NHK札幌放送局

全国の生徒募集中 北海道福島町の高校は存続危機を脱せるか

道南web

2022年9月30日(金)午後2時18分 更新

「町がなくなってしまうかもしれない」

北海道福島町教育委員会の教育長は、強い言葉で危機感をあらわにしました。 町内唯一の高校、道立の福島商業高校がなくなれば、町の衰退につながるというのです。

なんとか学校を存続させたい。
町は初めての取り組みに乗り出しました。

うちに「留学」しませんか?

今年9月、東京都内で開催された合同の高校説明会。
全国から生徒を呼び込むことで、地域の活性化につなげたいという地方の高校、およそ70校が集まりました。

この説明会に北海道南部の福島町と町内唯一の高校、福島商業高校も初めて参加しました。

校長「うちのホームページは見たことがありますか?」
中学生「一度だけ拝見しました」
校長「どんな感じでした?」
中学生「きれいな写真や自由な生徒の姿があって、すごく楽しそうでした」

函館から車で1時間半の福島町は渡島半島の南端に位置し、津軽海峡に面する漁業が盛んな町です。ただ、少子高齢化などで人口減少が進んでいて、1万3000人を超えていたピーク時の人口は、今や3割程度の3600人余りにまで減りました。

これに伴って、福島商業高校も生徒が減少。定員割れが続き、40人の定員に対して、新入生が10人前後の年が続いています。こうした状況に、町は危機感を募らせました。北海道教育委員会の基準で、道立の福島商業高校は1年生が2年連続で10人未満になると、統廃合の対象になってしまうからです。

小野寺則之 福島町教育委員会教育長
「高校がなくなると、もう本当に町がなくなるのではないのかという危機感があります。高校がなくなった町はたくさんあると思いますが、いずれの町も活力が低下して、人口減少に拍車がかかっています。若い人がいなくなれば、次の雇用の場がいくらあっても働く人がいないので、さらに人口が減少してしまうのが現状です。また、ほかの町のように高校を道立ではなく町立にすると多くの財政的な負担がかかるため、現実的に難しいのが実情です。そうなると、何としても若い人にいかに町に残ってもらうかということが課題であると思っています」

こうした中、参加したのが都内での説明会でした。会場には、自然豊かな環境や特色ある地方の学校で学びたい生徒などが多く訪れていて、福島商業高校と町も、小規模校ならではのメリットなどを説明しました。

校長「ホームページ見て分かるように、全校生徒28人しかいないので、みんなの顔と名前分かるし、こうやって話せるし、そういうところはすごく幸せです」

説明会に福島商業高校の代表として参加した生徒のひとりで1年生の小熊伶糾さんも、人口が少ない町ならではの魅力を一生懸命に伝えました。

小熊伶糾さん
「福島町は札幌といった都会とは別物と考えてもらって、本当に自然がたくさんあります。人が少ないので人との関わりがすごく多いし、そこでいろいろ人間関係を構築したりすることができます」

千葉県から来ていた中学生は、高校の説明に興味を持った様子でした。

説明会に来た中学生
「生徒とか先生たちが仲良くて、小規模だけれども小規模だからできることがあって、すごく楽しそうでした。もともと北海道とか沖縄とか、そういう離れた所が好きだったので、それで探していたら、たまたま見つけて、すごくよかったなと思っています」

うちに「留学」してほしい!けど、ライバルも

一方で、福島商業高校には、多くのライバル校も立ちはだかります。

福島商業高校と同様に全国の生徒に「留学」してほしいと取り組む高校は、全国で90校余りにのぼります。道内でも離島の奥尻高校や礼文高校など、すでに9つの高校が取り組んでいるのです。

そこで、学校の魅力を直接感じてもらおうと、今年9月、全国の生徒も対象にしたオープンキャンパスを開催。東京や神奈川などの中学生10人が参加しました。

オープンキャンパスでは、学校の特色である商業科の授業に触れてもらおうと、参加した生徒に「POP」と呼ばれる広告づくりに挑戦してもらいました。

テーマは地元・福島町の特産品。生徒たちは慣れない広告づくりに四苦八苦している様子でしたが、福島商業高校の在校生や教諭のアドバイスを受けながら、思い思いのPOPを制作していました。

また、体育館では、授業で今後取り入れる予定のドローンの操作技術が学べるコーナーも設置し、関心のある生徒に実際に操作を体験してもらいました。商業高校で学べば、社会に出てから「生かせる力」が身につけられるということを知ってもらうのがねらいです。

都内からオープンキャンパスに参加した中学生
「いろいろな体験ができて、とても楽しかったです。今後の志望校の1つとして考えていきたいです」。

さらに、町も生徒の受け入れに向けた環境づくりに取り組んでいることを知ってもらおうと、来年2月に新たに完成する予定となっている「留学生」向けの下宿施設の建設現場に参加した生徒と保護者を案内しました。

そして、最新の設備を備えていることや学校やコンビニにも近い立地の良さなどを説明し、受け入れ態勢が万全であることをアピールしました。

小野寺則之 福島町教育委員会教育長
「北海道福島町を選んでいただくということは、親御さんもお子さんも、それなりの覚悟を持って来ていただけると思うんですね。ですから、我々も全力でその期待に応えて希望がかなえられるように、生活環境や卒業後の進路などについて全力でサポートしていきますし、のびのびと高校生活を送れるような環境作りに努めていきたいなと思っています」

“生徒の減少に歯止めをかけて、町の活性化につなげたい”。高校の存続をかけた町ぐるみの取り組みが続いています。

(取材:NHK函館 鮎合真介)

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