NHK札幌放送局

北海道まるごとラジオ 放送記録▼2020年8月6日

北海道まるごとラジオ

2020年8月17日(月)午後0時34分 更新

ゲストは、オホーツク海側 大空町出身の講談師 神田山陽さん。
MCは鈴木遥アナウンサーと佐藤千佳キャスターでお送りいたしました!

山陽さんが毎回テーマを決めて50分間しゃべくり倒し、私たちを素敵な世界に連れて行ってくれるコーナー、『うんちく問答』
今回のテーマは、


■なぜ「秋刀魚(さんま)」?

山陽さん:漁が始まったでしょ。史上最高値なんてことを思いながら、Eテレで「にほんごであそぼ」という番組をやらせていただいているんですが、谷崎潤一郎の「細雪」っていう小説を読んでたのよ。
谷崎を読んでいるうちに、「あぁ、そうだ!秋刀魚だ!秋刀魚のことを語らねば!」と思ったのよ。なぜかは、聴いていただければ判明することになっておりますので…もうピンと来た方、いるんじゃないですかね!
鈴木:やばいぴんと来てない!
佐藤:私、ちょっとピンと来ました!
鈴木:あれ、私だけ出遅れている!?

さぁ、どんな話を聴かせてくれるのでしょうか!

◆好きなさんまの食べ方、教えて!

山陽さんのうんちくに行く前に、リスナーの皆さんに募集していた「好きなサンマの食べ方」を一部ご紹介しましょう。

・今日はさんまですね。早速ですからリクエストします。懐かしの1曲を。斉藤哲夫さんで、「さんま焼けたか」をよろしくお願いします。
ということで、ここからはこの曲をBGMに、おたよりをご紹介しました。

・ハマっ子である私の好きな魚はやっぱり脂の乗ったさんまです。食べ方は塩焼きが定番ですが、やはり好きなのは刺身ですね。
・大分に勤務経験のある鈴木遥アナであれば、さんまといえばカボスですよね!(鈴木:ですね~!)
・好きな食べ方は、そのまま焼いて大根おろしとスダチなどでシンプルにいただくことです。サンマのかば焼きも美味しいですね。

鈴木:さんまのかば焼、売っているんですよね。
山陽さん:うなぎは高いからね~。最近、秋刀魚も高いですよ。
鈴木:さんまって、今、1尾いくらぐらいですか?私きのう冷凍もののサンマを2尾買ったんですが(1パック2尾入り)、170円台でした。1尾100円しないぐらいですね…?
佐藤:私はスーパーできのう見た時は、1尾88円でした。
山陽さん:冷凍物はそうなんじゃない?新物はもうちょっとするよ、やっぱり。
鈴木:皆さんのお近くのスーパーではいくらぐらいなのか、おところと、値段と、生なのか冷凍なのか。ぜひ教えてほしいですね!

番組終了までに値段のメールは届くのでしょうか!?

山陽さん:おいしいサンマから思い出のさんままでいろいろあるかと思うんですが思うんですが、まずは食べる方のサンマじゃなくて「映画」!「秋刀魚の味」という映画のお話をさせていただきたいと思います。
佐藤:うわぁ~、いきなり!
鈴木:盲点だったなぁ~!映画が来るとは思わなかったですねぇ!!

(いきなり予想が外れたMC陣…。詳しくは、ビフォアートークをお聴きください。)

