6月下旬、厚真町では特産のハスカップの収穫が始まりました。
3年前の胆振東部地震の被害を受けながらも、前に進む男性の思いを取材しました。(苫小牧支局 地吹顕太朗)
日本一のハスカップのまち
厚真町はハスカップの作付面積が21ヘクタールあまりと日本一で、およそ100軒の農家がハスカップを育てています。収穫時期は6月下旬~7月中旬ごろで、なかには観光農園として収穫体験ができる農園もあります。

厚真町でのハスカップの栽培は、苫小牧市東部から厚真町にまたがる勇払原野が産業地域として発展し、ハスカップの自生地が無くなることから資源保護のため多くを厚真町に移植したことから始まりました。
すこしずつ前へ
この町で15年ハスカップを育てている土居 元さん。親からハスカップの栽培を引き継いで3代目です。土居さんの農園では収穫体験をすることができ、毎年多くの人が農園を訪れています。収穫したハスカップはそのまま食べるかジャムにする人が多いそうです。
しかし3年前の胆振東部地震で被災。家族や自宅は無事でしたが、夜が明け農園を見に行くと信じられない光景を目の当たりにしました。ハスカップの木1000本のうち、200本が土砂に埋まっていました。あまりの衝撃に土居さんは「唖然とした」と話します。翌年の収穫のために10月ごろ堆肥をまく予定でしたが、それができなくなってしまいました。

土砂は去年の5月にようやく撤去し、新たに160本の苗木を植えました。
しかし、苗木から一定数の実が収穫できるようになるには長い年月がかかります。

土居元さん
ここからがスタートだなと思っています。10年かければ昨年植えた木も実が取れるようになるので頑張っていきたいと思っています。
土居さんは復興へ向け思いを語ってくれました。10年という歳月は決して短いものではないはずですが、より多くの人に厚真町のハスカップを楽しんでほしいという土居さんの思いが感じられました。
土居さんは今後、移植した苗木を立派な木に育てるほか、現在なっている苦い品種のハスカップの活用法を模索しているということです。

取材後記
土居さんは「生のハスカップを食べたほうが、本当のハスカップを楽しめる」と話していました。実際にわたしも生の実を食べさせていただきました。種類によって実の大きさはまちまちで、味は甘い、酸っぱい、苦いなど一粒一粒違う個性を楽しむことができました。
しかし、コロナ禍のなか人数制限をしているため、例年のように一般の人を呼ぶことが難しい状況だと言います。いつかまた多くの人が厚真町に訪れて、ハスカップを楽しんでほしいです。
2021年7月2日放送
