NHK札幌放送局

江別編1週目 人情と新しさが同居する商店街

ローカルフレンズ制作班

2022年1月6日(木)午後5時06分 更新

NHK札幌局ディレクターの古元と申します。江別に1ヶ月滞在して、知られざる江別を発見していきたいと思います。道外出身のため、そもそも知っている江別も少なかったので、一石二鳥です。

ローカルフレンズは“グラフィックデザイナー”

今回のフレンズは、デザイナーの山崎啓太郎さん。企業や行政、個人まで色々な人からポスターやウェブページのデザインを依頼されていて、現在は20件ぐらいの依頼を抱えているそうです。(ロゴマーク、ポスター、パンフレット、ウェブページ、イベントの企画・運営など幅広く対応している)
聞いた話では、江別のデザインは山崎さんの登場前と後で区別されるとのこと。お笑いでいうところの松本人志のような存在なのです。

20個も仕事を抱えてたら、さぞかし忙しいだろう。そう思って山崎さんを見ていると、そんなことはなく、年末に訪ねてみると、ターンテーブルを回してDJにいそしむ山崎さんの姿がありました。昔からヒップホップが好きらしく、多様なカルチャーに精通しています。周りからも「山崎さんは気持ちが若い」と言われており、そんな若いマインドがデザインにも繋がっているのです。

大麻銀座商店街

今回の舞台は、山崎さんが週の半分はここで過ごすという大麻銀座商店街。山崎さんはオフィスを持たないノマドワーカーなので、江別市内をウロウロしながら仕事をしています。そのなかで、この商店街の居心地の良さに惹かれ、足繁く通うようになりました。

元旦に取材を開始

強い吹雪だった1月1日。札幌からの道中、遭難しそうになりながらもなんとかこの商店街にやってきました。大きな道路から一本路地を入った場所にあるこの商店街。まず目に付いたのは、レトロな街灯とスナック夏子の看板でした。長年に渡って地域を支えてきた気概のようなものを感じ、そっと一礼することに。気持ちを整えて商店街に入ってみると、さすがに元旦なのでどのお店も閉まっており、お正月ムード。お店に飾られたしめ縄、そこに書かれた「よいお年を」という文字を眺めながら、6日の放送に向けた強い焦りに駆られることになりました。

商店街のなかにあるゲストハウスに滞在

滞在先は、商店街のなかにあるゲストハウス「ゲニウス・ロキが旅をした」。名は体を表すという感じの、“普通”であることに縛られない趣のある内装。中に入ると、元日というのに3人の方がお出迎えをしてくれました。若いお2人は管理人であり、もう1人はそのお母さんとのこと。新年の挨拶もそうそうに、3人は洗面台へと集結していきました。どうやら水出しをしてくれているとのこと。このゲストハウスは歴史ある建物を改装したため、断熱という概念はなく、毎年水道が凍結するのだとか。大寒波に襲われた今年のお正月もやはり凍結したらしく、お母様(かつて寮を所有していた)が手慣れた手つきで水出しをする姿を、私と若い2人は感心しながら見ておりました。北国の技が親から子へと継承される、そんな心温まるシーンに出会うことで、吹雪のなかで感じた焦りも氷と共にとけていったような気がしました。

お店が開き始めた滞在4日目。商店街の本当の姿が現れた

お店が開くまでの3日間、食事や睡眠をしっかりと摂り、万全の体調で迎えた1月4日。商店街は多くのお店が営業を開始していました。あまり大きくはない商店街ですが、その本当の姿を見て驚きました。シャッターの奥から現れたのは、モダンな雰囲気のお店の数々。昔からある布団屋さんやそば屋さんの横に、勢いのある新しいお店がいくつも並んでいます。4年ほど前に出店した花屋さんと家具屋さんを訪ねると、レトロな商店街の概念を覆すオシャレな空間が広がっていました。

新店舗が続々オープンする珍しい商店街

30店舗ほどが入るこの商店街では、毎年のように新しいお店がオープンしています。ここ10年ほどで全体の半分が入れ替わるほどの活況で、いまもいくつか店舗の待ちが出ている状況だそう。布団店を営む商店街の理事長・岸本さんにお話しを聞くと、昔から商店街全体で仲がよく、新しいお店が来てもみんなでサポートするような風土があったとのこと。そして岸本さん自身も非常にソフトな人柄で、語り口も柔らかく、さすが布団屋さんだなと納得させられました。

出店が増えるきっかけとなった橋本さんという人物

新しいお店がどんどん入るようになったのは、8年前に橋本さんという方がここに来てからだといいます。橋本さんは若者が集うコミュニティカフェの店長。江別は人口の1割が学生とも言われるほど学生の数が多く「せっかくなら4年もある学生生活のなかで、江別の地域と関わりを持って、江別を心のホームグラウンドと思って欲しい」という思いでお店を始めた。そんな橋本さんが6年前に商店街の仲間と始めたのが、月に1度、商店街に本を並べて売るブックストリート。雨の日も雪の日も、毎月必ず行うことで、
商店街の客層に若い人が混じり始め、にわかに活気を帯びてきたのだという。

はじめ、商店街の活気を取り戻すのに貢献した方と聞いて、どんな活気のある方なのかと思いましたが、実際に会ってお話しを聞くと、むしろ謙虚で物静かな哲学者のような方で驚きました。究極の目標は「石」のようになることらしく、多くは語りませんが、商店街の将来をずっと考えている人、そんな印象を受けました。

これまで橋本さんの活動を間近で見てきた山崎さんも「橋本さんは学生から商店街の人から、色々な人に頼られてて、体が心配になるときもある。たまにはゆっくり飲みに行きましょう」とのこと。

小さなことからコツコツと、そんな精神を見習っていきたいと思います。
来週からもローカルフレンズ滞在記 江別編、お楽しみに。

2022年1月6日


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