春のセンバツに出場し、春夏連続の甲子園出場を目指す”クラーク記念国際”がいる北北海道大会の戦力は?今年、近年稀にみるハイレベルな投手が揃う南北海道大会は、どのチームが甲子園出場を掴むのか!?
日頃から球場に足繁く通い取材を重ねてきた実況アナウンサーによる、今大会の展望だ。


小山)今年も甲子園をかけた戦いが始まります。準備はどうですか?
高山)今年は、春の支部大会から球場に通って、“生で”野球を見ることにこだわってきた。変化球の曲がりや打球の質、それぞれのチームの特徴・戦力を見てきた。
小山)準備万端ですね。私も先日、空知支部大会に行ってきました。自分が監督になったつもりで、次に起こる作戦面を頭の中で予想しながら試合を見てきました。
高山)そういう癖を付けておかないと、いざ実況席に座ると、実況の言葉がプレーに遅れてしまうからね。それにしても支部大会から熱戦続きで胸が熱くなったよ。
小山)そうですね。今年の3年生は新型コロナの感染拡大が始まった時に入学して、高校生活や部活動で様々な我慢を強いられてきました。その中で迎える最後の夏。高校野球で培った力を存分に発揮してほしいです。
高山)本当にそうだよね。では、早速、北北海道大会から展望していきたいと思う。
北大会は、決勝のテレビ実況を小山アナが担当しますが、ずばり優勝争いはどう予想する?

小山)優勝候補を挙げさせて頂くとすれば、やはりAブロックのクラーク記念国際ですね。去年秋の全道大会優勝校で、今年春のセンバツ高校野球も出場しました。私も支部大会に取材に行ってきましたが、まず投手陣の層が厚い。春の甲子園でも先発した、左腕の山中麟翔(やまなか・りんと)投手と、最速148キロ右腕の辻田旭輝(つじた・あさひ)投手の“ダブルエース”。また、打撃力も強力。さらに作戦面では、かつて駒大岩見沢の監督として甲子園で多くの実績を残した名将・佐々木啓司(ささき・けいじ)監督が指揮をとります。去年秋の決勝で、ベンチからバッターボックスの選手に“打球方向”を指示して、その直後、見事にその打者が指示された方向にタイムリーヒットを打つなど、状況に応じた効果的なアドバイスは流石です。炎天下の夏の戦いは、“体力勝負”。クラーク記念国際は“複数の好投手”がいるだけに、佐々木監督の“継投のタイミング”も勝ち上がっていく上でカギを握ると感じています。

高山)確かにクラーク記念国際は注目だよね。クラーク記念国際に迫る高校となると、どこを予想する?
小山)Bブロックでは、旭川大高。夏の甲子園に9回出場と、北大会の強豪校。地力がありますよね。
それと個人的に楽しみなのは、旭川龍谷。支部大会で去年秋の準優勝高の旭川実業に勝ってきました。
それも2-0のロースコアの接戦を制しました。エースの出雲﨑綾(いずもざき・りょう)投手が、支部大会2試合で無失点。1点も取られませんでした。北大会注目の投手だと感じています。
C・Dブロックで言いますと、去年準優勝の帯広大谷。
さらに、滝川西は去年のベスト4で、今年のチームも、去年秋・今年春の全道大会に出場するなど安定していますから優勝争いに絡んでくる可能性があります。

高山)いやぁ、本当に楽しみだよね。甲子園と言えば、新たな甲子園初出場チームが誕生するかも楽しみ。
創部119年目の旭川東。
名寄支部から初めての甲子園出場を目指す稚内大谷などにも注目してい
ます。
小山)次に、南北海道大会を展望しますが、高山さんが決勝テレビの担当ですね。

