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ここまで来た!自動配送の最新実験

ほっとニュースweb

2021年9月21日(火)午後7時33分 更新

ドアを開けたら、荷物を届けにきたのはロボットだった-
そんな日がもうすぐ来るのかもしれません。9月16日まで石狩市で「自動配送ロボット」の実験が行われました。このロボットは、全国で初めて車道を通って配送を行いました。スムーズに荷物を届けることができているのか、実験の様子を取材してきました。

車道での実験は全国初

取材に行ったのは9月10日。集合場所の駐車場に行くと、そこにあったのは「車」でした。赤くペイントされた側面には、石狩市を題材にしたイラストが描かれ、どことなく愛らしい雰囲気があります。

この車には運転手がいません。荷物を載せて自動で目的地まで走る「自動配送ロボット」です。実験は、京都の情報通信会社「京セラコミュニケーションシステム」が地元の事業者の協力を得て9月16日まで行いました。
ロボットは、長さおよそ2.5メートル、高さおよそ1.7メートル、幅およそ1メートル。幅こそ少し狭いものの、軽ワゴン車に近いくらいの大きさがあります。

小型の自動配送ロボット

これまで実験で使われてきた自動配送ロボットに比べると、このサイズは大型です。どうして大型になったのか、それは今回の実験の特徴に関係があります。

これまでも自動配送ロボットの実証実験は各地で行われてきました。多くは荷物を受け取る場所から配送する場所、1か所を結ぶ実験で、荷物は限られています。そのため、ロボットは小型で済み、主に歩道を通って運んでいました。

一方、今回の実験は、複数の依頼主から荷物を集めて複数の宛先に運ぶ「シェアリング型」という方法で行いました。

実際に利用される場面を想定すると利用者が多いほうがビジネスとして実現しやすいからです。その分、車を大きくすることが必要になりました。また、多くの配送先を回るため、できるだけスピードを上げて走る必要もあり、歩道では危険です。

この結果、車道を通って配送することになりました。警察庁によりますと、自動配送ロボットが車道を通りながら荷物を運ぶ実験は全国で初めてだということです。

アプリを使うだけでカンタン配送

それではどんな方法で実験を行っているんでしょうか。実験に参加した利用者がコンビニに品物を注文した場合です。

まず、コンビニの担当者がお客さんから商品の注文を受けると、ロボットに配送を依頼します。取り出したのはスマートフォンの専用アプリ。日時などを指定すると、近くの待機場所から無人のロボットが出発します。

実験で使われたアプリ

ロボットがコンビニに到着すると担当者がアプリを操作します。すると側面にあるロッカーの扉が開いて、中に荷物が積めるようになります。ロッカーは大小20あり、品物の大きさによって使い分けます。担当者がトイレットペーパーやマスクなど注文された商品を積み込み、扉を閉めるとロボットは配送先に出発します。

受け取る客の側には、あと5分ほどで到着するという段階でスマホのアプリに通知が届きます。指定した場所にロボットが到着すると、アプリでロッカーを開けて商品を受け取ります。これで配送が完了します。

今回の配送は実験ではあるものの、参加者は実際に利用することを想定して注文していて「アプリで簡単に操作できるので、思っていたよりも利用しやすい」と驚いた様子でした。

自動配送 安全はどうなっている?

一方で気になるのが、「本当に車道をちゃんと走っているのか」という点です。これも確かめました。

ロボットは、一見、のんびり走っているように見えたので追いかけてみましたが、すぐに息切れしてしまいました。最高速度は時速12キロ。ジョギングより早く、歩道を走るロボットに比べても3倍ほどの速さです。

何より交通ルールを守って走っているかどうかが大事です。一時停止の標識の前でロボットがどう動くか注目していたところ、しっかり止まっていました。また、道路を左折するときには左にウインカーをつけて減速しながら、ゆっくり曲がっていきました。

ロボットには、およそ6キロのルートが事前にプログラムされていて、それに従うと交通ルールを守りながら走ることができるという仕組みです。

ただ、道路では歩行者やほかの車が接近するなど、事前のプログラムとは関係ないことが頻繁に起こります。それに対応するために、車体にとりつけられたカメラとセンサーが常時、周囲の車や障害物を把握。安全が保てる環境では加速していました。

実験のリーダーを務める「京セラコミュニケーションシステム」経営企画部の吉田洋副部長は「安全ということは当然ですが、車の流れに迷惑をかけないとか、かなり気をつかって走らせています」と話します。

実験に参加した会社からは「人手不足が予想されるので、こういう自動配送ロボットが実現したらありがたい」という切実な声がありました。また、別の会社の担当者は「自社でロボットを運用するのはハードルが高いので、シェアリングによって利用しやすくなるのなら配送サービスを実施できる」と話していました。

実用化に向けては、安く利用できるかどうかが、重要なカギを握ります。複数の会社で利用する仕組みで、費用を抑えられることに対する期待がうかがえました。

人手不足、コロナ… 高まる期待

今回の実験では、あくまで会社の事務所で監視していて、危険だと判断したときは自動走行から遠隔操作に切り替えていました。実験期間中、急ブレーキや急減速などをする場面もあったということです。

実用化に向けては今後、こうした動きの要因を分析した上で実験を重ねていく必要があります。また、事故を起こした際の保険の整備など技術面以外のハードルも多く残っています。

京セラコミュニケーションシステム経営企画部 吉田洋 副部長
「今回の実験でようやく幼児が自転車に乗れるようになったという段階。自動走行の技術的な部分とどのようにロボットを運用するかというオペレーションの部分の両面から今後も実証を何度か重ねていって、安全性と経済性を評価していきたい」

気になるのは、いつ実用化されるのかという点です。これについて吉田副部長は「いつになると言うのは難しい」と話しました。その一方で「世の中で思われているよりは早く、日常的にロボットが走っている状態が作れるのではないかと思っている」と早期の実用化に自信も見せていました。

ネット通販の利用拡大で配送のニーズは増えている反面、配送を担う運転手の人手不足は続いています。さらに新型コロナウイルスの感染拡大で「非接触・非対面」を求める人たちも増えています。自動配送への期待は高まるばかりで、今後の動向から目が離せません。

(千歳支局 岡﨑琢真記者)

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