山陽さん:名匠・小津安二郎監督の最後の作品「秋刀魚の味」。封切は1962年。
私が初めて見たのは、実は、ローマなんですよ。イタリアの文化交流をしている施設で1年間行っている間に、向こうの大学生と仲良くなってローマ大学で日本語勉強している子たちが、小津映画が好きで、小津映画を観て日本を勉強するんですって。
小津映画って独特な言い回しなので、それが日本語のか平均的なものになるかどうかはわからないんだけど、特に仲良くしてたステファノくんが小津が大好きで、「僕は『ボンジョルノー』が一番好きだ」と言って。「ボンジョルノ-?あぁ、『お早う』(映画の題)のことか!」と思ったりさ。俺は逆にこの小津映画からイタリア語を覚えていたんだけど『秋刀魚の味』が何というタイトルだったか、ちょっと忘れたんですけどね~。(山陽さん!調べましたよ!『Il gusto del sake』です、おそらく。「さんま」なんですが「さけ」になっています笑)
この『秋刀魚の味』の中で、小津監督にしては珍しく戦争について語っているシーンがあるんですよ。


■映画「秋刀魚の味」~山陽さんによるあらすじ~

もともとこの主人公・平山という方(演:笠智衆さん)が海軍にいらしたんですけれども、「朝風」という駆逐艦の艦長をやっていたんですよ。大枠では、娘・岩下志麻さんを嫁に出すという父親の哀愁を描いた物語なんですけれども、その時の部下だった役者さん、加東大介さんとバッタリ会ってバーに出かけて行くと、亡き妻にそっくりなママのいるお店にたどり着くんです。
一杯飲みながら、「娘を嫁にやらなきゃならないな。もし妻が健在だったら妻と一緒に見送ることができたのに、俺が1人で送らなきゃならないなって、もちろん、お兄さんと弟がいるので他の兄弟もいるんだけど、娘を嫁に出すというのは、寂しさはひとしおだな」と思っている中で、自分の亡き妻に似た岸田今日子さんが演じるママのいる店に行って、そこで軍艦マーチがかかっているんですよ。
その時に、元部下だった加東さん(演じる役)が、「あの戦争は負けだけど、もし勝っていたら僕たちは今頃ニューヨークにいますよね。」と。「いや、負けて良かったんじゃないか」って、笠智衆さん(平山役)がおっしゃるんです。
それについて、さっきまで「勝ったら、もし勝ったら」って言ってた加東さんが、「そうですかね。そうかもしれないですね。馬鹿な野郎が威張らなくなっただけでもね。艦長、あなたのことじゃありませんよ。あなたは別だ。」「いやいや」というやり取りがあるんですけど、小津映画の中では、珍しく戦争そのものに対して、セリフを通じてなんですけれども、意見らしいことを言った。「負けで良かったんじゃないか。」と。

山陽さん:この小津さんの映画のことをいろいろ書いていらっしゃる映画評論家の方の本によると、封切りした当時は、「何をバカなことを言うんだ」と、大ブーイングだったんだそうです、映画館で。
でも今思えば、僕は勝ってよかったか負けで良かったか、当時の当事者ではないし、直接的にあまり話すことはできないんだけれども、もし勝っていたら勝っていたで恐ろしいことになっていたし、負けたから、今こういうふうにして、私はいられるんじゃないかなっていうのもあるのよ。世の中ね、何でも勝負なんだけど、例えば今、俺よくわからないんだけど、「このウイルスに勝たなければ」とかね。
「病原菌に勝つために」とか、「我々は負けない」というメッセージがあるんだけど、勝ち負けの問題じゃないことってたくさんあると思うんだよね。
戦争は別だったんだけど、でも、勝ち負けじゃなくて考えていったときに、「負けること」っていうのは、勝った人の半分以上負けているわけなので、お相撲なんていうのは、一日一日、一番一番が勝負だけど、優勝する人はたった1人でしょ?そうすると、負ける人が何百人というわけだから、僕たちは「上手な負け方」というものをどこかで学んで、負けたところから、もういっぺんやり直していこうっていうのを学ぶことが、今の時代に有効なんじゃないかな。と思うんですよ。「負けと共生していく」っていうのかな。「負けた自分と共生していく」っていうのかな。
鈴木:だからコロナの時代でも、コロナと共に生きるじゃないですけど、「withコロナ」って言われていますからね。コロナはいるのが当たり前で、私たちがどう生活できるか。っていう。

さて、話は映画『秋刀魚の味』に戻って…衝撃の事実が。

山陽さん:紹介した「秋刀魚の味」という映画の中には、実は、今回見直したのですが、秋刀魚を食べるシーンは1回も出てきていません。
鈴木・佐藤:えー!!!
山陽さん:それどころか、秋刀魚の影も出てきません!なぜ「秋刀魚の味」という映画のタイトルなのか。いろいろ考えました。のちほどじっくり!


