NHK札幌放送局

自転車のヘルメット なぜ定着しない?

シラベルカ

2022年5月17日(火)午後2時09分 更新

暖かくなって、最近、自転車に乗るようになった人も多いと思います。みなさんは、自転車に乗るとき、ヘルメットをかぶっていますか?今回、みなさんの質問に答える「シラベルカ」に寄せられたのは、ヘルメットに関する疑問でした。
たしか子どもの時にはかぶっていたけど、いつからかかぶらなくなったという大人の方も少なくないと思います。海外の映画などを見ると、日本よりもヘルメットをかぶっている人が多いような気もします。札幌市の街なかでは、春の訪れに合わせ、「シェアサイクル」が始まるなど、自転車の季節到来にぴったりなこの疑問に答えるべく、取材チームが動き出しました!

どんな思いから投稿を?

投稿文
「自転車に乗るときにヘルメットは安全面で優れたグッズだと思いますが、なぜ定着しないのでしょうか?」

質問を投稿してくれたのは、恵庭市に住む髙田弘子さん。現在は車を運転していますが、近いうちに処分し、自転車に乗り換える予定だといいます。そこでヘルメットを着用したいと思ったそうですが、周りにかぶっている人が少なく、ためらっているといいます。近所の小学生がかぶっている姿を見て、安全面を考えると改めてヘルメットは大切だと感じています。

投稿者 髙田弘子さん
「ヘルメットをかぶるかというと、ちょっと正直目立ってしまうような。ほんと仲間がいればいいなという気持ちですね。頭を守ってくれるこのヘルメット、なぜにかぶる人が増えないのかな。なぜかな」

確かにヘルメットをかぶっている人が少ないように感じた取材班。ある調査結果を見つけました。NPO法人の自転車活用推進研究会などが全国の都道府県別に調べた着用率では西日本の県が上位を占めるなか、北海道はなんと最下位。着用率はたったの2%と、全国で最も低いという結果でした。

北海道ならではの理由はあるのか。専門家に聞いてみると、北海道の気候が関係しているといいます。北海道は冬に雪が降って自転車に乗らなくなる人が多いですよね。専門家は、コストをかけてヘルメットをかぶろうという人が年中、自転車に乗ることができる地域に比べて少ないのではと分析しています。そんな北海道で、ヘルメットに関して、そもそもどんな規則があるのか、取材してきました。

ヘルメット着用 北海道では

まず訪ねたのは、道の交通安全の担当課。紹介されたのは、4年前に施行された『北海道条例』でした。

道民生活課交通安全担当 箱﨑和好 課長
「北海道自転車条例では、自転車の利用者は自らの安全を確保するため、乗車用ヘルメットを着用するよう努めなければならないというふうに決められております」

このなかで、自転車を利用するすべての人はヘルメットの着用について努力義務とされています。さらに、『道路交通法』では、児童や幼児にヘルメットをかぶらせるよう、努めなければならないという規定があります。どちらも努力義務となっていて、罰則はありません。

義務化する自治体も 比布町

そんななか、ヘルメットの着用率を高めようと力を入れている道内の自治体もあります。上川の比布町です。町に行ってみると、自転車で小中学校に通う児童や生徒はみなヘルメットをかぶっています。それを後押ししているのが、ヘルメット購入の補助制度です。町と交通安全協会が購入の費用を補助。各家庭の負担は実質4分の1に抑えられています。

比布町教育委員会 北川範之 教育長
「保護者からはありがたいという声が聞かれます。やはりヘルメットをかぶっている子どもたちの姿を見るとほっと安心します」

その結果、町によりますと自転車で通う小中学生のヘルメット着用率100%だということです。しかし、そんな比布町でも卒業後のヘルメット着用について尋ねると・・・。

比布町教育委員会 北川範之 教育長
「正直に言って中学校を卒業するとヘルメットをかぶらなくなっているなと思います。町民の方についてもやっぱり課題かもしれませんね」

なぜ着用しない? 専門家は

どうして、かぶらなくなってしまうのか。自転車の安全対策の専門家に聞きました。

大阪公立大学大学院工学研究科 吉田長裕 准教授
「小さい頃は、義務化ということなので、たぶんあまり考えずに習慣的にかぶらされてたと思います。大人になると、周りからどういうふうに見られているのか気になるとか、自分はそんなにひどい運転はしないから事故になることはないという風に考えるようになるのでは。このあたりが行動に影響を与えるのではないかと思います」

そのうえで、着用率を上げるために進めるべきことは?。

大阪公立大学大学院工学研究科 吉田長裕 准教授
「“大人になったらヘルメットは卒業できます”ではなくて、ずっと着用していかないといけないもので、それは自分の身を守ってくれる大切なものなんだという理解を促していくようなサポートも必要です。ひとつひとつクリアしていくっていうことを政策の中で着実にやっていく必要があると思います。特定のターゲットをしぼって、こういうひとたちがなぜ着用しないかそういったことをひとつひとつクリアしていくっていうことを政策の中で着実にやっていく必要があると思います」

専門家が指摘するように、実際、着用率トップの愛媛県では色や通気性などの機能面に課題があることがわかり、高校生が決めた色などを採用することで飛躍的に着用率が上がったそうです。また、富山県では見た目は紺色のキャップになっていて、帽子のような感覚でおしゃれにかぶれるヘルメットも作られ、高齢者などに着用が呼びかけられています。

最近では軽くてかっこいいデザインも出てきているヘルメット。自転車に乗り始める春、『自分の身は自分で守る』ために、ヘルメットを手に取ってみてはいかがでしょうか。

取材)NHK札幌 山口里奈記者
澤亮介カメラマン

自転車の安全に関する記事はこちらもどうぞ。
シラベルカ#59 自転車の交通ルールを調べました。

シラベルカのトップページはこちら


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