NHK札幌放送局

ローカルグルメ滞在記 ~知られざるヒヤマ飯との出会い~ その1

ローカルフレンズ制作班

2022年6月30日(木)午後3時26分 更新

こんにちは。ディレクターの堀越です! 「ローカルフレンズ滞在記」という番組の企画で、6月まるまるいっぱい、乙部町と桧山エリアに滞在しています。桧山エリアを案内してくれたローカルフレンズの三上良介さんは米農家、ということもあり、“食”にまつわる出会いの数々が。この記事では、放送には入りきらなかった、おいしい出会いを超個人的に綴っていきます! 

“毎日ちゃんと食べてる?”
滞在中に出会ったみなさんによく聞かれた質問です。
突然やってきた誰ともわからぬディレクターへのみなさんのやさしさ。これだけで心満たされます。

いや正直、最初はどこに何を食べに行ったらいいのかわからず、オレンジコンビニのあたたか~い料理長にだいぶだいぶお世話になっていました……。

でも、みなさんに少しずつおいしいものを教えていただくうちに、目覚めます。

そう…………知られざるヒヤマ飯の境地に。

地域の人にとってはあたりまえかもしれない、でもディレクター堀越を確かに震わせた、あの食材あの料理。
さあ、ローカルグルメ滞在記・桧山編スタート!


第1週  オトベ飯に目覚め、噛みしめる

小さいいちごをみくびるなかれ

乙部町の野菜の直売所で出会った、乙部産のいちご、その名も“けんたろう”。

「小さいいちごはすっぱいって思ってる人~?」
過去のわたし「は~い!」

いえいえ、こちらのけんたろうは、小さくても、とにかく!甘くてみずみずしい!
1袋にこんなにたっぷり入っているのに、ぽりぽり食べていたら気づいたら無くなっていて、机に怖いくらいヘタが積もっている、そんないちごです。しかもそれ、何回もやっちゃった。いちご界のポテチ。

聞くところによれば、けんたろうは、2000年北海道生まれのニューフェース品種。収穫できるのが、5月下旬から6月上旬と超!短い。主な生産地の道南のほかに、札幌や旭川にごく少量しか流通しない、この地域ならではのいちごなんです。

直売所の方曰く、写真のような小さいけんたろうは、収穫終わりかけの合図。そしてその終わりかけが、甘みがぎゅっとつまっておいしい時なんだって。次食べられるのは来年と思うと、すでにその美味しさが恋しい~~。

地元のフードコーディネーターの教えに間違いなし

1週目に出会った、近藤緑さんは乙部町出身のフードコーディネーター。
良介さんの田植えイベントのお昼ご飯に出す料理づくりに、自ら名乗りを上げた緑さん。ここ最近自炊を放棄していた私も一緒にお料理をすることに!

2人で一生分の長いもをみじん切りしているところ

旨味つまりすぎ豆

私が野菜をもくもくと切るなか、緑さんがさっとゆであげたのはこの小さくて黒いお豆。乙部の特産品、黒千石大豆です。

放送では、「山形のだし」の中に入れて使ったと紹介した黒千石大豆。だしも絶品だったのですが、実はだしに混ぜてしまう前に…………

パラパラっと塩を振って、「そのまま食べてみてっ!」と緑さん。

そう、これが……最高っ……!プチっとはじける黒い皮に、中からぎゅっと濃厚な大豆の旨味。これには、“おつまみの完成形”を見ました。節分でまいた豆を食べるの好きだったタイプの大人は絶対にハマる!

“黒千石大豆”は、もともとは北海道の在来種の大豆。栽培が難しく一度は絶滅の危機に瀕し、たった50粒から復活をとげたという逸話も。今では全道で栽培されています。ゆえにまたの名を「幻の黒千石」!乙部町に来たら、黒千石のかりんとうや豆ごはんのもとも、おみやげにおすすめみたいです。

緑さんが2人で食べる用に作ってくださったこの日のお昼ご飯
豚汁をアレンジしたカレー風味煮込みと、
手前は特製フムス!(中東のひよこ豆ペースト)
フムス大好きなんですが、まさか乙部で食べられるとは…!!感激!!

