション」という新規事業開発プロジェクトが立ち上がり、さまざまな部署からメンバーが集められ、私にも声がかかり専任になりました。そこからInstagramの業務を担当するようになりました。



2.目指すは“北海道図鑑”


――Instagram担当というのは、どんな仕事をしているんですか?

NHK北海道のInstagramアカウントの立ち上げからかかわり、日々のネタ集めや投稿作成、結果の分析まで運用全般を担当しています。


――NHKの地域局でInstagramアカウントを開設したのは、札幌局が初めてですよね。どういう経緯でInstagramを始めることになったんですか?

「北海道ソリューション」が発足した時に、テレビを見ない人たちにも広く情報を届けるために何ができるかを検討していた中で、SNSをやろうと思ったのがきっかけです。
他のSNSも検討しましたが、NHK内のレギュレーションなどもあり、一番実現できる可能性が高かったのがInstagramでした。他にも、札幌局の新人たちにふだんどのSNSを使っているかアンケートをとったところInstagramという回答が一番多かったので、NHKと接点の少ない若い世代に情報を届けるためにInstagramを選びました。


――アカウントの開設にはじっくり時間をかけたと聞きました。

2022年3月に東京のデジタルセンターに相談し、その後何度も打合せを重ね、必要な申請書類を準備して、2022年8月にアカウントを開設しました。
編集や承認権限は誰が持つのか、トーン&マナーはどうするのか、ターゲットは、KPIは、リスク管理は……など細かい部分を詰めていったり、企業や個人の宣伝にならないようにするにはどうしたら良いかを考えたりするのが大変でした。
特に懸案だったのが「持続可能かどうか」ということです。一度アカウントを開設したら継続的に投稿していかないといけないので、コンセプトや運用スキーム作りに時間をかけたり、予め投稿のストックを30個作ったりしました。


――30個というのはどんな投稿だったんですか?

初期に投稿している、森町のトマトや釧路出身の建築家・毛綱毅曠(もづなきこう)の建築、室蘭水族館のトドのショーなどを紹介したものです。もともとNHK北海道のサイトで公開しているWEB記事をもとにフィード投稿を作成しました。Instagramで出す時はWEB記事よりも柔らかい文体を意識しました。

初期のフィード投稿。グルメから建築まで各地の情報を幅広く発信。


――北海道各地の情報を発信しているんですね。あえて番組のPRではなく、北海道の情報を発信するというコンセプトにしたのはなぜですか?

自分がInstagramを見るときに旅行やコスメなど自分に役に立つ情報を探すことが多いので、情報の詰まったものがいいなと思っていたところ、東京のデジタルセンターからも最近はビジュアルの良さだけでなく情報性が高いアカウントがよく見られていると聞きました。そこでNHK北海道で何の情報が出せるだろうと考えたら、やっぱり北海道に関する情報かなと。
記者やディレクターが全道各地で取材してきた情報をInstagram用に加工し発信することで、北海道の情報がまとまった図鑑のようなアカウントにしたいと思い、あえて「#ちょっとニッチな北海道情報」の発信をコンセプトにして、その中で時々番組の情報も発信するという形にしています。


――発信するときに工夫していることはありますか?

「行ってみたい」「食べてみたい」など、「~したい」という気持ちになるような感情が動く情報を発信することを心がけています。他にも投稿に統一感を持たせるためにフォントや色を工夫したり、サムネイルの左上に必ず北海道地図をつけてどの場所の話題かわかるようにしたりしています。
あと耳の悪い人にも楽しんでもらえるように、動画には必ず字幕をつけることも意識しています。

道南は緑、道央はピンク、道北・オホーツクは黄色、道東は青で色分け。この色は2022年度の平日18:40放送の4エリアのニュースのポスターの色を参考にした。


―――投稿は一人で作っているんですか?