高山)そうです。去年秋の決勝を担当し、今年は5月の大型連休明けの春の札幌支部大会、春の全道大会、夏の支部大会と球場に通ったから、ある程度、戦力は頭に入っているつもりです。
小山)頼もしいですね。では、南北海道大会の注目は?
高山)今年は近年稀に見る、“好投手の多い大会”です。その中で4人あげさせてもらうと・・
① 苫小牧中央の右腕・斉藤優汰(さいとう・ゆうた)投手。身長189センチから最速151キロの速球を投げ下ろす本格派。高身長でボールに角度があり、キレのあるスライダーやフォークも持っている。
② 東海大札幌の左腕・門別啓人(もんべつ・けいと)投手。身長182センチで最速150キロ。支部大会で見たんだけど、制球力、牽制の上手さ、さらにフィールディング、“投手力”の高い選手です。
特に右打者の内角のストレートが素晴らしく、外に逃げるボールとのコンビネーションが絶妙だった。
③ 知内の左腕・坂本拓己(さかもと・たくみ)投手。身長180センチ。最速147キロ。キレのあるスライダーも持っています。チーム力も高いので、函館支部から25年ぶりの甲子園出場なるか注目。
④ 札幌大谷の左腕・森谷大誠(もりや・たいせい)投手。身長172センチながら体重82キロと下半身どっしり。最速148キロで、外に逃げるシンカーも武器。支部大会のノーヒット15奪三振は圧巻。

小山)どの投手も、まずはストレートが速い。それも左投手が3人。左投手で
140キロ台後半のストレートという投手は高校生レベルでは全国で
も数少ないですからね。
高山)そうなんだよ。春の全道大会でも、多くのプロ野球のスカウト陣がバッ
クネット裏に詰めかけていたよ。各学校の監督などの話を伺うと、今年の南北海道大会の投手陣は全国でもハイレベルと言ってもいいと思う。
さらに、小山アナ。トーナメント表を見て、何か気付くことはない?
小山)え・・。あっ!わかりました!
この4投手を擁する4チームは全て別ブロックに配置されましたね!!
高山)そうなんだよ。Aブロックに東海大札幌、Bブロックに知内、
Cブロックに札幌大谷、Dブロックに苫小牧中央。ただ、この4チームが順当
にベスト4に来るとは限らない。優勝候補はまだまだいる。
まずAブロックから見ると、甲子園での実績がある駒大苫小牧、Bブロックに
去年夏の準優勝・札幌日大、Cブロックには去年夏の優勝校・北海、Dブロックには今年春の準優勝校・北照。さらにDブロックの酪農学園大とわの森三愛は、14年ぶりの出場だけど、かなりの打撃力を持っている。
初戦の苫小牧中央戦は、「好投手・斉藤投手 対 酪農学園大とわの森三愛打線」、見応えがありそう。
まだまだ言い切れないくらい力のあるチームがある。

小山)全く読めませんね。力のあるチーム、そして楽しみなチームが多いのは確かですね。
高山)そうなんだよ。果たしてどのチームが優勝し、甲子園出場を掴むのか。
我々の放送予定もお伝えしておきます!

NHKでは北・南北海道大会の準決勝・決勝の模様を生中継します。
北北海道大会
準決勝:7月23日(土)
Eテレ:午前10時~/ラジオ第1:午前10時5分~
決勝:7月24日(日)
総合テレビ:午前10時5分~/ラジオ第1:午前10時5分~
*雨天順延で変更の可能性有り
南北海道大会
準決勝:7月25日(月)
総合テレビ:午前10時5分~/ラジオ第1:午前10時5分~
決勝:7月26日(火)
総合テレビ:午前10時5分~/ラジオ第1:午前10時5分~
*雨天順延で変更の可能性有り

高山)では、最後にテレビ決勝を担当する我々から実況の意気込みを言わせて頂きます。まず、南北海道大会の決勝テレビを担当する私ですが、
「北海道の高校球児の一つ一つのプレーに寄り添って、熱くお伝えできるよう
頑張ります!」
小山)続いて、北北海道大会の決勝テレビを担当する私から。
「選手、マネージャーの皆さんが高校生活の全てを注いできた、かけがえのな
い時間と、一生の記憶に刻まれる夏の特別な空気感。その一瞬一瞬をしっかり
と感じながら、高校野球の魅力を全力でお伝えしたいと思っています!」
