NHK札幌放送局

北海道まるごとラジオ 放送記録▼2020年4月23日

北海道まるごとラジオ

2020年4月30日(木)午後6時18分 更新

4月23日(木)の北海道まるごとラジオは、「アイヌ文化を語ろう!」というテーマでお送りしました。

電話ゲストは、北海道栗山町出身・お笑い芸人のバービーさんと、アイヌ文化が専門の札幌大学・本田優子教授。

そして、
札幌大学のウレㇱパクラブ(アイヌの若者に奨学金を出しアイヌ文化を学んでもらうプログラム)で
自身のルーツ・アイヌ文化を学び、卒業後もアイヌ文化継承のために働く米澤諒さん(27)さんにも途中から参加していただきました。

【オープニング ~アイヌ民族のたどってきた歴史と、いま文化を学ぶ意味とは~】

まず、バービーさんに「何の音?」とクイズを出したのは・・・
ラグビーのニュージーランド代表の試合前のウォークライ「ハカ」の音!

去年のラグビーW杯で皆さんもよく見たり聞いたりしたと思います。
ハカ」は、ニュージーランドの先住民族・マオリへの敬意を表しているものです。
ニュージーランドでは、先住民族・マオリの抱える問題などに向き合う省庁があります。
では日本では・・・?ということで、
日本の先住民族・アイヌの文化に迫る番組スタートです!

・挨拶「イランカラプテ」
本田教授のはじめの挨拶は、「イランカラプテ」で始まりました。
時間に関係なく使える、アイヌ語の挨拶。
解釈はいろいろありますが、本田教授が指導を受けたというアイヌ文化の伝承者・萱野茂さんによると、
あなたの心にそっと触れさせてください」という意味が込められているそうです。

・バービーさんの思い出
高校生まで北海道で過ごしたバービーさん。修学旅行では、白老町にあるポロト湖に行ったそうです。
ポロト湖といえば、ウポポイ。
ことし開業予定での、アイヌ文化の発信拠点、民族共生象徴空間・ウポポイは、このポロト湖畔にできました。修学旅行では、後ほど出てきます、アイヌの楽器「ムックリ」の体験もしたそうですよ。
ただ、学校で学ぶ機会は少なかったのが実情。図書館で本を読むなどしてアイヌ文化に触れていたそうです。
そして、「持っています!」とおっしゃっていたのが、コロポックル
見たことのない人のために・・・私・堀菜保子の家にあるコロポックルがこちら。

作り手によって、顔やつくり、まったく違うそうです。私は、阿寒湖のアイヌコタンで、秋辺デボさんが作ったものを買いました。
バービーさんがどんなコロポックルを持っているのか見てみたいですね!

コロポックルというと、アイヌ伝承の、小さな小さな人のイメージがありますが、
本田教授によると、
コロ=ふき ポ=下 クル=下 ・・・つまり「ふきの下の人」で、小さな人という意味は含まれていないそうです。

・日本の先住民族アイヌがたどってきた歴史
長い歴史の中で、「いま」はどんな時なのか、それを知るために、明治以降の歴史をいったん押さえておきましょう。番組の中では次のように紹介しました。

明治政府による北海道の「開拓」で、アイヌ民族の子供たちが学校で日本語を学ぶようになるなど、
アイヌ語を使う機会が極端に減り、生活や儀式のためのサケを川で取ることなども禁止されました。
1899年に公布された「北海道旧土人保護法」でこうした同化政策はさらに進み、アイヌの文化は消滅の危機を迎えました。その後、アイヌ民族の求めに国が応じる形で1997年、アイヌ文化振興法が公布。
去年、ようやく「先住民族」と法に明記され、ことし、国立アイヌ民族博物館などを含むウポポイがオープン。本来は、明日(4月24日)、ウポポイオープン予定。新型コロナウイルスの影響で5月29日に延期。

