NHK札幌放送局

女子野球で栗山町を元気に 栗山高校女子硬式野球同好会

0755DDチャンネル

2022年5月27日(金)午後9時29分 更新

この春、栗山高校に『女子硬式野球同好会』が新たに誕生しました。 道内の公立高校では女子の硬式野球チームははじめて。新入生の2人と監督1人の計3人で活動を始めました。
町内にただ一つの高校をもりあげたいという町の人たちの思いも受けてチームは走り出しました。
0755DDチャンネル初回放送:2022年5月28日(土)午前7時55分〜

web版動画限定公開です

"栗高" がいつまでも町にあって欲しい

なぜ栗山高校に女子硬式野球同好会だったのでしょうか・・・?

誕生のきっかけは、入学者の減少です。

入学者数は、2015年以来、右肩下がりに減少。2019年には定員80人に対して33人の入学者となってしまいました。

栗山高校・栗山町まとめ
「このままでは近い将来、栗高はなくなってしまうのではないか…」

町の教育委員会の担当者も、栗山駅前の商店主たちも、地元で暮らす栗山高校のOB・OGたちも、町の高校の存続に危機感を感じていました。

その栗山高校に「女子野球チームを作ろう」と言い出したのが、町内で薬品店を営む、塩見望さんでした。栗山町で生まれ育った塩見さんは、栗山高校の卒業生。通学路の近くにあるお店で高校生たちを見守ってきました。

塩見望さん
「少子化のこの時代に、高校が無くなるというのは、町も滅びていくという自分の認識がありました。どうにか状況変える事ができないかと考えていました」

「女子野球がいいと思うよ」(栗山監督)

2019年の冬。塩見さんが、友人でもある、栗山英樹さん(野球日本代表監督)と車で町内の小学校のイベントに向かっていた時です。

栗山高校が迎えている「危機」について口にした塩見さんに、栗山さんは「女子野球がいいかも」と勧めてくれたといいます。

「『え、女子野球ですか?』と聞き返しました。ただ、栗山さんから話を聞いたり、自分で調べたりするうちに、女子野球人気が高まっていること、女子野球人口が増えていることを知り、これだ!とスタートしたんです」

塩見さんは、さっそく、栗山町内の仲間たちと、栗山高校に女子野球チームを作るプランを町長に提案。町が設置した栗山高校魅力づくり委員会の議論を経て、2022年春、栗山高校に女子硬式野球同好会ができました。

3人でスタート! 栗高女子硬式野球同好会

最初のメンバーになったのは、2022年4月の新入生、辻奈々さん(左)と森乃々花さん(右)の2人です。

2人はどちらも十勝の出身で、中学時代の女子野球クラブチームのチームメート。大好きな野球を続けたいと十勝の親元を離れて栗山高校に入学しました。
2人にはもう1つ栗山高校で野球を続けたいと思った理由があります。監督の存在です。

監督は、金由起子さん(天塩町出身)です。女子野球の日本代表として、日本のワールドカップ5連覇(2008年-2016年)に貢献。個人でもワールドカップベストナインや打点王に輝いたレジェンドです。

目指すのは栗山町を元気にする選手!

どうやって3人で野球の練習をするのだろう? グラウンドに行ってみると、これが、なかなかキツそうです。
特に、金さんのトスを、選手のひとりが打って、もうひとりがキャッチするノック。

ボールがいろんな方向に飛び出すので、追いかける守備側はたいへんなのです。
横で取材していた自分も、金さんからグローブを渡され、途中から2人での守備練習となりましたが、2人で守っても大汗かきました。

タイヤ引き 挑戦させてもらいました

2人の選手たちも「キツいっす」と言いつつ楽しそう。

金由起子監督
「歩いてるだけで、町民のみなさんにあの子元気でいいね、と言ってもらえるような選手になって欲しい」

今シーズン、2人は、札幌新陽高校Bチームと合同チームの形で、女子野球北海道リーグに参戦。金監督は、来年の春に、栗山高校単独チームを結成すべく、選手のスカウティング活動も頑張ると話していました。

