NHK札幌放送局

ブラックアウトから2年 病院の想定外と対策 #道南WEB取材班

道南web

2020年9月16日(水)午後3時30分 更新

 胆振東部地震ではブラックアウトによって、医療機関もいくつもの想定外の事態に直面しました。 函館市の災害拠点病院ではこれを教訓に再び長時間、広範囲にわたる停電が起きた際の対応について見直しました。

平成30年9月6日 ブラックアウト 相次いだ想定外 

2年前の胆振東部地震。函館市でも14時間にわたり停電が続きました。道南の災害拠点病院に指定されている市立函館病院でも院内の電気が消え、電気の供給は非常用電源に切り替わりました。

災害対策の責任者を務めている病院の氏家良人局長は当時の様子について「3時8分ごろの発災で、3時15分ぐらいには集まってきたと思う。それぞれの夜勤の看護師でとにかくICUだとかECUだとか重症系、それから各病棟の患者に問題がないかどうかを調べさせていた」と話しています。

重篤な症状に陥った患者はいませんでしたが、非常用電源の供給量は通常の半分ほどで、使用できる電力は限られていました。病院の電子カルテの端末はサーバーはダウンし患者の記録が閲覧できなくなり、病院では急きょ食堂に10台ほど端末を集めて電源に接続し、閲覧できるようにしました。

さらに想定外の事態は続きました。災害時の対策本部として使用することになっていた講堂は非常用電源につながる設定になっていませんでした。対策本部は別の部屋に設置しましたが、広さは講堂の6分の1ほど。医師や看護師などで部屋は混雑を極め、情報共有に課題が残りました。

対策を見直し続けた2年間

こうした事態を受けて病院は大規模な停電が起きた際の対策を新たに見直しました。電子カルテは閲覧できる端末が多く電力消費量が大きいため、電源につながる端末は全体の3%の30台に制限しました。また、講堂はすべてのコンセントを非常用電源につながるようにし、災害対策本部として使用できるように改めました。病院ではこの2年間で災害時の対応を準備するBCP=事業継続計画を3度改訂しました。

氏家局長は「何か起こった場合にとにかく病院の機能を維持しながらやっていくためには年に1回でもいいのでBCPを見直してできるところを改善していく事だと思う」と話していました。

大規模停電と新型コロナ 対応は?

市立函館病院では2年前の教訓を生かして対策を強化してきましたが、地域の感染症指定医療機関にもなっているため、今、新型コロナウイルスの影響で新たな対策を迫られています。それは感染拡大時に大規模停電が起きるという複合災害が起きた場合の備えです。

病院には新型コロナウイルスに対応できる病床は感染症病棟など60床あります。大規模停電が起きた際、非常用電源で対応しますが、治療用機器は多くの電力を使用します。一方、災害時には多数のけが人などが運ばれることが想定されます。その場合、一般病棟でも治療に電気が必要になるため、非常用電源では対応できなくなるおそれがあります。

新型コロナウイルスに加えて災害拠点病院としての役割も求められる中、病院は非常用電源に接続できる場所や機器をあらかじめ決めているほか、病院内の照明をLEDに切り替えるなど電力の消費量を少なくして、非常用電源でどの程度まで対応できるか検証をすすめています。

<取材した記者>
川口朋晃(函館放送局・放送部)
北海道小樽市出身。平成25年(2013年)入局、札幌放送局小樽支局で第一管区海上保安本部やニセコエリアの外国資本の不動産投資の実態などを取材。平成30年(2018年)より函館放送局勤務。函館市政・経済などを担当。年間3000人のペースで減少する函館市の人口減少問題などを中心に取材。

(2020年9月1日放送)

NHK函館放送局 トップに戻る

関連情報

【お知らせ】北海道信用保証協会の支援 #道南特設

道南web

2020年5月12日(火)午後5時46分 更新

“お便り”の投稿テーマも発表! #道南ハイスクール

道南web

2020年1月10日(金)午後7時35分 更新

【お知らせ】せたな・中小企業などへの支援 #道南特設

道南web

2020年4月28日(火)午後7時13分 更新

上に戻る