基本的には私がメインで作っていますが、もう一人サポートがいて二人体制で運用しています。既存のWEB記事をもとに投稿を作ることもあれば、ディレクターから番組の素材をもらってInstagram用に編集したり、ロケに同行して自分で動画を撮影することもあります。
最近だと、2023年4月にリニューアルした「ほっとニュース北海道」のPRの一環で、テーマ曲を歌っているLittle Glee Monsterのレコーディング風景の動画素材からリール用動画を編集して投稿しました。


――撮影から編集まで自分でやっているんですね。NHKに入る前から動画編集の経験があったんですか?

高校生や大学生の時に時々動画編集をする機会はありましたが、そんなに多くはないです。今の仕事を担当するようになって、実際にソフトを触りながら覚えていきました。
投稿内容によりますが、ストーリーだと一時間くらいで作成できます。動画のリール投稿より静止画のフィード投稿の方が編集に時間がかかることが多いです。


――えっ、そうなんですか?

動画は一目で内容がわかりやすいですが、静止画は何の写真なのかが伝わるように順番を入れ替えたり、文章でわかりやすく説明しなければならないので、編集に時間がかかります。撮影する時も動画より写真の方が悩みが深いです……。


――悩みが深いというのは?

動画の方が動きがある分状況が伝わりやすく、見た目にも映えやすいですが、写真で状況を伝えるのはなかなか難しいと感じます。また写真は必要なカットを撮り忘れてしまうと情報が伝わらなくなってしまうので、その点も難しいです。
一方動画の場合はむしろあまり作り込まず、オフショットのようにありのままの姿を出した方が見ている人に喜んでもらえることが多いので、そういう意味でも動画の方が精神的には楽ですね(笑)。



3.局内への発信も大切に


――Instagramの開設から運用開始まで、一番大変だったことは何ですか?

局内の人たちに理解してもらうのが大変でした。全員がInstagramを使いこなしているわけではなく、中にはほとんど触ったことのない人もいたので、その人たちにもInstagramとはどんなもので、何のためにアカウントを作るのかということを理解してもらうのが難しかったです。


――局内への周知ではどんな工夫をしましたか?

「はぎちゃんねる」というYouTube風の動画で周知することにしました。もともと「北海道ソリューション」という組織が何をやっているのかを他の部署の人たちにわかってもらうために、インナーコミュニケーション用に始めた動画だったんですけど、その中でInstagramの特徴やアカウント開設に向けての進捗状況などを説明しました。

インナーコミュニケーションとして始めた「はぎちゃんねる」


――反響はいかがでしたか?

物珍しさからか、たくさんの人が見てくれました。私自身はそんなに見られているとは思っていなかったんですけど、函館局に出張した時に「はぎちゃんねるの萩」としてみんなが知ってくれていたり、なぜか東京の理事の間で話題になったりもしたみたいです(笑)。
NHKでは、職員が自分の顔を出してYouTubeみたいに動画を局内発信するというのはそんなに珍しいことなのかと驚きました。


――今まであまり見たことのない斬新なインナーコミュニケーションだなと思いました。「はぎちゃんねる」というネーミングが特に良いですよね。

局内チャットで周知しただけだと読んでもらえないことも多いので、動画で周知するのはどうですか、と先輩に相談したら「萩ちゃんの動画だから『はぎちゃんねる』で良いじゃん」と言われ、自分が出ることになってしまいました(笑)。表に出るのが得意なわけではないのですが……。
毎回発信するうちにだんだんマンネリ化してしまったなと感じていたのですが、Instagramのフォロワーが2000人を達成して私が喜んでいるだけの瞬間を撮影したシンプルな短い動画を出したら、意外と多くの人が見てくれて驚きました。
現在はInstagramの編集が忙しくて「はぎちゃんねる」を編集する時間がないのですが、月一回だけでも公開できたら良いなと考えています。


――3年目ながら、これまでさまざまな業務を経験されていますが、今後やってみたいことはありますか?

今までは局内の人とかかわる仕事が多かったので、外の人と関わる仕事がしてみたいです。
あとは、具体的に何ができるかはまだわかりませんが、私自身、大学生の時から持病があるので、そうした経験を何か仕事に生かせないかなと考えています。
現在マイノリティと呼ばれる人たちが、マイノリティという言葉でくくられない未来が来れば良いなと考えていて、そんな未来に近づけるような取り組みがしたいです。


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