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“人を救いたい” 高校3冠スキーヤーの決断

  • 2024年3月14日

スキーアルペンの増田さくら選手は、高校2年生で全国大会3冠を獲得し、高校生活最後のインターハイでは2種目を制覇。監督からも将来性を高く評価されていましたが、この春の高校卒業を前に大きな決断をしました。その背景には「人を救いたい」という揺るがない思いがありました。(旭川放送局記者・山中智里)

高校3冠 強さの秘密は

増田さくら選手
「スキーはとても楽しくて、ずっと続けてこられた。メンタルの強さは誰にも負けない自信がある」

増田さくら選手は、昨シーズン、インターハイ=全国高校総体と国体=国民体育大会、全国高校選抜で優勝。高校生の全国3大タイトルを2年生で獲得したトップ選手です。持ち味のダイナミックな動きと高速ターン、正確な滑りで同世代のライバルを圧倒してきました。

世界選手権などの国際大会に出場経験があるスキー部の監督もオリンピックを狙える逸材だと高く評価しています。

川口城二監督
「きつい練習とかみんなが避けて通るような練習を最後までしっかりとやり続けられる選手。技術的には、ダイナミックな動きなど女子選手だけれども男子選手の動きを要求してすぐに実行できるというのが魅力的。このままいけば五輪に出られる可能性は大かなと思っていた」


“人を救いたい” 決断を支えるものは

将来性豊かな増田選手は、この春の高校卒業を前にある大きな決断をしました。

増田さくら選手
「高校でスキーは引退して、春からは防衛大学校で頑張りたい。幼稚園のころからずっと将来の夢は自衛官だった」

“自衛官になって人助けをしたい”。伸び盛りの18歳は競技を引退し、小さい頃からの「夢」をかなえる選択をしたのです。

自衛隊の両親のもと4人きょうだいの三女として育った増田選手。小さいころは東日本大震災に伴う災害派遣などで両親が家にいなかったことが多かったといいます。それでも両親がいないことを嫌だと思わずに“人助けは、かっこいい”と両親の背中を追うことを決めていたのです。

母・増田弥生さん
「子どもたちが4人いたときに、お姉ちゃん2人がお父さんとお母さんがいないことが多かったので、すごくさみしくて私たち2人は『自衛官になんてならない』って言っていたのを覚えている。それでも小さいときにさくらは自衛官になりたいと言ってくれて。誰かのために活動することが自衛官の仕事なのでそうやってさくらが言ってくれたときはうれしかった」

父・増田信也さん
「私たちが災害現場に駆けつけているところを見て自衛隊になりたいと思ってくれたのなら本当にうれしい。スキーをここまで1本通して続けてきたその努力を糧にこれからは自衛官として頑張ってほしい」

増田さくら選手
「親がいなくてさみしいという気持ちよりは、災害現場で頑張っている姿がとてもかっこいいなと思っていた。その姿を見て自分も活躍したいと思う気持ちがより強まった。スキーか自衛隊かという決断はすごく迷ったが、それでも自分は『困っている人を助けたい』と思ったので最後は自分自身の意思で決めた。災害などで苦しんでいる人を助けるのが自衛隊で、それを仕事にできたらいいなというのは小さいころからあったので、将来は日本、そして世界で、たくさんの人を助けたい」

勉強も人一倍努力し、防衛大学校の合格を手にした増田選手。大会に駆けつけて見守り続けてくれた両親、そして自分自身のためにも最後のインターハイを回転・大回転の2種目勝利で飾りたいと練習に励んでいました。

ラストシーズン 新たな1歩へ

2月に富山県で行われた高校生活最後のインターハイ。「まったく緊張しなかった」と増田選手。大回転、回転ともに落ち着いた見事な滑りで優勝を果たしました。

増田さくら選手
「すごい晴れやかな気分になった。おめでとう、やったねと両親に言われてすごいうれしかった。12年間続けてきたスキーを悔いなく終わることができたし、スキーを続けてきてよかったと心から思った。これからもずっとスキーが大好き」

2月で競技生活にピリオドを打った増田選手。みずからの決意を胸に新たな一歩を踏み出します。

増田さくら選手
「いろいろな人に支えられたり、つらいことも乗り越えたり、スキーという1つのものに対して粘り強く取り組んできた12年間だった。その粘り強さを防衛大学校でも生かして楽しんでいきたい」

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スキーで高校3冠の選手の栄誉をたたえて旭川市が表彰

取材後記

増田選手との初めての出会いは旭川市からの表彰の取材をしに旭川明成高校を訪れたときでした。そのときのインタビューで「スキーは今シーズンで辞めます」と衝撃のひとこと。3冠を取った高校生の決断の背景には何があるのか知りたいと取材を始めました。増田選手の取材を通して一番に感じたのは「信念の強さ」。12年間続けたスキーを自分自身で“辞める”と決断。ご両親も川口監督も「さくらは絶対に決めたことは曲げないから応援する」と支持。彼女のぶれない思いは「応援したい」と思える魅力があると改めて感じました。両親が自衛隊だったため、小さいころから東日本大震災など災害のニュースを身近なものとして見ていて、そのたびに「自分も現場に行って救いたい」という気持ちが強くなったと話してくれた増田選手。“どんな状況でも困っている人のところにすぐに駆けつけたい”その夢を実現するためにも今まで培ってきたスキーの日々を思い出しながら、立派な自衛官になってほしいと心から思いました。

2024年3月14日

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