NHK札幌放送局

なが~~~く使いたい長靴の話、まとめました

北海道まるごとラジオ

2023年3月22日(水)午前10時55分 更新

2023年3月2日(木)の北海道まるごとラジオは、「神田山陽さんのうんちく問答」をお届けしました。

テーマは長靴。

 調理の現場で、ガーデニングで、アウトドアで… 長靴には様々な用途がありますよね。

白崎アナは、雪かきの時に使っているとのこと。 私・西野は、別の番組でヒーローのコスプレをしたことがありまして。 その時、白い長靴を履いていた~…なんてことを思い出しました。
(放送前に思い出せていればよかったのに…!笑)

では、文字で楽しむうんちく問答。はじまります!

長靴の歴史

)長靴ってもともといつぐらいからあったものですかね。
)長靴の材料となるゴムを初めて日本に紹介したと言われる方はペリーさん。日本へのおみやげとして、4隻の船に乗ってきたペリーさんが幕府に渡したんですって。
)黒船で運ばれてきたのですか!!
)もらった方も「何だこれ?!」だったんだと思うんですよ。
西)得体の知れないものですもんね。
) ブヨブヨしているから、これが夜中に化けて出るんじゃないかと思ったりね(笑)

★ゴムのない時代には、何を使って長靴を作っていた?

山)全国各地にいろいろな素材で作った長靴があって。例えば東北地方ではわらで作った…。
白)ワラスボ!
山)はい、そうです。そうです。
ただあれは一説によると長靴ではなく、「深靴」という言い方をしたんですね。
江戸時代なんかは、鹿皮の足袋で、武者わらじ。その上に白檀磨きの「小手脛(こてすね)あて」というのを大形ですけれども、鹿の皮を使っていたんですよ。
北海道でも、アイヌの方が鹿の皮をなめして、もしくはアザラシの皮をなめして作ったという資料があるんです。
あと、魚、サケの皮で作った靴もあるとか…。かわいらしいんですよ。
左右にサケのヒレが付いて、記憶違いじゃなければ底にサケの背びれが付いて滑り止めみたいな。
よくできたもんだなと思いまして。

このサケの皮の靴、「チェㇷ゚ケリ」について。
国立アイヌ民族博物館の研究学芸部 資料情報室長・田村将人さんによりますと、「チェㇷ゚ケリ」は、サケの皮で作った足首の上までの靴です。 大人の靴を作るにはサケ4本分の皮が必要。
秋に一足作っておくと、大事に履けば、ひと冬越せたそうです。
また、背びれの部分が底になるように靴を作るとのこと。

山)いや私ね、これすごいなと思ってみたんですよ。
白)これやっぱり知恵ですよね。
本当に長靴って身近なものですけれど、改めて考えたことなかったですね。


現代の長靴事情

さて、長靴の歴史に触れてきましたが、現代の長靴はどうなっているのでしょう?!
ということで、北海道小樽市で長靴を作っている老舗メーカー取締役本部長 村上孝之さんにお話を伺いました。

)長靴のサイズで一番大きなものはどのぐらいまであるんですか?
村上さん)いまうちで生産しているものでは、30センチですね。
山)大きい足の方いるんですよね。
普通の靴よりも、ちょっと大きめの方がいいなんてことを言われるんですが、この辺どうなんですか?
村上さん)昔はワンサイズ大きめのものを履いていたんですけど。
いまは靴の中も温かくなりましたので、厚い靴下を履くっていうのも、いらなくなってきたんですよ。
それでふだん履いているような、同じようなサイズで履かれる方が足にフィットしますので、疲れも軽減されます。
西)たとえば、私22.5cmなんですけど足のサイズが。その場合は…?
村上さん)22.5、23のものを履かれた方が、歩きやすいです。
)意識して大きなものを買わなくてもいいっていうことですね。
白)やっぱり長靴のイメージっていうと私は、黒い長靴。
それから作業される方の白い長靴が、子どもの頃から見慣れているんですけど。
今いろんな色ありますよね。
山)何色ぐらい作ってらっしゃいますか?
村上さん)うちでは、30色ぐらいあるかな。
西)どうやって色の違いを出すんですか?
村上さん)そうですね。
一応、つやで保護したようなものもありますけれども、それはピカピカピカピカ光って見えます。
ただそのつやを出さないで逆にシックにつくる色もあります。
白)企業秘密ですか。
村上さん)いろいろとありますね。
山)北海道に向けた用途というんですかね。北海道用の長靴というのはどういうものを 売ってらっしゃいますか?

村上さん)一応北海道は、雪に関して長靴が売れるので、暖かい物と滑りづらいものっていうのを中心になります。
山)やっぱり凍りますからね、北海道。
滑らない工夫は、何かそこに特別なことをされるんですか?
村上さん)溝の形もいろいろありますし。
あとそこにセラミックをまぶしたりという工夫もしています。

山)あの愚問かもしれませんが、村上さんは個人のものとして何足持ってらっしゃいますか?
村上さん)私は3足持っています。
白)季節ごとですか?何か用途が違うんですか?
村上さん)いややっぱり用途です。 雪かきする用と街歩く用。
あとまあスキー場とか行く用。
)冬だけで3足なんですね。 あと、お答えにくいかもしれませんが、長靴の平均的な寿命はどのぐらいのもんですか。
村上さん)環境とか頻度によっても変わりますけれど、滑りづらいっていう観点でいきますと、やっぱり2冬履くと、変えたほうがいいかなと。

山)リサイクルで長靴を作ってらっしゃるという話を小耳に挟んだんですが、合ってますか。
長靴のゴムをリサイクルする先駆けだというふうにちょっと伺ったんですけど。
村上さん)生産しているゴムの破片だとかをリサイクルして、何回も使ってるというのは常時やってるんですけれど。
このほかに廃タイヤ。これを粉砕してうちのゴム練りにまぶしまして、長靴を作ってるっていう部分もありますね。
山)新品のものを使うよりもずっと経費が掛かるんではないでしょうか。
村上さん)そうですね。かかるんですけれども、時代のSDGsだとか、そういうものに寄り添った商品を作ろうっていう事で、研究しています。
山)どのくらい前から取りかかっているんですか。
村上さん)リサイクルなんか最初はもう10年前。一応エコマークがついた長靴っていう事で。
)長靴のこの先ってどんなものがアイデアとしては出てきそうですか?
村上さん)そうですね。やっぱり。 今は雪が降る場所では履かれるんですけど。
降らない所でレインシューズっぽい感じで雨が降った時でも履くし、レジャーでキャンプだとかそういうアウトドア用の長靴も出てきていますね。
そういうものも研究しています。
)長靴離れっていう世代もありますよね。
村上さん)あるんですけれども、一応国産長靴となるとそんなにも減ってないですね。
)時代時代の求めに合わせて色のバリエーションも増えてきましたし、どんなものがこの先出てくるか、まだまだ楽しみですね。
)やっぱり人々の求めるものにどんどん進化している、そんな感じもしました。

山)いろんなものがありますけれども、何か「安かろう悪かろう」ではない開発をしていこうっていう形が、ファッションではないものの中に、心意気で取り入れられている北海道の長靴だなっていう感じがしました。
)実用品って事で、ついつい安易に私たち選びがちですけれども。
もっと目を向けて目をとめてしまうというのがあっていいのかなって感じしましたね。
車のタイヤと一緒かもしれないし。
)安全を考えると交換が必要かもしれません、 私はこれからも長く履き続けますよ。

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