16合が消え去る日

緑さんとたっぷりおかずを仕込んで……いざ田植えイベント当日!
田んぼでばっちり身体を動かした後、おとなもこどもも、もうおなかペコペコ!そして私はぐっとこらえてカメラをまわしています!

魅惑のバイキング形式

左から、黒千石とアカモクが入っただし、
ラディッシュとアスパラのピクルス、
良介さんのじゃがいもをつかったローストポテト

乙部産野菜のほかほか豚汁
玉ねぎにんじん小松菜がたっぷり!ああ~この頃はまだ玉ねぎが安かったな~。

そしてメインディッシュはもちろん、米農家のローカルフレンズ三上良介さんの作ったお米!

この日の参加者は38人。なんと16合のご飯を一瞬で 完 食 !!
良介さんの白米と、緑さんのごはんのおとも、最強タッグの証明にほかなりません!

そしてこちらは私にご飯をよそってくれる、良介さんの娘さん・なちちゃん(5さい)。
この日、さっと名前を聞かれて以降「みお!」って、まさかの呼び捨ての仲になりました。なちちゃんは社交性が特殊な域まで振り切れていて、誰とでも一呼吸でお友達になれます。ローカルフレンズ期待の逸材だなあ。

山と海が近い町で

乙部町に来て驚いたのは、山と海との距離がすごく近いこと。この日は良介さんのお米の配達についていき、乙部の港へ。魚介の直売所を切り盛りする、まりさんと出会いました。

良介さんのお米の大ファン!

ほんとはホッケの開きがイチオシの直売所。
いま、乙部のものはあんまりないのよ~残念~!!と、その場で茹でて食べさせてくれたのは、同じく道南・知内町のカキ。このツヤツヤ、プリプリは言うまでもない味わい。ほんとうにごちそうさまでした!

そして、この時紹介していただいたのが、まりさんの後ろに映っている、乙部唯一のお寿司屋さんの大将。直売所にいつも顔を出して、自ら仕入れをしているといいます。まりさんにも「すっごくおいしいし、面白い大将だから、ぜひ食べに行って取材してあげてね~」と言われていました。

でも、なかなか行くタイミングがつかめないまま、滞在記中盤に。そしてある日、元気だった大将が急に体調を崩し亡くなった、と聞くことになります。

昔なじみのお寿司屋さんの大将の突然の訃報に、大きな悲しみに包まれていたまちのみなさん。私も結局、大将にお寿司を握ってもらえないまま、ちゃんとお話もできないまま。

それ以来、あの日にちょっと足を延ばしてお店に食べに行っていれば、と何度も思います。悲しいけれど、だからこそ旅の一期一会のご縁のありがたみを今一度噛みしめる、そんな出会いになりました。

後日また遊びに行き…
まりさん、慶さんと、なぜかお店宛てにサインを書かせてもらった私

第2週 3人の母の愛情飯

ほら!これ!食べたことないでしょ!食べてみなって!
乙部町生活2週間目になったこのころ、要領をつかんでだんだん一人で行動できるように。
お休みの日の夜、気になっていたご飯屋さんを訪ねると……

オムライスを食べていたはずが、突如差し出される別の黄色い“何か“……!

お店に入るや否や話しかけてくれた
キッチンカフェのどか・気さくすぎるオーナーの明美さん

これ、何かというと……

乙 部 産 ミ ツ バ チ の 巣 ! 
ハチの巣蜜、皆さん食べたことありますか? 私ははじめてです。

一口噛んで、食レポのときしちゃダメな顔している私
それを眺めながら奥のお客さんはニコニコ

噛んだ瞬間、口の中にじゅぅうううわぁあああ~~と広がる蜜。おいしいとかおいしくないの判定の前に、圧倒的な甘さに思考ストップ!これまでの人生で食べたものの中で確実に一番甘い気がする。だんだん落ち着いてくると、香りがふわっと鼻に抜けていき、あ、おいしい、と思えるように。

そしてこれはメニューではなく、明美さんのご厚意で食べさせてもらったもの。この日以降、お店に通うようになった私は、明美さんのおもてなしの心に何度も驚かされます……!