本田教授は、「ウポポイなど国立の施設ができるなんて、私がアイヌ文化の研究をし始めた頃には考えられなかった。大きく風向きが変わってきて嬉しい」と話します。
 
そのうえで、「歴史をおさえるのももちろん大事だけれど、アイヌ文化はこれからの世界をリードする、今の世界を生きる鍵になる」と言います。
 
今回の放送では、その文化について、大きく「音楽」と「食」に分けて一部をご紹介しました。

【知りたい!アイヌの音楽】

番組でご紹介した楽器は、2つ。
ムックリ と トンコリ です。

・ムックリ

バービーさんも体験したことがあるというムックリ。こんな形をしています。
竹でできています。口にあてて、ついている糸をひいて振動させることが音を鳴らすんですが、
本田教授いわく「口の中から胃まで共鳴させて音域を変えたり倍音にしたりする」そうです。
胃の中まで!?驚きましたが、私も取材の中で、糸をひく同じ動作を続けているのになぜ響きの音程や深さが変わるんだろうと疑問に思っていたので、謎が解けた気分です。
 
番組でご紹介した、ムックリの音は、安東ウメ子さん演奏のものです。

・トンコリ

こちらは、トンコリ。竪琴です。肩に立てかけて5本の弦を指ではじいて演奏します。
樺太アイヌや北海道では北西部を中心に使われていたそうです。
番組では、旭川にルーツを持つOKIさん演奏のトンコリの音色を使用しました。

・アイヌの人と音楽
本田教授は、「アイヌの人が集まると、自然とみんなで歌って踊り始める。生活を豊かに、楽しくしてくれる、かけがえのないもの」だといいます。
さらに、地域差が大きくあります。
本田教授のもとで学ぶ札幌大学ウレㇱパクラブでは、夏休みなどに合宿で各地の保存会へ行きます。
米澤さんは、「合宿に行って、地域によって伝承されているものが違うことを学んだ。それぞれの味があって面白い。それぞれの文化を大切にしたいきたい」と話します。

ウポポイでは、楽器の体験、歌や踊りの鑑賞、ムックリについては製作体験もできます。
また、阿寒湖や平取町二風谷でも、体験や鑑賞ができます。
ゆっくり外出できるようになったら、ぜひ皆さん体験を!

【知りたい!アイヌの食  ※レシピもあります※】

後半は、食について。
この日は、北海道アイヌ料理保存会の川上裕子さん・あずささんにアイヌ料理をたくさんご用意いただいていました。

番組の中でご紹介したのは、
アイヌの人たちの主食・「オハウ」

北海道の郷土料理・三平汁のルーツという説もあるこちらの料理。
鮭に、ニンジンに、ゴボウに、山菜にと、具沢山の温かい汁ものです。
味付けは塩だけ!
「塩はどうやって手に入れていたの?」というバービーさんの質問に対し、
「海で作っていた地域もあるが、塩ははやい段階から北海道に入ってきていた。1600年代に交易で鮭を本州に出すときには、塩漬けにしていた記録もある」と本田教授。

また、いまは、スーパーで手に入る食材で作ることができますが、
手に入らないのが、アイヌ料理に欠かせない「シケレペ」。香辛料で、キハダの実です。
本田教授もいろいろなところに探しに行っているのだとか。

料理を用意していただいた川上裕子さん・あずささんの
オハウ、コンプシト(昆布ダレの団子)、ラタㇱケㇷ゚、キトピロの鹿肉巻き、アマㇺ(ご飯)のレシピを、このページの最後に掲載します。
本当に美味しかったです。

【未来へ】

さて、最後の項目です。

・JR北海道の車内放送
 本来4月24日(金)に開業予定だったウポポイ。それに先駆けて、JR北海道が、先月14日から車内放送に工夫をしています。

① 「イランカラプテ」から
札幌駅を発着する一部の快速や特急列車では、車内放送のいちばん最初の挨拶が、
冒頭でもご紹介した「イランカラプテ」で始まります。

② ウポポイの最寄駅ではさらに長いアイヌ語が!
さらに、ウポポイの最寄り駅・白老駅では、
ウアイヌコロコタン ウポポイ オルン パイエ クル アナシ シラヲイオッタ ラプ ヤン
というアイヌ語が。これは、「民族共生象徴空間・ウポポイへおいでのお客様は白老でお降りください」という意味です。