■さんま?秋刀魚??

映画の次は、「秋刀魚」という漢字の話。(これはMC陣もビフォアートークで予想していました!聴いてみてください♪)
NHKでは、「秋刀魚」「さんま」とひらがなで表記します。この「秋の刀の魚」という漢字は、基本的には、あまり使いません。

山陽さん:夏目漱石の『吾輩は猫である』の中では「さんま」という字を、「三馬」と書いていました。まったく、魚のイメージと違いますよね。以前には、さんまを表す漢字が当て字やら何やらでいろいろあったんですけれども、今の「秋刀魚」って書くのが浸透した理由と言われている詩があるそうです。
鈴木:僕が、「僕調べ」(鈴木遥調べ)というか、何かで聞いた話では、「(さかなへん)」に「」と書いて、さんまと呼ばせるのが江戸時代ぐらいまであったという。それから秋の刀の魚っていうのが出てきて、なくなっていったっていうのは聞いたことありますね。
山陽さん:この漢字(秋刀魚)が出てきたのは大正時代だと言われているんですけれども…もうわかった方がいると思いますよ!先ほど、冒頭に話しましたけれども、佐藤春夫という方の「秋刀魚の歌」という大変有名な詩があるのです。
佐藤:あ!予想があたったかもしれません!
山陽:「秋刀魚の歌」というのは大変に切ない。「さんま、さんま、さんま苦いかしょっぱいか」というのは、僕は子供の頃に、もうこのフレーズだけ知っていたんですよ。
「さんまは苦いかしょっぱいか」って、わかりますよね?さんまは塩焼きにするとしょっぱいし、はらわたのところが苦い。
鈴木:あそこが、またおいしいですけどね!
佐藤:大人の味!
山陽さん:あそこの味がわかるようになるまで何年かかるかね~!(笑)子供の頃の苦味っていうのは相当な美味ですよね。
いろんなものの中で、苦くてしょっぱいものはあるんですけれども。例えば「いわし」もそうなんですけれども、腹がうまいから。でもほら、いわしじゃ歌にならないんですよ。私はほかに何かあるかなと思って考えてみれば、「さざえのつぼ焼き」なんかも、キモのところがちょっとほろ苦くてしょっぱい味付けをするんですけれども、これでもやっぱり歌にならないんですよ。で、生きたままグニュグニュ動いてるのかわいそうでしょ。それはそれでまた別な感じになってくるでしょ(笑)。
鈴木:なんで、さんまだけ、歌になるんですかねぇ。
山陽さん:それは、さんまならではの感じがあるからなんですよ!鈴木さん、大分にいたときに、さんまに何をかけるっておっしゃってました?
鈴木:カボスです。
山陽さん:カボス!来た来た来た!そこらへんに、そこらへんに…!

そこらへんに…?答えがあるのでしょうか…!?引き続きお楽しみください。


◆山陽さん、これ知ってる!?

