NHK札幌放送局

中学生が避難所設営に初挑戦

道南web

2023年1月25日(水)午後0時54分 更新

初めて触るライターで初めて挑戦するストープへの点火。何度やっても動かない発電機についつい出てくる弱音。避難所となる自分たちの学校で地域のために力になりたい。 地元自治会と中学校が初めての合同防災訓練を行いました。 

避難所は自分たちで運営
災害時に自宅などに住めなくなった場合に避難するのが「市の指定避難所」です。その多くは地域の小中学校が指定されています。今回取材した函館市立五稜郭中学校も函館市の「指定避難所」になっています。

この「指定避難所」は「災害により居住場所が被災,または危険が存在し居住不可能となった市民が,中・短期間応急的な生活をする場所として必要に応じて開設される施設」と定義されており、ある程度生活ができる環境を整えることが必要なのです。
 そして、設置からしばらくすると避難所運営は自治体から地元自治会へと移行されることになります。つまり地元住民たちで避難所を運営しなければならないのです。

今回、五稜郭中学校が主催で初めて地元町会と協力して中学生のための防災訓練を行いました。目指すのは「災害時に中学生が地域のリーダーになること」です。もし災害が起きると避難所が開設されるのはこの中学校です。ここに通う生徒が避難所の運営などをリーダーとして率先してできるようにしようというものです。この中学校の呼びかけに1、2年生42人が訓練に参加しました。

講習は実際に避難所が開設されたときに使う道具の操作です。発電機、段ボールベッド、ストーブ、テント。どれもこの中学校に配備してある道具です。これらをいつでも使えるように操作方法を訓練しておくのです。指導するのは地元町会の防災担当者や防災士の資格をもっているメンバーです。

実際にやってみることが大切
中学生が一番手間取ったのは「ポータブルストーブ」の使い方です。その中でも指導する地元の町会担当者たち大人がハッとさせられた事は「中学生はライターの使い方を知らない」ということでした。確かに普段の生活でライターを使うことはありません。ましてや「点火用ライターは」点火する口が長く伸びており、どう握れば良いかもわかりませんでした。
そして普段ストーブを使うご家庭でもスイッチひとつで点火できます。しかし、今回は災害時を想定して点火装置は使わず、ライターで直接芯に着火する訓練をました。
ストーブの点火扉をあけ、芯を繰り出し、ライターで点火。そうした一連の点火方法を実際にやってみて身につけていきました。

生徒「なんか、すごい初めてやったので
こういう風につけるのだなって(わかった)
家でストーブが壊れた時もいいと思います」
と話していました。

あなたは発電機を動かせますか?
次に大苦戦していたのは「発電機」です。こちらは男女問わずなかなかかかりませんでした。
一番苦戦していたのは、エンジンの始動です。スターターロープを引くだけなのですが、なかなかかかりません。

さらに、発電機は手順も多く覚えるのも大変です。燃料コックを開ける、運転スイッチをON、チョークを入れる、スターターロープを引く、エンジン始動したらチョークを戻す、電源供給をON。とたくさん手順があります。みなさんはこの手順わかりますか?
中学生は「大変です。すごい時間がかかりそう」と思ってたより時間がかかることがわかりました。実際にやってみることで、操作の手順や所要時間なども知ることができました。

避難所の防寒対策
学校などに避難した人が寝泊まりする事になるのが体育館です。
体育館で冬場の寒さをどうしのぐかも大きなポイントになってきます。
訓練ではまず段ボールベッドを組み立てました。小さい段ボールを組み合わせ強度を持たせたベッドです。長さ190センチ幅90センチほど、そして床からの高さが37センチほどあります。このように高さがあるベッドは床からの寒さを軽減する効果があります。

さらに、寒さを防ぐテントの設営も行いました。テントの中に段ボールベッドを入れれば寒さはさらに和らぎます。その上プライバシーも守ることができます。
今回はこのように実際の道具を使っての訓練が1時間行われました。

参加した生徒たちは・・・
「普段じゃ全然できない体験ができて面白かったです。」
「災害時にはしっかりと指示を出し、地域に貢献できるようにがんばっていきたいと思います。」と話してくれました。

主催した中学校は、実際に生徒たちが道具や機器を操作できるようになることで地域の力になれることを期待しています。さらにこうした訓練を通して普段から地域の人とコミュニケーションをとっておくことが災害時に大きな力になると期待していました。

【取材後記】報告:萬谷優一ディレクター
取材中、一番驚いたのは中学生がライターを使ったことがないということでした。
確かに普段の生活の中でライターやマッチで火をつけるという事もほとんどありません。あっても仏壇のろうそくに火を付けるくらいしか思い浮かびません。

 しかし、災害時の避難所では「ライターでストーブに火をつける」「発電機を作動させ照明をつける」「ベッドとテントを組み立て暖かい寝床をつくる」といったスキルが求められます。いままで見たことがないからこそ、実際に自分の手でやって使い方を知っておく必要があるのです。一度の実践はどんな知識より勝るのです。
実は、今回の防災訓練を指導している地元町会はこれまでにも実践的な防災訓練をしている事で取上げてきました。函館市の北浜町会です。
津波が来た場合にどこに逃げればいいのか?実際に高齢者に歩いてもらい、無理なく逃げられる町会独自の避難ルールを作成しています。(※1参考)
さらに車いすでも実際に道路を走行し道路の状況やルートの安全性を確認してきました。
そうしてこの町会は独自の自分たちにあった避難方法を確立してきました。
どんなに深い知識を得ても実際に道具が使えなければ役にたちません。どんなに素晴らしい防災計画を作っても現実とかけ離れていては意味をなしません。
だからこそ「実際にやってみる」これこそがいざという時への備えなのだと感じました。

あなたはストーブに点火できますか?


関連記事
※1「津波から高齢者を守る」

NHK函館放送局トップへ戻る


関連情報

道南キャッチアップ! ~週間ブックランキング6月号~

道南web

2023年6月2日(金)午後5時56分 更新

不動産や郵便局でも?NHKの手続き方法紹介!

道南web

2022年9月2日(金)午後5時49分 更新

道南キャッチアップ! ~週間ブックランキング1月号~

道南web

2024年1月12日(金)午前11時25分 更新

上に戻る