町の人たちと女子野球

練習を終えた、辻さん、森さんの2人は、寮に戻る前に、必ず立ち寄る場所があります。
塩見勝子さんと塩見淳子さんの元です。空箱になったお弁当箱を返すためです。

塩見勝子さん淳子さんは、親元を離れて野球に打ち込む2人の体づくりをささえるため、毎日、お昼のお弁当を作っています。

塩見勝子さん
「お弁当を残していれば、体調悪いのかな、っていうこともわかりますよね」

ただし、これまで2人がお弁当を残してきたことはないそうです。

栗山駅前から栗山高校に向けて続く商店街をあるくと、目につくポスターがあります。
バットを持った女子学生のイメージ。「つかめっ!このチャンス」のスローガンが書き込まれています。

栗山高校女子野球後援会が去年の秋につくったポスターで、いまでは、商店街の窓という窓に貼られています。

この雰囲気は、5月2日に開かれた、町主催の女子野球同好会、激励会にも現れていました。辻さん、森さん、金監督の3人は、ホールに鳴り響く拍手に迎えられ、女子野球が始まるのを楽しみにしていた町の人たちから激励を受けました。

もともとのきっかけを作った栗山監督も駆けつけました。

栗山英樹さん(野球日本代表監督)
「家族みたいな雰囲気で頑張って欲しいです。栗山町に女子野球チームができるのは自分の夢でもあったので、ぜひ歴史を創って欲しいです」

挑戦の始まり(応援団も)

栗山高校野球同好会のはじめての公式戦は、5月15日。苫小牧市で開かれた女子野球北海道リーグの試合です。
辻さん森さんの2人は、札幌新陽高校のBチームと合同チームを結成、駒大苫小牧Bチームと対戦しました。会場には、2人の家族が十勝から応援に駆けつけていました。

その様子を取材していると、何やらバイクにのってきた男性3人が、どこから試合を見ようかと迷っている様子。

「この場所からみると、試合がよく見えますよ」

と声をかけたところ、その3人は実は栗山町からやってきた応援団でした。

そのうちの一人、商店街で衣料品店を営む北野さんは、

「陰からそっと応援しようかと思って」

控えめなことをいいつつ、趣味のカメラで撮影した2人の選手の勇姿は、翌日には、応援記事のビジュアルに…。

栗山高校の女子野球は、さっそく町の人をアツくしていました。

スタメン出場の2人は、応援に応える守備を見せるプレーがありましたが、試合は0-6。公式戦、黒星スタートとなりました。

試合後に2人に聞いてみると、

辻 奈々選手
「良いプレーをして結果的に試合で勝つことが、支えてくれている栗山町の方々への一番の恩返しだと思うので、試合に勝てるように今後の練習も頑張っていきたい」
森 乃々花選手
「来年以降、チームが出来た時に、全国大会の決勝まで行って、栗山町の方々にも甲子園球場でプレーしている姿を見て欲しいです。そういう姿を見せる事で支えてくれている方々に恩返ししていきたい」

今後も続く、栗山町と女子硬式野球同好会の挑戦

地元の高校に女子野球チームができたことで、栗山町でどんなことが起こるのか、このあとも取材は続きます。次回の0755DDチャンネルをお楽しみに。

これまでの取材の過程は、制作ブログ、「しぶたにっき」で紹介していますので、そちらもお読みいただけるとうれしいです。

■辻さん、森さんが初めて金監督と対面した時の様子はこちらで
■金監督を取材したときの様子はこちらで

栗山高校女子硬式野球後援会では、女子硬式野球同好会の詳しい活動や予定をfacebookページで発信しています。北海道女子野球リーグは7月まで戦いが続きます。

制作担当 渋谷大山 札幌放送局


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