以前から「山陽さんこんなの知ってるかい?」というようなうんちくも募集していましたが、今回、リスナーから「カボスを搾る時のうんちく」が届きました!
「カボスは皮に香りのエキスがたくさん含まれているので、皮を下に向けて搾ります。
そうすることでより爽やかなカボスの香りが楽しめます。また、搾る前にまな板の上などでごろごろして柔らかくすると果汁が搾りやすくなります。まもなく旬のカボスを、ぜひさんまのお供に。」

山陽さん:私もカボスの産地に行ったときにですね、そうすると種が入らないだろうってさらに教えてもらいました。
佐藤:山陽さん、ご存知でしたか~!
鈴木:山陽さん、すでに知っていたみたいですね~、おしい!
山陽さん:でもこれはちょっと貴重な話ですよね。その土地土地によって、北海道はあまり柑橘類がないですけれども、焼き魚にはチュッと行った方がいいですよ。「ニトロソアミン」という毒素が焼き魚の中に出てくることがあるので、おろしとしょうゆにしてしまうと、これが発生するんですよ。
そこにレモン汁みたいなものをスッとかけることによって、味も爽やかになるし体にもいい!

ここでも、ひとうんちく出たところで、「秋刀魚の歌」に戻りましょう。

山陽さん:詩人・佐藤春夫の「秋刀魚の歌」というものをご紹介させていただきたいと思うのですが「さんま苦いかしょっぱいか」。今回はこれがテーマですね。なぜ、苦いかしょっぱいか。

ではさっそくこの詩を聴いていただきたいと思うのですが、朗読するのは、この方!

堀伸浩アナウンサーです!

「この朗読はぜひ堀さんにお願いしたい!!」という山陽さんたっての希望で、急きょ(放送30分前!)に、出演、ナマ読み朗読が決定!(笑)

堀アナの朗読、お聴きください♪

(『秋刀魚の歌』一部抜粋)

山陽さん:この詩をお聴きいただいて、ただならぬ感じがあったでしょう。
これは谷崎潤一郎という作家と佐藤春夫という作家・詩人の、ある一人の女性を-当時谷崎潤一郎の奥様だった千代さんという方-をめぐっての、創作した、恋愛の果てに生まれた詩なんです!


■『秋刀魚の歌』を味わう~山陽さんによる「細君譲渡事件」あらすじ~

瀬戸内寂聴さんがこの恋愛について、「細君譲渡事件」のことを書いている本があるんだけど、奥様を譲るという、谷崎潤一郎という方はとにかく酷い方。自分の奥さんはものすごく良妻賢母なんだけど、その奥さんが気に入らなくなったんですよ。
なぜならその奥さんの妹の方が可愛いから。この妹の方が破天荒なんですよ、少し。だからもう何て言うのかな…ないものねだりでしょ。つつましい女性がいたとしたら、パーっとした人になんとなく惹かれることがあるじゃないですか。この妹の方と結婚するために、自分の妻を冷たくするんですよ。
そこに谷崎の親友だった佐藤が心配になって相談に乗っているうちに、佐藤にも、この奥さんの千代さんにも、心が通い合うんですよ。そこでサンマを食べているシーンなんです!
谷崎は最初はうまくいきそうだったので「俺は妹と結婚するからお前、妻やるよ!」って、ひどい話でしょ。奥さんも何となく納得するんですよ。ところが当の妹の方が「嫌だ」と言ってふられちゃったので、「悪いけどさっきの話はないことにしてくれ!この女とまた一緒になるから!」と。それで谷崎潤一郎と佐藤春夫は絶交するんです。当たり前ですよね。好きで好きで、しょうがなくて、ずっと思っているんだけど、佐藤春夫は佐藤春夫で、別の女の人と結婚し、谷崎はふられてまた別の人と結婚し、さらに別の人と結婚し、そうこうしているうちに、自分の奥さん、千代さんのことを佐藤に、「やっぱりお前のことを好きだってよ。俺は他の人と結婚するから、やっぱり一緒になれよ。」と言って、この二人は和解するんです。そして、三人で新聞広告を出すんです、連名で。簡単にいうと、「私たちいろいろありましたけど、仲たがいをやめて私は妻を離縁し佐藤とくっつけたので、これから3人ギクシャクしてませんから。みなさんこれまで同様よろしくお願いします。」と。これは「細君譲渡事件」として、当時大変な騒ぎになったのです。
瀬戸内寂聴さんの『つれなかりせばなかなかに』という本があるんだけども、これを読んだかぎりでは、谷崎潤一郎さんの酷さはこれだけではなく、佐藤春夫から引き離した千代さんを、自分のところに作家志望でやってきた弟子と仲良くさせておいて、つきあわせて、「あの男はどんなことをした?」なんていうのを、嫁さんから聞いて、それをそのまま小説に書いたやつが『蓼(たで)喰ふ虫』っていう話になっている。自分の奥さんをさんざん冷たくして、さらに呼び戻した奥さんと自分の弟子が付き合っているという話を、そのまま小説に書いたと言われているのです!