この企画に関わった本田教授、「北海道の中にアイヌ語が響くのが素敵だと思って」提案されたそうです。
バービーさんも、「地名もアイヌ語由来のものが多い。身近な生活にアイヌ語がある。もっと知りたい」と話します。

・米澤さんの夢
そして、「言葉には民族の感情の伝え方や思いが宿っている」と、言語の重要性を感じている米澤さん。
将来は、アイヌ語で教育できる学校を作るのが夢です。
そのために今できることを、と、ことし会社を立ち上げました。
飲食とガイドとものづくりを3本柱にした、若いアイヌが文化を伝承しながら働ける会社です。
将来作りたい学校に必要な資金も出せるような会社にしていきたいといいます。

・「これからの世界に必要な考え方」
最後に、本田教授に、いま特にアイヌ文化の何をみんなに知ってほしいかと質問しました。
今、感染症で大変な世の中。世界の哲学者や思想家が『利己主義』ではなく『利他主義』が大事と言っている。
アイヌの世界では、『他』というのは、他人だけではなく、環境や自然も含め、自分以外のすべてのもの。自分以外のすべてのものに魂があって、そこに感謝するのがアイヌの生き方。いまを、これからの世界を生きる上で、いちばん大切な考え方だと思います
」と、心を込めて話してくださいました。

もっともっとバービーさん、本田教授、米澤さんのお話を聞きたかったのですが、
50分間、あっという間に終わりました。

そして、本田教授に教えていただいた「また会いましょう」という別れの挨拶、
スイ ウヌカラ アンロー」をみんなで言って番組終了です。

以下、川上裕子さん・あずささんにいただいたアイヌ料理のレシピです。

☆アイヌ料理 レシピ

◆オハウ(汁物)

材 料:鮭・大根・人参・ごぼう・山菜・塩
作り方:

① 材料を一口くらいに切ります。
② 沸騰したお湯に材料を入れ、火が通るまで煮立たせる。
③ 塩で味付けして完成です。

◆コンプシト(昆布ダレの団子)

 材 料:白玉粉(昔は米粉)・昆布・砂糖
 作り方:

①白玉粉と水をこねて、耳たぶほどの硬さになったら一口大に丸めて茹でます。
  浮いてきたら、ザルにあげます。
②団子にタレを和えて完成です。
<タレ>
①乾燥している昆布を5㎝ほどにカットします。
②昆布が広がって深緑色になるまで油で揚げます。
③揚げた昆布をすり鉢又はミキサーで細かく粉状に砕きます。
④手鍋に、砕いた昆布・水・砂糖を入れ、混ぜながら煮詰めます。(砂糖の照りが出るまで煮詰めます)
     
◆キトピロの鹿肉巻き

 材 料:キトピロ(行者ニンニク)・鹿肉・塩
 作り方:

① 一口大に切った鹿肉とキトピロの芯のほうをキトピロの葉で巻きます。
②崩れないように爪楊枝で固定します。
③フライパンで焼き、塩で味付けして完成です。

◆ラタㇱケㇷ゚(混ぜ物)

 材 料:カボチャ・ジャガイモ・金時豆・くるみ・シケㇾペ(キハダの実)・砂糖
 作り方:

①カボチャとジャガイモを茹でてつぶし、砂糖を加えます。
②金時豆とくるみを加えて混ぜます。
③シケㇾぺを刻んで混ぜて完成です。

◆アマㇺ(ご飯)

 材 料:白米・イナキビ・ぺカンペ(ヒシの実)・塩
 作り方:

①イナキビを15分程度、水に浸しておきます。
②ぺカンペを茹でて皮をむきます。
③白米をとぎ、イナキビとペカンペを入れ、塩をひとつまみ加えます。
④炊きこんで完成です。

※調味料の配分は、好みによって変わります。


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