NHK札幌放送局

WEBニュース特集 胆振東部地震から2年~旅行者の避難先どう確保する?

北海道WEBニュース特集

2020年9月3日(木)午前11時02分 更新

札幌市で初めて震度6弱を観測した胆振東部地震では、ブラックアウトで旅行者が避難するはずの施設が機能せず、避難先をどう確保するかが大きな課題になりました。対策は進んでいるのか、札幌市の現状を取材しました。

避難所に外国人旅行者の列

最大震度6弱の揺れを観測した札幌市では地震直後、不安な表情で過ごす外国人旅行者たちの姿がありました。この日、市内にはおよそ3万6000人に上る旅行者が宿泊していました。

札幌市北区に住む前田伏樹さんは当時、町内会の役員として自宅近くにある避難所の運営を手伝っていました。夜になるにつれ、避難所には多くの外国人旅行者が列をなしたと言います。ホテルからチェックアウトを余儀なくされ、行き場を失った旅行者の多くが近くの避難所に身を寄せたのです。
前田さんは当時を振り返ってこう話しています。

避難所運営を手伝った前田伏樹さん
「7割ぐらい外国人だったので、ことばが通じない。説明するにも説明ができない。一番の問題はことばの問題でした。『家族ですか?』『お一人ですか?』って、それすら確認できなかった」

臨時避難所も満員に

地域の避難所に多くの旅行者が逃れる中、札幌市は急きょ、旅行者専用の臨時の避難所を6か所開設しました。しかし、市役所近くに設けられた臨時避難所は、開設してすぐに旅行者で満員になりました。

現場支援にあたった札幌市職員 石川義浩さん
「旅行をされている途中の方ということで、外国語ができる職員も限られる中で、言語対応をどうしたらよいかという問題がありました。それに臨時避難所で、通常の避難所ではありませんでしたので、水や毛布、非常用の食料を確保するといったことが非常に大変でした」

地下歩行空間の誤算と対策

なぜ避難所が旅行者であふれかえることになったのでしょうか。背景には帰宅困難者を受け入れるはずの札幌駅前の地下歩行空間「チカホ」が使えなかったことがありました。ブラックアウトで電力が供給されず、避難所としての機能が果たせなかったのです。

このため札幌市が進めているのが「チカホ」への自家発電設備の整備です。すぐ脇を通る道路の地下に新たにスペースを作り、2基を整備する計画です。完成すれば、停電した場合でも72時間は電力の供給が可能になります。

帰宅困難者の受け入れ拡充も

胆振東部地震を教訓に、札幌市は「チカホ」以外にも帰宅困難者の受け入れ施設を拡充することにしました。新たな受け入れ施設は市内中心部の4か所に設けます。

さらに市内のホテルと協定を結び、災害時には宿泊の延長を認めることなど旅行者への対応も取り決めました。

札幌市危機管理対策課 松坂彰課長
「現状ではほぼ受け入れが可能な体制になっています。今後、旅行者の動向なども見ながら、一時滞在施設となる施設の拡充に努めていきたいと考えています」

多くの旅行者が訪れる札幌市は今、新型コロナウイルスの影響で旅行者が減少していますが、2021年にはオリンピックのマラソンや競歩も予定されています。観光都市として、その安全を守るための対策の充実が求められます。

(札幌放送局・竹内一帆 2020年9月1日放送)

特設ページ「復興へ 胆振東部地震」はこちら

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