佐藤:タイトルも、なんか、もう…
鈴木:谷崎潤一郎も「好きずき」ですねぇ~。
山陽さん:それはもうね、佐藤春夫としてはたまらないでしょ。詩の一番の最後ところ、「げにそは問はまほしくをかし。これの解釈がなかなか難しいんですけれども、「まほしく」なんては、古典の活用形で、学校で習って以来、ここで私は初めて実生活で会ったぐらいの言葉なのですが。
鈴木:ありましたよね!「まほし」習いましたよね!僕も受験終わって今初めて聞きました。
佐藤:私も久々に聞きましたよ(笑)

苦いしょっぱいサンマを食べて、最後に自嘲しているんですよ。
「俺のことを笑ってくれよ」って。あ~ぁ、こんなんなっちゃった。よく、ニーチェの超訳とか飛び越えたような訳をすると、志村けんさんの「だっふんだ!」という感じですよ、これは。佐藤春夫は、「そんなんじゃないよ!」って言うかもしれませんけど、「もうどうしたらいいんだよ、これ!笑うしかないよな!」って。「笑ってくれよ、こんな俺を」っていう。トホホの極みが、この愛の果ての詩なんです。
1つ美しいのはね、最後ね、佐藤春夫さんは、この千代さんとずっと添い遂げるんです。この時、「はらわた苦いからおじいちゃん食べて」ってくれたね、谷崎と千代さんの間にいた娘、鮎子さんっていうんですけど…、

鈴木:あゆがさんまを食べる…(笑)
山陽さん:そういえば、あゆもはらわたがうまい魚ですね(笑)

もっと詳しく知りたい方は、佐藤春夫さんの「殉情詩集」という詩集がありますので読んでみるのもいいかもしれません(by山陽さん)。

山陽さん:「だからしょうがないだろう」って開き直ることが書いてあるのですが、秋刀魚の味だってわかってきましたかね。しょっぱいと苦いというのは、涙の味とそれから人生の中のほろ苦さなんですよ。
「どうしてこんなになっちゃったかな。」っていう。これがいわしでもなくて、さざえのつぼ焼きでもなくて、さんまだというのは頭にあらわれてくる、この歌でいうと「あはれ秋風よ」なんですよね。
春の風じゃダメだし、いわしってのは年中なんとなくいるでしょ。季節によって、おいしい・おいしくない・旬、はありますけれども、いろんな形のいわしはいるんじゃないですか。
それから見るとさんまってのは、ぐるっと回ってきて冬の時期に旬になっていって、焼きながら煙で泣くこともありますよね。そう考えると、さんまの「ほろ苦さ」。そしてこの「しょっぱさ」こそが、いろいろなことがあった上でかみしめるべき人生の味なのではないかと考えると、小津の映画でも、なぜ秋刀魚も食べていないのにこんなタイトルがついたのかというと、「父親が娘を嫁に出すという。それから娘をいつまでもそばに置いておきたいんだけれどもそういうわけにはいかないという。後の別れを「秋刀魚の味」という。この涙のしょっぱさとほろ苦さと表したのではないか」と思ってくるわけなんですわ。
佐藤:なるほど~~~!!!
鈴木:さんまもね、そんな主人公になるなんて思ってもいないでしょうね~!
山陽さん:ないでしょうね~。いやいや俺はまぐろじゃないからやめときます!って感じでしょ?そこら辺が、さんまの謙虚なところなんですよ!!
鈴木:かつては大衆魚とか呼ばれていたのにねぇ!
山陽:じゃないかな、ってのは、私調べですよ。私の想像なんですけれども、そうなんじゃないかしらと思っているわけでございます。

最初のテーマからの伏線の回収に感動しつつ…、なんだかおなかがすいてきましたね。

◆さんま、食べたくなってきた?

