NHK札幌放送局

オホーツクを見つめた画家・鷲見憲治さん

オホーツクチャンネル

2022年8月8日(月)午後2時30分 更新

ことし開局80年を迎えたNHK北見放送局には、オホーツク地方の暮らしを記録した数々の資料があります。資料を改めて整理してみると、地域で活躍する画家の美術作品も数多く残されていることが分かりました。その中からはオホーツクの画壇を支えてきた人の貴重な作品も見つかりました。好奇心から足跡をたどると、オホーツクの暮らしを見つめた作品の魅力を知ることができました。

北見放送局に残された大作

北見放送局には地域で活躍する画家が描いた9点の作品が残されていました。どんな作品なのだろうと開封してみると、ほとんどが地元・オホーツクの風景を描いた作品でした。

ひときわ目を引かれたのが120号のキャンバスに描かれた「オホーツク朝氷」(1967年制作)です。流氷が浮かぶ冬のオホーツク海の上を鳥たちが飛んでいく様子がダイナミックに描かれていました。

作者はオホーツク美術界のリーダー

この作品を描いたのは鷲見憲治(すみ・けんじ)さんです。1919年(大正8年)に北見市で生まれ、2014年(平成26年)に94歳で亡くなるまで、オホーツクの風景を描き続けました。

画家として活動するかたわら、オホーツクの芸術文化を盛り上げようと北見市で初めての本格的な美術展を開き、地元の美術協会の設立にも携わりました。

生前、NHKの取材に応じてくれた鷲見さんは「絵をやめるということは、鷲見憲治がいなくなるということではないかな」と絵画に情熱を注ぐ思いを語ってくれました。

地元の風景画は“街の記憶”

調べていくと、鷲見さんの作品は北見市内にある北網圏北見文化センターにも数多く残されていることが分かりました。

学芸員の松浦葵さんは鷲見さんのような画家が地元の風景を描き続けることが街の記憶になると話します。

北網圏北見文化センター 松浦 葵 学芸員
「自身の感動やその時感じたものを描き止めていると考えています。タイムカプセルのような物としても見られるのではないかなと思っています」

松浦さんは「かわる街並み」をテーマに、北見で活躍する画家たちの作品展を企画しました。その中には鷲見さんが描いた懐かしい風景も並んでいます。

1955年(昭和30年)に制作した「雪の駅前」は、当時の北見駅前を描いた作品です。木造駅舎の前のロータリーをさまざまな人や馬車が行き交う活気あふれる様子を伝えています。

松浦さんは街の暮らしを切り取った絵には、鷲見さんの人柄も感じられると話します。

北網圏北見文化センター 松浦 葵 学芸員
「鷲見さんは穏やかな優しい目をされていて、この目でずっと絵を描いてこられたんだなと思いました。身近な風景をいとおしい目で見て描いているというのを感じます」

暮らしの中に息づく作品

鷲見さんの作品は北見市民の身近なところにもありました。

どら焼きで有名な市内の老舗和菓子店では、鷲見さんが描いた北見特産のハッカやジャガイモの花などのイラストを紙袋や包装紙に使っています。

お店の常連だった鷲見さんは創業者とも親交が深く、当時の原画も大切に保管されていました。

菓子處 大丸 中村 信博 相談役
「お菓子が好きでたびたび通われて、お互いにあうんの呼吸で『描きましょう』『描いて下さい』みたいな話になったかもしれないですね。お菓子が取り持つ縁かもしれないですね」

鷲見さんのイラストは60年以上、和菓子店の顔として使われ続けています。お店にとっては今や単なるデザインを超えた存在だと話します。

菓子處 大丸 中村 信博 相談役
「イラストは変えたくないですし、変えられないですね。これを見て北見を思い出す、故郷を思い出すという方が今、全国におられる。お菓子を食べながら『故郷はいいものだ』と感じられる。お菓子と一緒に思い出を作る存在であるような気がしますね」

オホーツクの暮らしを見つめ続けた鷲見さんの作品は、時を超えて街の記憶を紡ぎ続けています。

2022年8月5日
取材・NHK北見放送局 五十嵐菜希
           NHK旭川放送局 深田ひとみ

NHK北見放送局に保管されていた絵画作品をギャラリーで2022年8月9日~21日まで展示しています。ぜひお立ち寄り下さい。

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