NHK札幌放送局

海難救助に新サービス ~日本で一番救助が早い海を目指して~

ほっとニュースぐるっと道東!

2023年2月22日(水)午後5時28分 更新

去年4月に発生した知床半島沖での観光船の沈没事故を受けて、海の安全への意識が高まっています。そんな中、海難事故で海に転落した人をいち早く救助する新たなサービスを福岡県の企業が開発しました。開発した紋別市出身の社長の思いを聞きました。
(原田未央 中標津支局) 

「よびもり」とは

ことし1月、道東の羅臼町に漁業関係者や観光船の事業者、およそ50人が集まって海難救助サービスの実証実験が行われました。

「人を呼ぶ」や「お守り」にちなんで「よびもり」と名付けられたこのサービス。船から転落した要救助者が発信機のボタンを5秒長押しすると、GPS機能を通じてあらかじめ登録した家族や仲間の漁業者などのスマートフォンに位置情報がすぐに届く仕組みです。事故の発生をいち早く周囲に知らせることで、場所の特定などの初動対応を効率よく迅速にすることができます。

実験では、ブイを要救助者に見立てて、そこに付けた端末からSOSが発信されました。
すると、参加者のスマートフォンのアラームが一斉に鳴ります。画面には漁港から3キロほどの海上に要救助者の位置が表示されました。観光船などはこの位置情報を頼りにほかの船と情報共有しながら捜索に向かい、3隻すべてが13分以内に現場に到着することができました。

終了後、参加者から聞き取りを行うと「海難救助の迅速化に期待が持てる」という評価の声が上がりました。一方、「アプリのマップ上で船の方向がスムーズに反映されず分かりにくい」とか「手袋や厚着をしている冬に発信機を押せるか疑問だ」などの課題も示され、改善点を確認しました。


祖父の海難事故がきっかけ

このサービスを開発したのは福岡県の企業です。社長の千葉佳祐さんは紋別市出身で進学を機に福岡県へと移住しました。よびもり開発のきっかけは祖父の海難事故だったと言います。

祖父の竹内義勝さんは羅臼町の漁業者でしたが、48年前(昭和50年)、根室沖で24歳の若さで沈没事故に遭い、帰らぬ人になりました。遺体はいまだに見つかっていません。

よびもり 千葉佳祐社長
「事故が発生しても気づかれず何時間も経っていたりとか 情報がゼロ、広大な海を相手にとにかく頑張って探すしかないといったケースがあることを紋別市に住んでいる頃から聞いていたので、それを解決することができればと思い立ちました」

福岡県では地元の漁協がすでに導入し、1年あまり利用しています。地元の漁師はよびもりの発信機を首から下げて漁に出ているといいます。

福岡市漁業協同組合伊崎支所 森穣司さん
「安心感は全然違いますね。無いと落ち着かない、お守りみたいな存在じゃないですかね」


知床沈没事故に悔しさ

去年、知床半島沖で起きた観光船の沈没事故。もっと早く「よびもり」を開発して普及していれば、迅速に救助に向かえたかもしれない。千葉さんはそんな悔しさがこみあげてきたといいます。

よびもり 千葉佳祐社長
「必ず全員救えたかって言われたら分からない状況でしたが、それでも遺体をあげる手助けになったりとか、家族のもとにちゃんと返してあげられたりとか、情報をもとに無駄のない捜索ができたりとかして、それが生還につながったかもしれないと考えると悔しい思いです」


道内で導入へ

「よびもり」はスタートアップ企業と自治体をマッチングする道の事業に採択されました。羅臼町での実証実験の結果をふまえて改善を重ね、道内での導入を進めたいとしています。そして、今後は漁船や観光船だけではなく、釣りなどのマリンレジャーで海に出る人も幅広くサービスを受けられるよう普及を進めたいということです。

よびもり 千葉佳祐社長
「日本全国に“当たり前の安全”を届けられるようにしていきたい。いつでもどこでも最速の救助を提供できるっていう世界観で、それが全員に提供できるようなインフラを目指してやっていきたいと思っています」

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