リスナーから、
・今の時間にさんまの話題なら、今夜はサンマ料理に決定です。

鈴木・佐藤:ありがとうございます!
山陽さん:まいど!!って感じだね!
鈴木:この話をして食べたくなってもらうと嬉しいですよね!

(メッセージ続き)
本当は今夜はレバーニラ炒めもしくはゴーヤチャンプルでもと思っていたんですけどね。サンマの刺身おいしいですよね。しかし私はサンマといえばどうしても明石家さんまさんのイメージなんですよね。

佐藤:それにしても、ずいぶんメニュー変わりましたね(笑)

・さんまは、子供の時からみりん干しが好きです。

鈴木:みりん干し初めて聞きましたね。
佐藤:みりん干し、私も好きですよ!北海道だけなのでしょうか?どちらの方でしょう?
鈴木:おところが書いてないんですよ。
山陽さん:今、全国区になりましたけど、もともとはいわしだよね、みりん干しは。
佐藤:さんまもみりん干ししてましたね~。
鈴木:それだけさんまがとれたからってことなんですかね。

・妊娠中、つわりでも何も食べられずにいたのになぜかさんまだけ食べられました。さんまがあって良かったです。

山陽さん:さんま好きの子が生まれてきたかな?どうなんだろう!
鈴木:もしかして一周回って明石家さんまさんになったりして。よくしゃべるていう。
山陽さん:なるほど!(笑)


■さんまは目黒?それとも…??

最後は、山陽さんの思い出のさんまのエピソード。

山陽さん:みなさん「思い出のさんま」があると思うんですよ。あの時、あそこでおいしいの食べたなって。おいしいかどうかは別として「忘れられないさんま」というのが実はありまして。これは落語で「目黒のさんま」っていうのがあって産地が全然違うんだけど、お殿様が初めて熱々のものを食べておいしかったって話。やっぱり、食べ物って「誰と食べるか」じゃないですか。食べ物としては恵まれた状況じゃなかったんですけど、私は実は沖縄八重山の竹富島というところで22歳のときに食べた秋刀魚の味が忘れられないんです。
鈴木:沖縄で秋刀魚食べたんですか?
山陽さん:沖縄でとれるわけがないでしょ。北海道産の冷凍のままなんですよ。それをね、真夏の暑い時に食べたんですけれども。
佐藤:季節も、夏!(笑)
鈴木:食べ終わったあとに「やっぱりさんまは竹富に限る」って言って終わるんですか?(笑)
山陽さん:私の中でもね、さんまを食べるたびにそのシーンを思い出す。大げさな言い方をすると、大したものじゃないけど今日こうやっているのは、「そのさんま」と「さんまを食べさせてくれた人のおかげかな」というような気もしているのよ。


■若き日のあの「さんま」

どうしていいかわからなくてね。今でもそうなんだけども、行きあぐねてて「何になったらいいんだろう」って。22の頃思っていたんですよ。それでブラブラしているうちに、アルバイトしながら歩いていて、竹富島にたどり着いたんです。西表島に最初に訪ねて行ったら、訪ねて行った人が、「お前も俺も金がなくてどうするんだ。働いて来い!」って言われて、竹富島のエビ養殖場ってところを紹介されたんです。そこで北海道出身の方がいて、同郷だというのでよくしてくれたんですよ。家賃も取らずにその人のところに転がり込んでいて。ずっと飯を食わしてくれたんです。ふたつき、みつきかなぁ…。もう、迷惑のかけ通しよ。冷凍コロッケの上手な揚げ方から海の潜り方から、貝の取り方から何でも教えてくれた方が、稚内出身の西岡さんって人がいて、その人のところに俺は転がり込んでて、そこが転々とした最後の職業で、その後、私はこの商売に入るんですよ。
もうあまりにも居心地がよくてね。もうこのままいたら、ずっといてしまうと思って。会社の人もよくしてくれて。「社員旅行は台湾だぞ!」なんて言って、「はい!」なんて言って。(笑)