ちなみに、この乙部のはちみつとの偶然の出会いで、とっても素敵な取材をすることができました。詳しくは、2週目の放送をご参照ください!

明美さんのノンストップおもてなし

これまた数日後。またも明美さんが乙部の味覚を持ってきてくれました。こちらもはちみつにまつわる“あるもの”の天ぷらです。なんでしょう?

こちらも当然メニューにはない一品

正解は“アカシアの花”!アカシアは乙部町の森のはちみつづくりに欠かせない木です。乙部町では、アカシアが咲く時期になると少しずつ摘んで各家庭で天ぷらにするのが一般的だそう。

そのお味は……お花そのものの味はほとんどない……。でも最後にほんの少しお花の香りがして、これまた初めてのおいしさ!

でも、ここ最近、乙部町では蝦夷梅雨が続き、雨も風もとにかく強い。残念ながら、アカシアのお花もほとんど落ちてしまいました。はちみつづくりも初夏の味覚もかなりピンチだと伺いました。どうか晴れの日が戻ってきますように!

あとは、せっかくなら桧山の家庭料理を食べてみたいな~!
と思っていたら、同じく乙部町に住んでいる良介さんのお母さま・美江子さんのご自宅にお邪魔する機会が。その夜、お夕飯を一緒に食べさせてもらうことに。

笑顔が素敵でかっこいい看護師のお母さま
「いつも良介はアメリカ生まれって得意げに言ってるけど、産んだのは私だからね!」

頂いたのは、たくさんのおかずと、おいしいごはんと、これはみそ汁……じゃない?

八杯汁(はちはいじる)” 桧山エリアでよく食べられている郷土料理なんです。(後から調べると東北地方や愛知県などでも食べられているみたいです。)八杯汁の名前の由来は、「八杯も飲みたくなるくらいおいしいから」。百杯汁とかにしないあたり現実味がある。

しょうゆ味のしいたけや昆布のだしで、とろみがついたお汁。細く切ったお豆腐をたっぷり。味の決め手は、すりおろしたしょうが!

風邪をひいたときや、寒い夜に飲めば、身体の芯からポカポカになること間違いない!急遽お邪魔したのに、せっかくだからと作って頂いたお心遣い含め、ほんとうにこころ温まるやさしい~お汁でした。

翌日、これも持っていって!と渡してもらったおにぎり。
中には美江子さんが激ハマり中という八雲町・熊石の「なすみそ」。
編集中にいただき、私も帰りに寄って買いたいくらいおいしかった~~~。

みんなとつながるアスパラ

3人目のお母さんは、フードトラックで出会った庄山江利子さん。
6年前に会社員を辞め、厚沢部町で農家を始めたばかりとのことなのですが……とにかくエネルギッシュ!

庄山さんは、厚沢部町でいまアツい!「保育園留学」(※)に来たファミリーに、もっと厚沢部町を好きになってもらうため、“アスパラの収穫体験会”をやっています。
そしてどうやら……その体験会に出ると、みんな「また絶対厚沢部に来ます!」と言って帰るらしい…!

※保育園に通うお子さんがいる家族に、数週間、厚沢部町での暮らしを体験してもらう取り組み。申し込みが殺到していて、キャンセル待ち状態だそう。

アスパラの育ち方を、ハウスの中で、写真のカードを使って説明してもらってから……

とれたてのアスパラをハウスの中で焼く!アスパラの緑色が濃い!味が濃い!みずみずしい!
となりのジャガイモはもちろんメークイン(厚沢部はメークイン発祥の地)!これもしっとりほくほく!

“あっ、江利子さん、私、また絶対厚沢部に来ます!”

ローカルグルメ滞在記 その2 に続く!


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