NHK札幌放送局

新型コロナ 偏見と どう闘ったのか

オホーツクチャンネル

2020年6月10日(水)午後3時30分 更新

ことし2月、新型コロナウイルスに感染した北見市の男性です。 男性は、退院から半月後、私たちの取材に当時、匿名で応じ、退院後も「元感染者」として 偏見にさらされたことを証言しました(記事はこちら)。あれから2か月ほどたち、改めて実名で取材に応じ、どのように偏見と闘ってきたのかを語ってくれました。(北見放送局記者 関口祥子)

新型コロナウイルスに感染 回復した男性

北見市で家電の販売店を営む奥村光正さんは、2月に市内で開かれた展示会に参加して、新型コロナウイルスに集団感染し入院。3月15日に容態は回復し、退院しました。

退院からおよそ2か月経っても、取引先に不安を持たれないよう毎日、朝と晩に欠かさず検温を行うなど、徹底した体調管理を続けています。保健所の指導では、退院後2週間の体調管理を勧められていましたが、「元感染者だから、常に自信を持っていたい」と、検温を続けています。

2度目の取材に実名で応じてくれた理由 「自分事として考えて」

私が初めて取材をしたのは3月下旬。退院してから半月たっていて、仕事も再開したばかりでした。そのため、体調も伺った上で、電話での取材を依頼しました。退院直後、「コロナがうつる」「関わらない方が良い」など周囲からの偏見や差別的な言葉に悩まされていたことを話してくれましたが、当時は、顔や名前が映ることで、見知らぬ人からも差別や偏見を持たれてしまうのではないかと、匿名で放送しました。

それから1か月以上が経った5月下旬。私は、差別や偏見は現状どうなっているのか?仕事は感染前の状態に戻っているのか?ということが気がかりで、改めて取材を申し込みました。すると今回は、実名で取材に応じてくれたのです。

全国でも実名で取材に応じてくれる方は多くありません。「なぜでしょうか」と問いかけると「多くの人に、新型コロナウイルスを自分のこととして考えてほしいと思った」と話してくれました。

「コロナに感染して退院してきてもやっぱり、敬遠されるっていうか、そういうのは、肌で感じる場面もたくさんありましたよね。でも、自分がね、モザイクかけて出るよりは、モザイク無しで実名で出る方がやっぱり見る人もね、人ごとじゃないと、自分の事だなっていう感じで、聞いてくれれば良いかなって」。

偏見や差別は、公表によって励ましの言葉に変わった

当時、奥村さんは、偏見や差別に悩まされ「偏見や差別が広がれば仕事は再開できない」と考えていました。
そこで、仕事を再開した際に、取引先にあえて感染した事実を公表することにしたのです。作ったのは、感染の経験を伝える500枚のチラシです。
「コロナ肺炎は1週間で瞬く間に悪化し、重症化します」「私は入院時重い腸炎を併発していました」といった当事者にしか分からない病状や、退院後、保健所から就業制限がいらないことを示す「感染症の消失確認書」もらったことなどを1枚の紙に、詳細に書きました。少しでも周囲の不安を払拭したいという思いで作ったと言います。

このチラシを配って歩いた結果、返ってきたのは、差別ではなく、多くの温かい励ましでした。

「配っていくと、後でお客さんからすごい励ましの電話をくれるんですよね。『(チラシ)読んだ』『びっくりした知らなかった』とか『頑張ってね』とか。これだけ励ましてくれてるお客さんてありがたいなと思って、本当に妻と2人で喜んでました。うれしかった」

真っ白だった手帳には、仕事の予定の書き込みが徐々に増えていました。取引先に向かう際は、手や指のアルコール消毒をして、マスクを必ず着用しているといいます。

取材の最後に、「自分のように闘病中や退院後に不安を抱いている人の気持ちを多くの人に知って欲しい」と話していました。

「確かに不安と恐怖は本音の世界で無くすことができないと思うけれども。かかってしまった闘病している時のね、不安と、恐怖ですか、つらさ。そういうことを思っていただいて、退院してきた人には温かい気持ちで迎えて、社会復帰を手伝ってもらいたい」

新型コロナウイルスにいつ誰が感染してもおかしくない状況は続きます。感染しないように対策を徹底することが第一です。しかし、もし、自分や周囲の人が感染してしまったときには、地域で元のような暮らしに戻れるように、お互いを思いやる気持ちと行動が大切なのではないでしょうか。 

2020.6.9 

前回の記事はこちら
新型コロナウイルス 退院しても“感染者”

NHK北見放送局のニュースはこちらhttps://www.nhk.or.jp/hokkaido/caster/okhotsk/


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