鈴木:社員旅行、行ったんですか?
山陽さん:行かなかったですよ。行ってしまったら、多分こうはなっていなかった。
鈴木:よかったです。

西岡さんが送り出してくれたのですね、快く。あんだけお世話になったのに飯代も取らずに。
それでね、
西岡さん:「北海道帰るのか?」
山陽さん:「いやちょっと考えてないんですけど。」
西岡さん:「そうだな、沖縄と北海道じゃ、北海道うまいものいっぱいあるからなぁ。何食べたい?」
山陽さん:「さんまかな。さけはよくお弁当についてきましたからね。さんまなんか食べたいですね。」西岡さん:「よし、さんま食おう!」
となって…、「さんま、あるんだ!?」と思ったのですが、どこにあると思いますか?ヒントはエビ養殖場。エビを通る網の中のエサとして北海道産の冷凍さんまを使っているんです!エビをとるために、エビ養殖池の中にね、ある程度の大きさだけが入るようなカゴを沈める。そうするとさんまをめがけて、ある程度の大きさのエビが入ってきて、カゴから出ていかないから大きさのそろったものだけ出荷できるという仕組みになっているのよ。そのかごの中に呼び寄せるためのエサが、さんまなんです。

鈴木:エサにさんまを使うんですか!エビって!
佐藤:高級…!
山陽さん:その頃のさんまが高級だったかどうかわからないけど、なにしろ30年以上前ですからね。それでね、そのサンマを冷凍庫からこっそりくすねて、見つからないようにズボンのポケットに入れて、まさに刀ですよ!カチンカチンに凍っている!(笑)
鈴木:ズボンのポケットに入れたら20センチは出ますよ!
山陽さん:そう、足だって上がらないぐらいになる!

そのさんまを、ほかの人に見つからないように、しかも私がエサを切る係だったので、なるべく薄く切っていて、エビには悪いんだけど、このぐらいで寄ってきてくれよって感じで、ばれないようにくすねて、さんま2匹を持っていって、西岡さんと一緒に食べたんです。それが別れの晩餐ですわ。でも「お前頑張ったな」とかなんとかっていう話は全然しないで、明日はこんな仕事でって段取りだけなのよ。で、別れるって話はお互いに一言もしないんだけど、さんまを黙って食って。あの時の、だから、しょっぱさとほろ苦さが、私の今の人生につながってんじゃないかなと思うんです。

鈴木:しょっぱさとほろ苦さ…。


■久々の再会!

ちなみに、この西岡さんには、「会わなきゃ、会わなきゃ」と思ってたんですけど、もうちょっと立派になってから会わなきゃ!挨拶しなきゃ!と思ってたので、いまだに挨拶できないなと思ってたんだけど、NHKの「スタジオパークからこんにちは」って番組に出演したときに、ディレクターが私に内緒で「恩人から手紙が来てます」って、西岡さんからお手紙が来たのよ。もうボロボロ泣いてしまってね。みっともないことに。あのときさんまを食いながらくいしばった涙をスタジオで流して。で、会いに行かなきゃと思って。それから何年かして、竹富島に訪ねて行ったんだけど、「西岡さんもういないよ」って言われて。「え!どこ行ったんですか?」っていうと、奥さんと静岡にいるわと言われて。

鈴木:行くときに連絡してから行かなかったんですか?
山陽さん:来るな、なんて言われたら困るじゃないですか!今さらお前!って(笑)

そう言われないためにこっそり行ったんだけどいなくて「西岡さんはいませんか」って言ったら、「西岡さんなら何年か前に島出て行ったけど電話してやるわ!」。って。その場で電話して静岡を訪ねてきたんです。この間、こんな騒ぎになる前でだから1月だったかな。今年になってから一度静岡おじゃましたんですが、その時はうなぎをご馳走になってしまいました(笑)。さらに私の中のなんか申し訳なさがつのっていくという…。

鈴木:本来のかば焼きを食べたわけですね。
山陽さん:人生の中に恩人って何人もいて、その人達のおかげで生き延びてきたというか、こうやってなんとか口にのりをしているかと思うのですけれども、20代の最初の頃に世話になった忘れられない方の1人ですね。これもやっぱり、苦いかしょっぱいか、なのではないかな。
鈴木:さんま、深いですね…。私たちがビフォアートークしていた話って、小手先の話ですね。漢字の話が出るんじゃな~い?とか言って(笑)
佐藤:ほんとですね(笑)

ぜひ、ビフォアートークもあわせてお楽しみください(3回目)。

山陽さん:この時はね、さんまに、シークワーサーをかけたのよ、やはり。青き蜜柑の酸をかけていただきました。
佐藤:さっきの詩にあったようにね。
鈴木:土地土地のものですよね。
山陽さん:(さんまもシークワーサーも)お互いびっくりしたと思うよ。なんだなんだ!?シークワーサーなんて初めてだぞ!って(笑)
鈴木:大分だとカボスなんですよね。徳島だと、スダチなんですよ。
山陽さん:この辺(北海道)だと、レモンじゃないですかね。出回っているのは。居酒屋さんなんかでも、レモンの輪切りが乗っていることもありますね。


◆リスナーから

番組終了まであと2分!鈴木アナが「各地のさんまの値段を知りたい!」と呼びかけていたら、投稿がありました!

\よかった!ありがとうございます!/
・ここまで来るようになると1匹2~300円になっちゃうのかな。

鈴木:なっちゃうのかな…?なっちゃうかもしれませんね。

・サンマの値段は松本では(長野県松本市)では250円から300円です。

佐藤:わ~!…なっちゃうのかな?じゃなくて!
鈴木:なっちゃいましたね!そうすると、まだ北海道は恵まれているんですかね。
山陽さん:いつだったか、さんまが不漁な年にね、網走港に大量のさんまがドドッときたことがあるのよ。みんな釣り竿を持って一生懸命釣ってね、型は小さいんだけど、あの時はうれしかったな~(笑)
釣る分だけでタダだからね。ヒャーヒャー言って釣りましたよ!

ツイッターからは、
・サンマ塩焼きがいいな。でも高いからな割引シール貼ってないと買わないね(笑)

佐藤:ちょっとわかります(笑)。
鈴木:わかりますね~(笑)。

「秋刀魚苦いかしょっぱいか」。全編を通してのテーマでしたね。それにしても、秋刀魚の映画があるって、皆さん、ご存じでしたか?(秋刀魚自体は出てこないようですが)。さんま、深い…。
初めておたよりをくださった方もいらっしゃいました。これからもよろしくお願いします☆
今回もお聴きいただき、ありがとうございました!次回もどうぞお楽しみに!

▼番組で紹介した曲 ~神田山陽さんセレクション
『ヘイヘイブギ』 /笠置シヅ子
『買い物ブギ』/笠置シヅ子
『ホームランブギ』/笠置シヅ子

※山陽さんの実家では、秋刀魚を網で焼いたときにつく汚れを、笠置シヅ子さんがCMしていた洗剤を使っていたそうです。
秋刀魚といえば笠置シヅ子さん。なので、今回のリクエストは笠置シヅ子祭りでした。


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